今月の特集題  新しい年 主をたたえる



もう言い訳は許されない
雲見 昌弘
 2年半ぶりにミャンマーから帰国した。ミャンマーというと軍事政権の怖い国というイメージが定着しているが、一般の人々は、貧しくはあるが、「穏やかでまじめで勤勉」、と日本人と共通する部分が多い。また、現世で善行に励み徳を積めば良い来世が約束されるという仏教の教えが社会の隅々まで浸透しているせいか、僧院に対する寄進や貧しい人や困った人に対する支援も日常的で、また犯罪も少ない。外国人にとっては、停電が多いこと、1年を通じて暑く湿度が高いことを我慢すれば生活しやすい国のひとつなのだ。
 ただ庶民の生活は、例えば、公務員の一月当りの給与が約5000円程度であることからわかるように極めて貧しく、家庭のうちで働ける者はみんな働いて収入を得、支えあって何とか生活しているのが実情である。又年金の受給額も月当り約300円と考えられないくらい安く、当然年金だけでは生活できないので、子どもが支援しているケースが多い。また子どもも当然のこととしてそれを受け入れている。何となく昔の日本と重なる部分を感じる。
 ある時、中央部に位置するバガン遺跡を見学したが、同行のガイドに今のミャンマーで何が一番不満か尋ねたことがある。答は言論統制であった。確かに生活が貧しいのも困るが、自由にものが言えないのも困る。特に公に軍政を非難することはできない。だからミャンマーの新聞は政治欄のページが極めて少ない。テレビも国営放送があるが、ミャンマー人は官製ニュースの時間になるとチャンネルを変えてしまい、代わりにBBCなど海外のメディアが流すミャンマー語のニュースを聴いている。
 ミャンマー人の大半は熱心な仏教徒である。キリスト教徒は1割弱であるがこれも熱心な人が多い。小生の秘書は中国との国境のカチン州出身の敬虔なクリスチャンであった。マンダレー大学の大学院で英文学を学んだインテリ女性だ。仕事の暇を見つけては、教会のパンフレットの作成などをやっていた。「日々の糧」の英文版のようなパンフレットを持ってきて小生にくれたこともあった。ある時話題が聖書のことに及び小生が「多忙な時は聖書も読まず、つい信仰から遠ざかる。退職して時間ができたら、もっと積極的に向き合いたい」というようなことを話したら、「多忙で困難な時こそ御言葉が活きるのではないか」と切り返された。まったく同感である。つまりは信仰が薄いということか。生来の怠惰な性格と多忙を口実にして今まであまり聖書に親しんでこなかった。しかし第一線を離れた今、時間的にも精神的にも少しはゆとりもできた。もう言い訳は許されない。
(くもみ まさひろ)

新年を迎えるにあたって
鵜飼由紀子
 お電話でみつばさの原稿を依頼され時にかなり戸惑いました。そのお題の難しさと、今の私。
 昨年は決して自分にとって良い年ではありませんでした。会社では赤字だった上期。決まらない息子の受験校。高校受験といえども、私達にとっては単なる通過点でも息子には人生最初の進路選択。
 日々を祈りの内に…。本来ならば、そうあるべきだったと思いますが、現実は違いました。
 今自分に出来ることをする。そんな事さえも満足にこなせずにただ流されるままに日々を過ごしてしまった様に思います。
 心が壊れるって、こんな時に起きるのかなぁなんて、悲観的になる事もしばしば。
それでも時は流れ、そうして、新年を迎える。
 今、自分がこれからどのようになるのかはわかりませんが、昨年は忘れていた事。神様が、いつも共にあり、見守っていて下さる事。道を示して下さるのだという事をあらためて心にとめて、新しい年を歩んでゆきたいと、いえ、歩める心を持ちたいと思っています。
 今年も公私共に厳しい年になるように思えます。
 そんな中で、神様のお導きを信じ、神様をたたえ、祈りの内に日々を過ごしていける、そんな強さと、心を持てるように。
 心を新たにして、一年を神様を賛美し祈る事を忘れずに過ごしてゆきたい。
 
 古いものはみな 後ろに過ぎ去り、
 よろこびの歌が 聞こえてくる。
 山も海も ゆたかにかがやき、
 めぐみあふれよ、新しい年。
大好きな賛美歌二編の中の一曲です。
 日々、前を向き、神様の示してくださる道を信じて行く。今年の目標にしたいと思います。
 余談ですが…新年早々、我が家に家族が増えました。
 日用品を買いに出掛けた時に何故かその子の前で足が止まり…釘付けになったその子。
生後4ヶ月のコーギー犬。犬は飼う気なんか全く無かったのですが、気が付いたら家族に迎え入れていました。
 息子も、今年に入り受験校を確定。(暮に一応決めたものの迷いがあったようでした)
 あんなに、悩み苦しかった昨年。新年早々、突然与えられた大きな恵み。
 新しく示された道、光に感謝し、筆をおかせていただきます。 
(うかい ゆきこ)

越谷教会月報みつばさ2008年1月号特集「新しい年 主をたたえる」より


特 集      HOME