化学療法

St.Gallen乳癌初期治療に関する
コンセンサスカンファレンス

International Consensus Conference on Primary Treatment of Breast Cancer 2011

速報!パネリスト投票結果 2011. 3.19
一部不明なところもあり、誤りがありましたらお知らせ下さい。

手 術: 腋窩リンパ節転移なし(臨床)                   Abstention: 分からない
  設 問 Yes No Abstention 
 1 センチネルリンパ節内の微小病変を見つけるために免疫組織化学診断を日常的に必要とするか?
 % 22.2 71.1 6.7 
 2 乳房切除をする患者に孤立性腫瘍細胞ITCが検出された場合に腋窩郭清を実施する必要があるか?
 %  6.4 91.5   2.1
 3 乳房温存をする患者の場合はどうか?   
 %  0 93.3  6.7 

手 術: 腋窩リンパ節特別問題(乳房温存術後)
  設 問 Yes No Abstention 
臨床的に腋窩リンパ節陰性の患者で、センチネルリンパ節生検が以下のような場合に、腋窩リンパ節郭清に進むべきかどうか?
 4 リンパ節の辺縁洞と体部に孤立性腫瘍細胞ITC
 % 0 97.7 2.3 
 5 一個のセンチネルリンパ節に0.2mm以下の微小転移
 %  4.3 91.3 4.3 
 6 一個のセンチネルリンパ節に0.2mm-2mmの転移
18.6  76.7  4.7 

放射線治療: DCIS
  設 問 Yes No A 
 7  完全に摘出されたDCISに対して、放射線治療は標準と考えるべきか?
67.6  24.3  8.1 
 8 高齢者(>70歳)には、放射線治療を避けることが出来るか?
58.3  33.3  8.3 
 9 低悪性度/低リスクDCSIの多くの人で、放射線治療は避けることが出来るか?
61.7  31.9  6.4 

放射線治療: 加速化 (低分画照射)
  設 問 Yes No A 
10 加速化全乳房照射(WBRT)は、(適切ならば) 容認できるオプションと考えるべきか?
91.5 4.3 4.3
11 広範囲脈管浸潤があると、標準的乳房照射が望まれるべきか?
34.8 32.6 32.6

放射線治療: 部分乳房照射(術中)
  設 問 Yes No A 
乳房温存手術に関連して、以下の条件で、部分乳房照射(術中)は容認できるか?
12 全ての外部照射なしに、決定的な照射として、?
48.9 35.6 15.6
13 (腫瘍床に対して、外部線ブーストの代わりとして?)
60.9 17.4 21.7
14 腫瘍床に対して、外部線ブーストの代わりとして?
61.8 11.8 26.5

放射線治療: 乳房部分照射(PBRT)
  設 問 Yes No A 
乳房部分照射(PBRT)は、以下の選択された患者に適応すべきか?(術中を含めて)
15 - 高齢者 (>70歳)?
86.7 6.7 6.7
16 - マントル照射後のリンパ腫完治者
37.2 25.6 37.2

放射線治療: 乳房切除後
  設 問 Yes No A 
17 乳房切除後の放射線治療は、リンパ節転移4個以上の患者には標準とすべきか?
87.8 4.9 7.3
18 乳房切除後の放射線治療は、リンパ節転移1〜3個の患者の全てに推奨されるべきか?
18.2 70.5 11.4
19 乳房切除後の放射線治療は、腫瘍径2cm以上(pT>1)の患者の全てに推奨されるべきか?
12.8 85.1 2.1
20 若年者のみか? (40歳以下?)
51.2 41.9 7.0
21 広範囲脈管浸潤のある場合?
56.5 26.1 17.4

病理: サブタイプ定義
  設 問 Yes No A 
22 乳癌のサブタイプ定義では、すでに入手可能で再現可能な病理因子のみを使用するべきか?
ER, PgR, HER2, Grade, (Ki-67)
86.4 13.6 0
22 ER, PgR, HER2, Grade
91.3 8.7 0
<<basal-like>> 
24 CK 5/6 + and/or EGFR+ も使用すべきか?
7.3 80.5 12.2
<<Luminal B>>
25 ER+ PgR- and/or 高Ki-67 (>14%) and/or G3 ± HER2も使用すべきか?
51.1 35.6 13.3
<<Luminal A>>
26 ER+, PgR+, HER2陰性, 低Ki-67 (<=14%) のみを使用すべきか?
84.8 10.9 4.3
<<HER2-positive>>
27 FDAでの定義(IHC>10%, FISHx2)のみを使用するべきか?
68.1 23.4 8.5
病理: サブタイプ
28 多遺伝子アレイ分析で定義されるような腫瘍サブタイプによって、治療法を選択するか?
19.5 75.6 4.9
29 臨床目的では、腫瘍サブタイプは、ER, PgR, HER2, Ki67についての非遺伝子検査によって確かめられるか?
82.9 12.2 4.9
30 細胞毒性治療の選択は、腫瘍サブタイプによって影響されるべきであるか?
74.4 18.6 7.0

