不適切な有害鳥獣駆除@ 獲りっぱなしのカラス駆除 |
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〔概要・問題点〕 本会スタッフが、坂出市でカラスの捕獲装置を発見。本会は不適切な有害鳥獣駆除の可能性があると判断し、事実確認のため県に連絡、改善を求めました。その結果、今回の件については改善したとのご連絡をいただきましたが、今後も同様な事例が県内外でないとも限りません。もし皆さんの周囲でおかしな駆除があれば、ご連絡ください。 |
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〔香川の野鳥を守る会の方針〕 有害鳥獣駆除は法的に認められていますし、農林業の方のご苦労もおありと思います。ですから何が何でも野鳥の捕獲はダメと言うつもりは全くありません。ただやはり駆除以外の防除策もできるかぎりしていただきたいし、駆除するのであれば、必要最小限で、確実に効果をあげていただきたいと考えます。惰性で駆除し続けては、野鳥も農林業の方も、誰もメリットはありません。 本会では、正しくて効果のある鳥害防除を普及することに、努めていきたいと考えています。 |
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▲発見した当時の捕獲装置(2005.3.10)。許可期間外にも関わらず入り口をあけているため、多数のカラスが入っている。 |
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本会スタッフから、「坂出市府中町の坂出環境センター(ゴミの最終処分場)にカラスの罠がある」との連絡がありました(写真)。おそらくカラス類の有害鳥獣駆除と思われましたが、万が一無許可だと問題ですし、○許可を受けていない種類(ドバト等)を間違って捕獲すること(錯誤捕獲)はないか、○捕獲種・数はどのようにして第三者(県・市)が確認するのか等疑問もありましたので、念のため香川県自然保護室に照会したところ、次のような回答をいただきました。香川県自然保護室の迅速なご回答に感謝いたします。
「有害鳥獣駆除」は法律にも明記された方法ですし、実際に被害を受けている方々のご苦労も理解できます。ですから無闇に駆除はダメと言うつもりはありません。ただ原則捕獲禁止の野鳥の「駆除」は最終手段ですから、法は守っているか、本当にやむを得ないのか、効果はあるか(無意味に実施していないか)を常に検証する必要があります。 近年、増加したカラス類によるゴミあさりや農作物への食害が問題となっています。香川県におけるカラス類の増加は、卵やヒナの段階の天敵(イタチ・ヘビ等)が減少したこと、生ゴミや出来の悪い農作物が放置されるなど、餌が豊富なことが大きな原因と思われます。ですから本当は、新たな繁殖を抑えなければ効果はありません。(なお、カラス問題で有名な東京と香川県の状況は異なるため、東京の問題・結論・方法を安易に香川に適用することはちょっと問題があります。) さてまず餌の面では、果樹近辺での防除策の状態、生ゴミや不出来な果物を放置していないかは不明(未確認)です。有害鳥獣駆除を実施する以上、当然予防策くらいされていると(希望的に)思います。でないと「カラスを増やしている(おびきよせている)」のだから問題外です。 次に食害を受けている果樹ですが、これが環境センター内か、近隣の農家の果樹なのか未確認です。市環境センターで果樹なんか栽培する必要はないので、近隣の農家のような気がします。その場合、この市センターでいくら捕獲しても、それが被害を与えているカラス類とは限りません。その場合駆除の効果は弱くなります。 またこの捕獲方法は、入る個体だけを捕まえますので、警戒心の薄い、若い個体が捕獲されやすいと考えられます。その場合翌年には再び親が繁殖するので、駆除の意味がありません。 2002年以前は不明ですが、2003年の最初に60羽申請して40羽捕獲しています。申請の67%も獲ればそれなりの効果があるはずですが、1ヶ月も立たず再び60羽申請。「まだ被害がある」ということでしょうが、それは「申請者が原因となるカラスをきちんと把握していない」、つまり「見込みが甘い」ということです。 自然保護室からいただいた上の表を補足修正すると、次のようになります。
1回の捕獲許可日数は2ヶ月たらずですが、約2年間のうち半分近く捕獲しっぱなしです。捕獲羽数も当初申請の60羽の4倍、244羽捕獲。駆除は何の役にも立っていません。もし「駆除しなければもっと被害がある」と言うのなら、そもそも60羽とか80羽とか申請せず、確実に事態が改善できる羽数を申請するべきです。特に昨年末は申請しただけ獲ったのですから、もう「効果がない」とか「まだ被害がある」ということはありえず、あってはなりません。 捕獲場所は市有地、捕獲には市職員が関わっています。つまり坂出市の公有財産と公金が費やされています。有害鳥獣駆除は、「正当な理由」があってこそ「許可」になるもの。もし今後も許可するのであれば、残念ながら坂出市の鳥獣関係行政が疑われる事態といえます。 県の指導(表中の※下線部)のとおり、「許可期間外」は捕獲箱を閉じておくべきです。カラス類でも勝手に「捕獲」はできません(鳥獣保護及び狩猟の適正化に関する法律第八条)。この「捕獲」とは、「現実ないし実質的に鳥獣を事故の支配内に入れるか否かを問わず、捕獲の方法を行い、鳥獣を捕獲しうる可能性を生じさせることをいうものと解するのが相当」と言われています(「鳥獣保護法の解説」鳥獣保護管理研究会,1981)。 捕獲者の「捕獲箱の一部分を開放しており、もし捕獲箱の中に入った場合は外へ出られるようにしている。」というのは言い訳以外の何者でもなく、現に写真では相当数が捕獲箱の中に入っています。これは明らかに無許可捕獲、法律違反です。今回は県の適切なご指導がありましたが、今後同様な状態があれば、県・市だけでなく、警察署へ対しても適切な対処を要請していきたいと思います。 |
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