カムチャッカ
宮川 典子
今年の夏もカムチャッカヘ行って来ました。今回で5度目、娘が6年前に日本語教師として、向こうの大学に勤めるようになって、その翌年から毎年です。何が私をそんなに夢中にさせるのでしょう。
◎人たちの一生懸命さに何かを感じて…
昨年は帰る前々日から全市一斉の三日間断水で、バスタブに貯水をしてトイレを流す水の確保につとめました。豊かな日本では蛇口をひねれば何かが出るのですが、それが出ないのです。
走っているクルマは9割が日本の中古車。それも日本ではお目にかかれないオンボロ車が走り回っています。最近ようやく、スーパーができ始めてはいますが、コンビニなんて夢の夢。
そのかわり、市内のあちこちにあるフリーマーケットが面白いのです。横幅1・5メートルぐらいの屋台に売り手さんが一人ずついます。決して向こうから声はかけません。食料品、衣料、工具など、さまざまなものが売られています。
野菜は、大根はないのですが、日本で売られているもののほとんどがあるようです。魚は切り身がなくて、一本で売られています。安いです。なにしろ、一人なら月2〜3万円で生きてゆけるのですから。
日本で言えば、戦後まもなくのような光景のなかで、向こうの人たちは、当時の日本人のように真面目に、一生懸命、生活されています。娘の教えていた大学でも、日本語熱は高く、そんな学生さんの熱心な学習態度に感じるところがあって、ついつい、娘の滞在期間が6年にもなったのですが…。
おカネもモノもない不便な生活を頑張っている人たちですが、私たちにはない何かを持っているような気がするのです。
◎美しい景色
カムチャッカは火山地帯です。富士山のような円錐形の火山が、8月でも雪をいただいて、あちこちに見られます。それを取り巻く森林、蛇行する川の水のきれいなこと。大自然が、ここではいっぱい残されています。
そんな人たちと自然が、私をカムチャッカに夢中にさせているのです。娘は今年、帰国しましたが、さいわい日本語の分かる教え子がたくさんいます。私も一年ほど前からロシア語を少しずつ勉強しはじめました。
これからも毎年毎年、カムチャッカを訪ねてしまうのではないでしょうか。
(みやがわ のりこ)
月報みつばさ2003年10月号「私・・・に夢中です!」より