組織学的分類

II.結合織性および上皮性混合腫瘍
                      Mixed connective tissue and epithelial tumors

B.葉状腫瘍 Phyllodes tumor
   (葉状嚢胞肉腫 Cystosarcoma phyllodes)


  線維腺腫と同じく乳腺に特有の線維上皮性腫瘍であるが、線維性間質が細胞成分に富み、細胞はしばしば多形性を示し、活発な核分裂像がみられる。上皮成分は悪性像を示さないが、間質の増殖によりしばしば葉状構造をとる。腫瘍は大きいものが多いが、直径5cm以下のものも少なくない。巨大線維腺腫(giant fibroadenoma)とは区別される。
  間質成分は線維組織からなり、しばしば線維肉腫様の形態をとるが、ときに腫瘍組織が軟骨、骨、脂肪、平滑筋あるいは横紋筋への分化を示すことがある。また粘液腫状を示したり、多形性が著しく、悪性線維性組織球腫の像に似ることもある。
  腫瘍を良性(benign)、境界病変(border line)、および悪性(malignant)の3種に区別する。悪性の判定は間質の細胞密度、細胞異型、核分裂の数、周囲への浸潤形態、間質の一方的増殖などから判断する。局所再発には普通は上皮・間葉両成分がみられるが、転移は悪性像をもつ間葉成分のみからなる。再発および転移巣では、間葉分化などの点で組織像が原発巣と非常に違うことがある。

注:悪性葉状腫瘍の転移は主に血行性で、肺に最も多く、リンパ節転移は腋窩リンパ節にもまれである。