記録を専門誌に投稿する |
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●なぜ専門誌に投稿するか 野鳥は生き物です。生息状況は年々変化しています。ですから「現在の状況」は、今しか記録するチャンスはありません。 ある本に、「人間の記憶には次の3種類がある。」と書かれていました。 @ 個人の経験に関する個人的記憶 A 出来事やモノなどに関する社会的記憶 B 常識などの抽象的記憶 @はその人の頭の中以外、どこにも残りません。ということは、文書などにしてAやBに変換しなければ、どんなに価値があってもやがては消滅するということです。フィールドノートに残した観察記録や未公表の写真は、まさにこの@です。実に多くの方が野鳥観察・撮影をされていますが、それらのうちどれだけが、10年、20年後には残っているでしょうか。 皆さんが得た野鳥の記録を、きちんと残すことで、未来の人たちが野鳥保護の資料にすることができます。 よく誤解されていますが、珍しい野鳥の写真が新聞に掲載されます。もちろん何にも公表しないよりはいいのですが、残念ながらこれでは正式な記録とはなりません。その理由として、まず新聞は、内容が不十分という点があります。記事では「いつ・だれが・どこで」というポイントが省略されることがありますし、特に「この種と識別した根拠」が掲載されることはありません。そのため記事だけでは、本当にその種なのか、性別や年齢はどうかなどを確認することができません。 また、新聞記事は後から探し出すことができないという問題点があります。たとえば2005年末にコウノトリが渡来したことは多くの方がご存知ですが、このことについて新聞記事があるかどうか、確認できるでしょうか。「○○新聞にあった」という記憶があればいいほうで、何も知らない人は全紙を全頁探すことになります。 きちんとした学術誌では、書くべき内容の記載もれなどは指摘されますし、目次等によって掲載の有無はすぐに確認できます。 自分が楽な発表の仕方(マスコミに情報を流して記事にしてもらう)のではなく、第三者が確認しやすいかたち(学術誌など)で残すことが、本当の意味での「記録を残す」ということです。 香川県在住であれば、下記の学術団体が主な投稿対象になります。どれに投稿するかは自由ですが、おおまかな考え方を記しておきます。興味がある方は、それぞれのホームページか本会にお問い合わせください。 「学術誌への投稿なんて無理」と考えてしまいそうですが、皆が控えていると香川県の野鳥研究がなかなか進みません。 ぜひ挑戦してみてください。また本会でも、オリジナルの研究誌を画策中です。 ・香川生物学会「香川生物」 他県では珍しくないが、香川県では重要な情報(例えばハクチョウ類の渡来など)を投稿したい。 連絡先:760-8522 高松市幸町1-1 香川大学教育学部 生物学教室内 香川生物学会 ・日本野鳥の会「STRIX」 他都道府県の参考になるような、アマチュア研究を投稿したい。 連絡先:こちら ・日本鳥学会「日本鳥学会誌」 全国的に重要な記録を投稿したい。 連絡先:こちら ・文一総合出版「BIRDER」 唯一のバードウォッチング・マガジン。全国的に珍しい種の観察記録を投稿したい。ただし本誌に掲載されても、学術的な資料として扱われる保証はないため、やはり学術誌に投稿したい。 連絡先:こちら |
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