I.上皮性腫瘍 (Epithelial tumors) A. 良性 Benign 1. 乳管内乳頭腫 Intraductal papilloma 乳管内に発生する乳頭状腫瘍で、臨床的に乳頭からの出血をみることが多い。孤立性のことと多発性のことがある。組織学的には、円柱ないしは立方状の乳管上皮と筋上皮が2層をなして乳頭状ないし樹枝状に配列し、間質に富む。乳管が嚢胞上に拡張したものは嚢胞内乳頭腫(intracystic papilloma)と呼ぶことがある。 2. 乳頭部腺腫 Adenoma of the nipple 乳頭内または乳輪直下乳管内に生ずる乳頭状ないしは充実性の腺腫であり、癌と誤られることがある。前項と同じく上皮細胞の配列は2層性である。 注:同義語として乳輪下乳管乳頭腫症(subareolar duct papillomatosis)がある。 3. 腺腫 Adenoma 上皮成分の増殖を主体とし、比較的間質に乏しいもので、周囲組織との境界は鮮明である。 a) 管状腺腫 tubular adenoma 上皮成分は小管状構造を呈するもの。 b) 授乳性腺腫 lactating adenoma 妊娠授乳時に生じ分泌性変化を示す乳腺組織からなるもの。 |