温故知新

  荻田久次郎

 与えられた主題に対し右記の様な副題を付け、いささか当人の私も大袈裟だなと思いましたが、最近私自身特に気に入っている言葉です。手元にある国語辞典によりますと温故知新とは「昔の事を研究して新しい道理を見つける事」と書かれております。
 昔を知ると言う意味でも、数年前からNHKのテレビ番組の「その時歴史が動いた」は欠かすことが出来ない放送の一つです。現在、特に私が興味を持っている分野はアフリカ、中近東を含む欧州史です。その中でも古代地中海文明とギリシャヘレニズム文化、ローマ文化、欧州中世史は飽く事の無いテーマであります。なぜその様な遠くて古い歴史に魅せられたかと申しますと、昔七年間社命でイタリアに駐在していた事、又塩野七生の「ローマ人の物語T〜」阿刀田高の「新トロイア物語」「獅子王アレクサンドロス」に影響された事など挙げられます。
 ご存知の如く人類の文明発祥地はナイル河のエジプト、二大河のメソポタミア、ガンジス河のインド、黄河の中国ですが、エジプト、メソポタミアの影響を強く受けたアナトニア半島(鉄のヒッタイト等)パレスチナ、ギリシャとローマその後の欧州史が近隣の中国、朝鮮の歴史と同様、過去現在の日本に大いなる影響を与えていると思うからです。歴史物を読んでおりますと、その時にその場所でその人と出会い、その人と対話が出来る様な気が致します。そして過去現在の日本及び日本人を外部から眺め、理解するのに大いに役立ちます。
 また特にトロイ落城後、王子パリスの従兄弟であり、家臣でもあったアイネイアスにより起源とされる(神話ですが)ローマ帝国、その平和(パスクロマナ)による地中海諸地域(アフリカを含む)、欧州の統治体制、その後の欧州キリスト教史を理解する上でも大変役立ちます。皆様も是非「ローマ人の物語」を読んでローマに行きませんか?   

 (おぎた きゅうじろう)



越谷教会月報みつばさ2005年7月号「私・・・に夢中です」より