質問です

化 学 療 法

023. 41歳女性、7月上旬、乳房温存手術をして、その後すぐに放射線治療をしました。リンパに転移はなく、ガンんの大きさも7mmでした。ただホルモン受容体でないので、化学療法をするべきなのでしょうか?全身への転移もなさそうなんですが。

 ホルモン受容体陰性であれば、ホルモン療法が効かないということですから、ハイリスク群に入ります。化学療法の適応と考えられます。大きさも0.7cmと小さく、組織型もgrade 1(充実腺管癌)であれば、経口抗癌剤でも良いのではないかとは思いますが。ただ、乳癌の初期治療は絶対に再発・転移させないということですから、やはりしっかりと治療しておいた方がよいでしょう。

024. 昨年二期の乳がんと告知され、右全摘、リンパ節転移もあったため、抗がん剤治療(ACT)を受けました。その後、ホルモン治療(タモキシフェンと抗がん剤で止まっていた生理が始まったため、先月からゾラテックス)を受けています。でも、経口抗がん剤は処方されていません(抗がん剤治療をした後に経口抗がん剤を服用するなんてここにきて始めて知りました)。リスクのある身としては、出来ることはやっておきたいと思います。ただ、術後1年半余り過ぎているので、今からすることが出来るのか、そして効果はどの程度なのか教えていただければと思います。よろしくお願いします。

 術後補助化学療法後の経口抗癌剤については、先日も説明しましたが、必ずしも一般的とは言えません。通常は、ACTなどの抗癌剤投与で十分なはずです。しかし、進行癌であったり、リスクのある場合には、経口抗癌剤を服用してもらっています。病状についての詳細は、担当医が一番理解しているわけですから、相談してみるのも良いでしょうが、そこまで考えなくても良いと思います。

025. 早速ですが、乳がん手術後4年経った叔母が、この度再発を告知されました(余命2ヶ月と言われたそうです)。そして、タキソールという薬を使いたいと言われたそうです。そこの病院ではタキソールの使用例が無く、不安なので叔母からこの薬についての体験談を調べて欲しいと頼まれましたので、こちらを利用させて頂きました。実際にタキソールを使用されました方、あるいは使用されているお医者さんからの情報を頂ければと思います。

 タキソールは日本で認可されてから、3年以上になります。今では、乳癌の化学療法の主流になっていて、当院でも化学療法の約8割はタキソールを使用しています。3週1回投与では、末梢神経障害などの副作用が強く現れることから、週1回のweekly投与で行っています。ほぼ全例外来化学療法で行っています。特に吐き気もなく、非常に副作用が少なくて好評です。ただ脱毛は、8割以上の人にみられます。投与時の注意として、過敏症の予防のため、ザンタック、レスタミンコーワ、デカドロンを前投薬として投与し、点滴用チューブは、ミリスロール用のチューブを使用します。(蛇足ですが)治療効果は良好ですので、期待して良いと思います。また、ハーセプテストを行い、ハーセプチンの投与についても検討してもらった方がよいです。両者を併せて使用すると、非常に良い成績が出ています。ということですので、タキソールは今や標準療法ですので、乳癌専門の病院で有れば、ほとんどの病院で扱っていますので、ご心配いりません。これからが大変ですので、治療に負けず、頑張って下さい。

026.悪性進行性乳癌と診断されました。3週間前に入院しましたが、喘息持ちであることと、癌(しこり)が大きくなり過ぎたため手術が出来ないと言われました。リンパにも転移があると言われました。これから3クールで抗がん剤投与を受けますが、本当に癌は小さくなるのでしょうか。このままで良いのか心配です。どうか、アドバイスをよろしくお願いいたします。

 進行乳がんの場合、そのまま手術を行うと、手術が大きくなり、創治癒に時間がかかることになります。手術は局所の治療でしかないので、全身他所へ転移した癌細胞に対しては、全く治療をしていないことになります。全身療法として化学療法が必要ですが、手術後ですと、創治癒に時間がかかってしまい、化学療法を始める頃には、転移巣が進んでしまい、最悪の場合手遅れになることもあります。そのことを考えると、手術の前に化学療法を行い、全身療法を優先させることが大事です。抗癌剤は、乳腺の局所にも効きますので、腫瘍が縮小すれば、手術自体も小さくなり、楽になります。と言っていると、良いことばかりのように聞こえますが、1つだけ問題があります。抗癌剤の感受性が当たるかどうかということです。つまり、抗癌剤が効くかどうか?ほとんどの場合は有効ですが、効かない場合は別の薬に変更します。2〜3クール様子みます。まずは、今の段階では、あまり心配しないで、化学療法を勧めて下さい。必ず良くなって、手術が受けられるようになりますので、頑張って下さい。

027.私は、5月末に左全摘出手術をして現在CEFを行っています。私は、リンパに沢山転移がありました。ホルモンは両方とも+です。骨シンチや腹部CTなどの結果、転移、再発はありませんでした。年齢は38です。ハイリスクなので経口抗がん剤を飲もうか迷っています。

 術後補助療法としての化学療法は、本来は6クールで終了で、それ以降は、特に経口抗癌剤は必須ではありません。特にホルモン感受性のある方の場合、タモキシフェンなどのホルモン療法が有効です。しかし、リスクのことを考えると、抗癌剤抜きでは心配なので、経口剤として、UFT-Eまたはフルツロンを服用してもらっています。どちらが良いのかは、まだ判定できていません。再発、転移だけは絶対にさせたくない、と言う気持ちから来ていますので、病院によっては、経口剤を処方しないところもあると思います。かかりつけの担当医とよく相談して、決めて下さい。

028.乳癌術後補助化学療法としてCEF療法を行いましたが、終了後の経口抗癌剤は必要なのでしょうか?

 本来は、経口抗癌剤は必須ではありません。術後3年までの再発・転移が多いので、リンパ節転移陽性、ハイリスクの方には、その間の治療に不安があり、特に副作用などのない限り、服用してもらっています。