Multi-gene Signatures
  設 問 Yes No A 
31 Oncotype DX は、内分泌反応群で化学療法の反応性を予想するのに利用できるか?
84.4 11.1 4.4
32 Mammaprint は、化学療法の反応性を予測するのに利用できるか?
29.8 63.8 6.4


内分泌療法: 閉経前の標準を作成
  設 問 Yes No A 
33 タモキシフェン単独は?
93.6 6.4 0
34 卵巣機能抑制 (OFS)とタモキシフェン併用は (理に適った治療)?
82.9 12.2 4.9
35 卵巣機能抑制OFSとタモキシフェン併用はタモキシフェン単独より好まれるか?(閉経前女性に)
27.5 57.5 15.0
36 卵巣機能抑制OFS単独は (特別の条件で)?
71.4 26.2 2.4
37 アロマターゼ阻害剤AI+卵巣機能抑制OFSは、タモキシフェンに禁忌の場合に、有効な選択肢である?
75.6 13.3 11.1

内分泌療法: 閉経後の標準を作成
  設 問 Yes No A 
38 全員がアロマターゼ阻害剤を受けるべきか?
50.0 50.0 0
39 リンパ節転移陽性者はアロマターゼ阻害剤を受けるべきか?
79.1 20.9 4.9
40 誰でもタモキシフェンだけを受けるべきか?
89.1 10.9 0
41 アロマターゼ阻害剤なら、まず最初に始める必要があるか?
41.3 52.2 6.5
42 アロマターゼ阻害剤を受容できない患者に、タモキシフェンへ切替えを考慮すべきか?
97.8 0 2.2
43 低−中間リスクにはアロマターゼ阻害剤を5年間で十分か?
80.5 12.2 7.3
44 リンパ節転移陽性者には、アロマターゼ阻害剤を5年以上与えることが出来るか?
34.1 54.5 11.4
45 55歳以下の患者には、リンパ節転移の有無に関わらず、アロマターゼ阻害剤を5年以上与えるべきか?
4.5 86.4 9.1

内分泌療法
  設 問 Yes No A 
CYP2D6の判定は、以下の場合に、ホルモン療法の選択に重要か?
46 - 閉経後女性 (アロマターゼ阻害剤AI vs. タモキシフェン)? 
2.1 95.7 2.1
47 - 閉経前女性?
2.2 95.7 2.2
48 タモキシフェンを受けている患者はCYP2D6試験を受けるべきか?
89.1 10.9 0
49 アロマターゼ阻害剤かタモキシフェンかの選択は、生物学的特性(例えば、リンパ節転移、Ki-67)によるべきであるか?
47.7 52.3 0

内分泌療法: 生物学的・宿主変数
  設 問 Yes No A 
50 HER2過剰発現・増幅は、常に化学療法を追加する適応となるべきか?
84.4 11.1 4.4
51 HER2過剰発現・増幅は、閉経後女性にアロマターゼ阻害剤の適応となるべきか?
39.0 51.2 9.8
52 肥満は、閉経後女性にアロマターゼ阻害剤の一般的禁忌と考えるべきか?
10.9 76.1 13.0


化学療法: 基礎問題
  設 問 Yes No A 
化学療法を考慮すべき因子は:
53 組織学的悪性度3の腫瘍?
95.5 2.3 2.3
54 Ki-67 >14% ?
68.8 14.6 16.7
55 低ホルモン受容体 (<50%) ?
68.1 31.9 0
56 HER2陽性?
95.7 4.3 0
57 トリプルネガティブ?
97.7 2.3 0
58 リンパ節転移陽性全て?
40.4 59.6 0
59 リンパ節3個以上陽性?
88.4 9.3 2.3
60 リンパ管脈管浸潤?
40.4 48.9 10.6
61 検査できるなら、Oncotype DXのような認可された遺伝子検査は、ホルモン療法に追加して(HER2陽性などですでに適応となっていないなら)、化学療法を選択するために使用しても良いか?
83.7 14.0 2.3
62 検査できるなら、Mammaprintのような認可された遺伝子検査は、ホルモン療法に追加して(HER2陽性などですでに適応となっていないなら)、化学療法を選択するために使用しても良いか?
22.7 50.0 27.3

化学療法: Luminal A
  設 問 Yes No A 
63 Luminal A表現型は化学療法に低反応性か?
86.4 4.5 9.1
64 Luminal A表現型の患者に対する内分泌療法に追加するには、化学療法は有用ではないか?
85.4 0 14.6
65 Luminal Aに適したと知られる化学療法レジメはあるか?
14.0 83.7 2.3

化学療法: Luminal B
  設 問 Yes No A 
66 Luminal Bに対する化学療法レジメにアントラサイクリンを含めるべきか? (CMFと比較して)
70.5 13.6 15.9
67 Luminal Bに対する化学療法レジメにタキサンを含めるべきか? (CMFと比較して)
63.0 26.1 10.9

