鉄道の大回り乗車

榎本喜美夫

 大回りという言葉から説明しましょう。
 JR大都市圏では近郊区間の場合、同じ駅を二度通らない、途中下車しなければ乗車経由を問わず最短区間の運賃で目的地まで行ける、という規則がありますので、それを活用していかに遠回りをして一番近い駅まで行くかを楽しむことです。
 例えば吉川駅から南越谷駅まで150円の切符を購入、乗車ルートをいろいろ考えて車窓風景を楽しむ、駅弁を賞味、駅中(えきなか)ショップをのぞいたりしながら、ひたすら電車を乗り継いだりすることなのです。(検札を考え、乗車ルートを記したメモの準備もします)
実施した例を紹介しましょう。
吉川―(武蔵野線)―新松戸―(常磐線・柏乗換え)―友部―(水戸線)―小山―(東北本線)―大宮―(京浜東北線)―南浦和―(武蔵野線)―南越谷
 このルートでは土浦付近で霞ヶ浦を遠望し、海に面しない高浜駅は霞ヶ浦浜辺からついた名前だろうと想像を馳せます。友部からの水戸線は単線ですが焼き物で有名な笠間を通過します。小山駅は新幹線とも接続する大きな駅です。駅弁を求めて構内の休憩ベンチで味わいました。
最近ちょっと残念なのは車内の座席設備でロングシートが多くなっていること。車窓風景や駅弁・お茶などの楽しみはボックスシートに限りますが、あまりありません。東北本線・常磐線・東海道本線などの中距離電車には車両編成の前と後に2両ほどある場合がありますが、始発駅でないとなかなかそうした座席は確保できません。
 家内に言わせると「ただ電車を乗り回すだけで何が楽しいのか」ということになりますが、趣味とはそんなものでしょうか。
 冒頭の約束事を守って、東海道本線・中央線なども含めたコースを考え試してみてください。ウィークデーの日中がおすすめです。

(えのもと きみお)





越谷教会月報みつばさ2008年10月号「私・・・に夢中です」より