Before−After

森谷エイ子

 人様や家族の咳一つで心中穏やかでは無いのに、自身は危険な病気に罹り続けた結果、不健康が日常で健康は非日常に感じてしまう。
 左目が徐々に視力を失い、見えなくなったが右目が0.4なので充分と放っておいた。
 ところが、肩凝りに耐え兼ねて、眼科の診察を受け、即手術が決まった。術前の検査で心臓疾患がばれて、中止に大きく傾かれる先生を説得、手術して頂いた。モニターで説明の看護師さんと夫が見守り、数分で視力1.0になった。検査の度に「この年でこれだけ見えれば大したもの」と先生が喜んで下さる。確かに元気すぎる孫が荒し回った室内の疵と、右目が見落としていた汚れがはっきり見えた。
 絵画教室では生徒達の作品に過剰反応をして「先生煩い!」と注意されてしまう。
 美大・芸大入学者や有名漫画家を出した楽しい教室だったのに。一杯呑んで(コーヒーです)、反省。   

(もりや えいこ)

越谷教会月報みつばさ2010年1月号「Tea time」より