化学療法: HER2-positive
  設 問 Yes No A 
68 HER2陽性表現型に推奨される化学療法レジメはあるか?
37.0 58.7 4.3
69 HER2陽性に対する対する化学療法レジメにアントラサイクリンを含めても良いか?
97.8 2.2 0
70 HER2陽性に対する対する化学療法レジメにタキサンを含めるべきか?
74.4 23.3 2.3
71 HER2陽性に対する対する化学療法レジメにタキサンを含めても良いか?
82.6 10.9 6.5

化学療法: basal-like
  設 問 Yes No A 
72 basal-like表現型に対する化学療法レジメにアントラサイクリンとタキサンを含めるべきか?
82.2 13.3 4.4
73 basal-like表現型に対する化学療法レジメにアルキル化剤(例えば、サイクロフォスファミド)を含めるべきか?
92.7 2.4 4.9
74 basal-like表現型に対する化学療法レジメに白金製剤を含めるべきか?
17.8 64.4 17.8
75 dose-dense化学療法を考慮すべきか?
52.3 40.9 6.8
76 basal-like表現型に対する化学療法に、抗血管新生治療を加えるべきか?
2.4 88.1 9.5


標的療法Targeted Therapy
  設 問 Yes No A 
77 化学療法と併用(通常タキサン)又は化学療法後に1年間のトラスツズマブ投与は、HER2陽性表現型の標準的補助療法であるか?
100.0 0 0
78 ... 腫瘍径が5mm〜1cmも?
78.7 14.9 6.4
79 ... 1年未満は?
23.9 60.9 15.2
80 ... 1年以上は?
25.6 62.8 11.6
81 ... 医療資源が限られている場合に、1年以内は?
71.1 13.3 15.6
82 ... 経済的な理由で、1年以内は?
4.7 83.7 11.6
83 トラスツズマブは、化学療法と併用して投与すべきか?
85.7 9.5 4.8
84 トラスツズマブは、化学療法後に追従して始めるてもよいか?
83.7 9.3 7.0
85 1年のトラスツズマブに、修正した化学療法(例、ウィークリー・パクリタキセルx12)が良いか?
20.0 77.8 2.2
86 トラスツズマブのみ(+/-内分泌療法)は適切か?
67.8 23.3 9.3


術前全身療法 Neo Adjuvant Systemic Therapy
  設 問 Yes No A 
87 術前補助療法は、手術法を変える(乳房切除以下に)ためだけに行うべきか?
37.2 60.5 2.3
88 術前補助療法の方法は、手術法を変える一番可能性のある方法であるべきか?(化学、内分泌、トラスツズマブ)
73.2 12.2 14.6
術前化学療法は、以下の場合に、理に適っているか?
89 - 低増殖性乳癌の患者に? (例: Ki-67 <14%) ? 
24.4 64.4 11.1
90 - 高内分泌反応性乳癌に? (例:小葉癌、古典型) ?
19.1 76.6 4.3
適応となった場合、術前化学療法レジメに以下のものを含めるべきか?
91 - タキサン? 
83.0 8.5 8.5
92 - アントラサイクリン?
88.9 6.7 4.4
93 - アルキル化剤 (例:プラチナなど)?
85.7 11.9 2.4
94 HER2陽性に対する術前化学療法レジメには、常に抗HER2薬を含めるべきか?
87.2 8.5 4.3
95 二重HER2標的は、HER2陽性に対する術前化学療法で理に適った選択肢であるか?
21.7 67.4 10.9
95 術前内分泌療法単独は、高内分泌反応性乳癌の閉経後患者に対する理に適った選択肢であるか?
97.8 2.2 0
  - 正であれば、継続期間は? (一つを選べ)
96   3-4 ヶ月間 4-8 ヶ月間 最大反応期間
15.2 39.1 45.7


ビスフォスフォネート Bisphosphonate
  設 問 Yes No A 
術後補助内分泌療法の際にゾレドロン酸投与は、以下の場合に、推奨されるべきか?
97 - 卵巣機能抑制の有無に関わらず、閉経前患者に?
10.4 81.3 8.3
98 - 閉経後患者に?
21.3 72.3 6.4
99 デノスマブは、ゾレドロン酸に置き換わるか?
2.4 82.9 14.6
100 ゾレドロン酸を術後補助内分泌療法中の6ヶ月ごとに投与すると、無病生存率を改善するか?
22.9 64.6 12.5
101 ゾレドロン酸を術後補助内分泌療法中の6ヶ月ごとに投与すると、無エストロゲン状態では、(例:典型的な閉経後)、無病生存率を改善するか?
33.3 43.6 23.1


男性乳癌 (ER+)
  設 問 Yes No A 
102 タモキシフェンを全員に投与すべきか?
85.1 6.4 8.5
103 (タモキシフェンに禁忌の場合、例:血栓)、アロマターゼ阻害剤を考慮しても良いか?
53.5 32.6 14.0
104 リンパ節転移陽性者に、延長内分泌療法として、アロマターゼ阻害剤を投与できるか?
28.3 41.3 30.4
105 Z11試験のデータを、乳房切除して放射線治療を必要としない患者に適応することが出来るか?
16.7 71.4 11.9