組織学的分類

I.上皮性腫瘍 (Epithelial tumors)

B. 悪性(癌腫) Malignant (Carcinoma)

2. 浸潤癌 Invasive carcinoma
 癌細胞が間質に浸潤しているものをいう。

a. 浸潤性乳管癌 Invasive ductal carcinoma
 前規約で浸潤癌通常型といわれたものにあたる。乳頭腺管癌、充実腺管癌および硬癌の3型に分けるが、2種以上の組織型が認められる場合には優位な組織型に分類する。いずれが優位とも判断が困難な場合には分化の悪い組織型に分類し、他の組織型を併記する。
  1. 乳頭腺管癌 Papillotubular carcinoma
 乳頭状増殖および管腔形成を特徴とする癌、ならびに面疱癌(comedo carcinoma)が含まれる。ときに癌組織の一部で充実性増殖をまじえる。
  2. 充実腺管癌 Solid-tubular carcinoma
 前規約で髄様腺管癌(medullary tubular carcinoma)といわれたものである。充実性の癌巣が周辺組織に対して圧排性ないし膨張性発育を示すものをいう。癌巣は髄様ないし腺腔の不明瞭な小腺管の充実性増殖よりなる。癌巣のほぼ全周において周辺組織に対して比較的明瞭な境界を示す。
  3. 硬 癌 Scirrhous carcinoma
 癌細胞が個々ばらばらに、あるいは小塊状ないし索状となって間質に浸潤し、多少とも間質結合織の増殖を伴うものをいう。硬癌は、その成り立ちから二つを含む。一つは狭義の硬癌で乳管内癌巣部分が極めて少なく、間質浸潤の高度なもの、ほかは乳頭腺管癌ないしは充実腺管癌由来で、びまん性の間質浸潤が面積的に優位を占めるものである。