修繕しながら

田中 郁子

 「奥さんコレ二十年乗ってるよ。俺こういう人好きだよ」。近所の自転車屋の主はこう言って私の愛車を修繕してくれる。
 「ねえKさんコレ解る?」「うん解るよ」「じゃ、お願い」。私の手書きの設計図を手に、我家を見事に改修してくれたK氏。(幼稚園のK主任の父上)。昨年クリスマスに召されて寂しくなったご家族に「我家でお茶飲みながら思い出話をしましょうよ」とお慰めした。
 「観て頂戴このレンジ三十年前に買ったのよ」とM電器の技師さんに言ったら「凄い新品みたいだ!我社には一台しかなくて展示の時は持ち歩きなんですよ〜」と感涙。寒風の中をホットになって帰って行った。     
 二十年前のスウェーデン製クリーナーを毎年メンテに来る社員さん。「こんなに大事に使ってちゃ次のお勧めできないなあ」と、一服して帰って行く。因みに私は、神様に修繕していただいて長持ちしている。   

 (たなか いくこ)


越谷教会月報みつばさ2006年12月号「Tea time」より