珍しい野鳥を見つけたら |
〔概要・問題点〕 野鳥観察・撮影者が押し寄せ、野鳥や地元に迷惑をかける事態が多発しています。 誰でも珍しい野鳥を見つける可能性はありますので、そのときにパニックにならないよう、「何が大事か」という原則をしっかりとおさえて、慌てずに行動する必要があります。 |
〔香川の野鳥を守る会の方針〕 野鳥と地元が最優先。 |
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〔INDEX〕 ●(参考) 珍鳥を発見した人のルール(Code for rarity-finders)及び珍鳥ウォッチャーのルール(Code for twitchers) |
野鳥は生き物ですから、皆さんの自宅近くに香川県にめったに渡来しない種類や、もしかしたら日本初記録となる野鳥が渡来するかもしれません。実際香川県でも、メジロガモやアカハシハジロ、レンカクといった非常に珍しい鳥が渡来したこともあります。2005年末からのコウノトリの渡来も、記憶に新しいところです。 そのような場合、ついつい仲間に教えることを真っ先にしがちです。しかし野鳥と地元に迷惑をかけないこと、そして記録をきちんととることを優先したいものです。一度仲間やマスコミに情報を流すと、情報は一人歩きを始めます。その結果野鳥愛好者や一般の方が連日大勢押し寄せて、野鳥と地元が迷惑することも少なくありません。 特に、「自分が最初に見つけたのだから、情報を流すかどうかは自分の勝手だ」という方が時折います。しかしそうした方は、同時に「情報を流すかどうかを決定した責任」を負わなければならないという意識が欠落しています。そのため野鳥や地元が迷惑するかどうかは考えず、とにかく知り合いやマスコミにどんどん知らせます。しかしこうした姿勢が、全国各地でトラブルを招いています。 珍しい野鳥を見つけたとき、どう行動するか。そこにはその人の野鳥保護意識や、他人への姿勢が明確に現れます。 「野鳥情報を知らせる喜び」もいいものですが、まずは「発見する喜び」をかみしめ、冷静にその後の行動を検討しましょう。 種類や状況によって、対応のしかたはケースバイケースです。ただし「一に野鳥、二に地元」という原則は必ず押さえましょう。 @野鳥を識別する。 自分でわからないときは、本会スタッフや知人の詳しい人に相談しましょう。ただその際、連絡した方から別の人に情報を流さないよう伝えましょう。一度情報が流れれば、二度と隠すことはできません。 本会スタッフに連絡をいただいた場合は、皆さんの了承無く第三者に口外することはありません。 A記録する。 写真等を撮れるなら、野鳥や地元に迷惑のかからない範囲で行います。撮影できない場合、特徴や行動を細かくメモしましょう。 本会では形態・鳴き声・行動など、様々な点から詳しく記録されていれば、写真がなくても「確認」とする場合があります。 B情報をどう扱うか検討する。 落ち着いて考えましょう。 ・野鳥観察・撮影愛好者が多数訪れても大丈夫ですか? ・駐車スペースはありますか? 土・日は特に人出が増しますが、大丈夫ですか? ・「どこにいる?」「今もいる?」という問い合わせに対応できますか? 野鳥によっては、多くの人が尋ねてくることもあります。 ・野鳥は安全ですか? 隠れる茂み、餌はありますか? ・田畑への侵入は食い止めれますか? 残念ながら、他人の敷地に勝手に入る人もいます。 珍しい野鳥の記録は、きちんと残すことが大事です。 ただ多くの方は、新聞に流せばそれで良いと思いがちですが、実際はそれでは何の記録にもなりません。 (新聞記事は後で検索できず、その野鳥が渡来したことを知っている人しか利用できません。 ) そこでまず、本会など地域の野鳥関係団体に、観察状況を整理して報告しましょう。 報告するポイントは、次のとおりです。 ・いつ、どこで、だれが見たか ・見た野鳥の種、性別、年齢と、それらを識別した根拠 こうした報告をして会誌などで発表するとともに、種類によって香川生物学会や日本野鳥の会、日本鳥学会に報告しましょう。 ○
本会はリアルタイムでの情報は不要ですが、今後の資料とするため、後日報告していただければ幸いです。 ○
本会にご相談いただければ、各学術団体への投稿についてご協力します。 ●(参考) 珍鳥を発見した人のルール(Code for rarity-finders)及び珍鳥ウォッチャーのルール(Code for twitchers) 珍鳥情報の取り扱いについて、とても良い考え方の基準がありますので、ご紹介します。 初出は「British
Birds」75,1982.7,p301〜303、翻訳は古南幸弘氏で、「珍鳥ウオッチングに関するルール・イギリス編」(「野鳥」,日本野鳥の会,1990.4,p29〜30です。 イギリスのものなので日本とは一致しない部分も多く、日本では無理なところもありますが、考え方は非常に参考になります。 ○ 珍鳥を発見した人のルール(Code
for rarity-finders) 1 発見者は、珍鳥発見の報を必ずしも他へ流す必要はない、と考えるべきである。 2 情報を流したい時、そこに集まりそうな人数を予測し、鳥や環境、付近の住民に被害が出ないかどうか検討する。 3 土地の所有者、耕作者、付近の住民やバードウォッチャーに事情を説明し、事前によく相談しておく。道路交通への影響が考えられる時には、警察に届ける。保護区(サンクチュアリ)では、まず管理人(レンジャー)に報告する。 4 受け入れ態勢が整うまでは、情報を流さない。見回り、観察場所の指定、案内や方向指示用看板の設置、駐車場所の手配等の準備が考えられる。 5 情報を流す際、観察場所への道順と事前の取り決めについては、誤りなく伝える。 ○ 珍鳥ウォッチャーのルール(Code
for twitchers) 1 珍鳥発見の第一報を受け取った場合、情報を他へ流す前に、その場所にバードウォッチャーが殺到しても大丈夫かどうか確認する。 2 信頼できる情報には従う。 3 もし以前珍鳥を見に行った経験があるなら、事前に準備すべき対策について提言する。できれば現地で準備を手伝う。 4 出発する前に、観察場所への道順と事前に取り決められた事項について十分確かめる。 5 情報を流す時は、遺漏なくすべてを伝えるよう注意する。 6 現地では、常識に従って安全に駐車する。現地の指示を守り、鳥の生息を脅かさないことを第一に考えて行動する。 7 他人の不品行は黙認しない。 8 観察・撮影の際は、他の人より前に出てはいけない。鳥に近寄らず、双眼鏡、望遠鏡、望遠レンズを活用する。 9 バードウォッチャー以外の見物人や付近の住民にも親しく接し、必要なことは説明すること。 10 目あての鳥が急に、近くの別の場所に移動したような時は、出発を控え現地の態勢が整えられるのを待つ。 11 英国田園委員会(国立公園等を管轄する政府の行政組織)の定めた「田園のルール(the Country Code)」を守る。 その内容は、・火をださない、・犬をはなさない、・農地に入らない、・生け垣をこわさない、・家畜作物農機にさわらない、・ごみは持ち帰る、・池や川の水を汚さない、・生き物を傷つけたり持ち帰ったりしない、・交通安全に注意する、・騒音をたてない。 |
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