和菜の妙

澤木八重子

 昨年の夏休み、コネチカット州(USA)から女子高生のJさんが孫娘の家庭にホームステイした折のこと。私もパーティに招かれ、食卓に着き四方山話をしていると 「Jさんは、ベジタリアンだから、肉は食べないの。副菜は、おもに野菜なの」と孫娘がいう。そして、ベジタリアンといっても魚類や卵までも食べないランクもあると聞き、私はとても驚いた。
 そういえば最近、私の食事の副菜も、だんだん肉類から遠ざかり、魚や野菜へと、変わってきている。
 そして今も、季節毎に揚がってくる魚類をメインに、焼くか煮るかソテイするかの調理に大体決まっている。
 しかし、日本の野菜は巾広く種類もかなり多い。根菜、葉菜、その他地上のもの、地下のもの、木の芽、旬の香りのもの、例えば、筍、蕗、紫蘇、茗荷、茸類等々。
 私の一日一回のパン食のサラダには、キュウリ、トマト、パセリ、セロリ、アスパラガス、パプリカ、等を添えるが、これらの西洋野菜は、夜の和食にはそぐわない。夜の和食には魚類と大根、人参、蓮、牛蒡、里芋、椎茸、それに高野豆腐、蒟蒻、昆布などが付け合わせて盛ってあると、膳の上全体に調和がとれて心まで満たされる。
 これらの和菜をどのように煮しめ仕上げるのがベストなのか、私は今、この取り組みに夢中になっている。
 先ずはそれぞれの野菜の灰汁抜き(水、酢水、米のとぎ汁、塩水)と、(塩、酒、醤油、味醂、砂糖、味噌)の調味料はできる限り薄味に仕立てる。
「野菜の煮しめは、薄味に仕上げ、そのひとつひとつの素材の持ち味を生かすこと」
 私はずっと以前に料理番組で観た、土井勝さんのことばを思い起こしながら、今日も、キッチンに立っている。

          (さわき やえこ)



越谷教会月報みつばさ2009年4月号「私・・・に夢中です」より