乳腺の病気

乳汁分泌

    次の3点である程度判別できます。
    1.性状は? 乳汁性、漿液性、血性
    2.両側性、片側性
    3.単一乳管性、多乳管性
       (乳頭の一カ所だけか、何カ所か)

 乳汁性や、両側性の場合、機能性、ときに高プロラクチン血症薬剤性を考えます。外傷でも起こります。
 片側性で、単一乳管性、しかも血性の場合には、腫瘍性、乳癌の可能性が高くなります。


 血性ですか? 血性というのは、茶色であったりします。
        血性でなければ、ほとんど心配ありません。

 多くの場合、乳管内に顔を出したポリープのような腫瘍性の病変があると考えられます。

診察では、まず、分泌物を検査します。細胞診とマンモテックです。
次に、マンモグラフィと超音波検査で、微細石灰化、乳管拡張、嚢胞形成などを検索します。

 マンモテックは、分泌物中に腫瘍マーカーであるCEAが含まれていないかを調べます。これが高値であると、悪性の疑いがあります。
 細胞診では、分泌物中の細胞に異型性があるかを調べます。class III以上であれば、さらに検索が必要です。

 乳腺MRIを行います。これによって、腫瘍の局在を限定し、悪性度をある程度判定できます。

 他に、乳管造影、乳管内視鏡検査があります。拡張した乳管などを観察できます。

これらの検査により、悪性が疑われた場合、分泌物を出している部分を特定したうえで、穿刺吸引細胞診、針生検、摘出生検を行います。

悪性であっても、DCIS(乳管内上皮内癌)の可能性があるため、手術には慎重な計画が必要です。出来れば乳房温存療法を行いたいのですが、多くの場合、乳管内進展が広範囲に及んでおり、温存することが難しいことがあります。そのような人には、内視鏡手術による乳腺全摘+乳房再建術が最適であると考えています。