II.結合織性および上皮性混合腫瘍 Mixed connective tissue and epithelial tumors A. 線維腺腫 Fibroadenoma 孤立性または多発性に乳腺内に発生する境界明瞭な良性腫瘍である。腺腫成分は細い管状ないしは細長い管腔を作る乳管上皮からなり、線維成分は粘液状で未熟な線維芽細胞をもつものから、緻密な結合組織を伴うものまであり、硝子化やまれに石灰化、骨化などを伴う。腺腫成分と線維成分の割合は種々である。従来、管内性(intracanalicular)および管周囲性(pericanalicular)に大別されていたが、臨床病理的にあまり意味がない。若い女性に発生する線維腺腫のなかには著しく大きな腫瘤を形成するものがあり、巨大線維腺腫giant fibroadenomaといわれる。 注1:巨大線維腺腫は若年性線維腺腫(juvenile fibroadenoma)、細胞性線維腺腫(cellular fibroadenoma)などといわれるが、葉状嚢胞肉腫の要素を伴っているものはこの範疇に入れない。 注2:近時、腺腫成分が多く、異型を伴い癌腫様に見える例がまれならずみられるが、上皮に2層性がみられることが良性としての鑑別点である。 注3:極めてまれに線維腺腫の中に癌が発生することがあるが、その多くは小葉癌である。 |