今月の特集題  満ち足りて



最近思うこと
雲見 昌弘
 月日がたつのは早いものでミャンマーから帰国し、越谷教会に出席するようになって約1年半が過ぎた。越谷教会に転入したのは10年以上前だが、国内外の転勤が相次ぎ1年半前からようやく継続的に出席できるようになったのである。この間、母の死、長女と三女の結婚及び出産、30年以上にわたって勤務したJICA退職、等いろいろなことがあった。
 母は60代後半にパーキンソン病を発症し長期的に特別養護老人ホームに入所していて、小生は毎月一度帰省し見舞っていた。その後、希望が認められ、故郷の香川に転勤できたので、約2年間にわたり、週に一回程度母を訪問し、施設から連れ出して一緒に近所を散歩したり、時には、帰省した妹と一緒に、瀬戸内海に面する景勝地の鞆の浦や山陰のスキー場として有名な大山に小旅行もできた。その後母は召天し、小生もアルゼンチンに転勤になった。親には心配ばかりかけて、困っているときに十分な支援もできなかったのが今でも心残りである。しかし僅か2年ではあるが故郷で母と一緒に居られたのはきっと神様の恵みだろう。
 アルゼンチンの後は仙台、ミャンマーと滞在し、今はせんげん台の自宅で家族3人で暮らしている。現在は年金受給年齢の関係もあり、まだ新宿のJICAの関連機関で国際協力に参加したい人に対してカウンセリングを行っている。正社員ではないので重い責任もなく毎日9時半に出社、5時半退社の規則正しい生活だ。ただ、通勤時間が1時間半と、年とった身には、ちとつらいと思うこともある。
 人生も第三コーナーを回ると自然と仕事以外のことに費やす時間が増えてくる。現在の楽しみは、へぼなゴルフとザル碁と教会での聖書の学びだ。趣味と信仰とを同列に記することはいささか不謹慎ではあるが、ご容赦願いたい。囲碁はボケ予防、ゴルフは体力の維持、信仰は心の糧と勝手に考えている。今、創世記と使徒言行録を学んでいるが、イスラエルの人たちの祖先アブラハムの神へのゆるぎない信仰、またキリスト教を世界に広めた使徒たちのキリストに対する篤い思いには驚嘆する。事の始めには大きな犠牲と膨大なエネルギーを要するということが良くわかる。創世記や使徒言行録の学びを通じて感じることは、社会の諸制度は今までいろいろ改良がなされたが、人間の営みはあまり進歩していないということだ。アブラハムにおける跡継ぎや相続の問題、使徒言行録等における教会内部の諸問題等、我々の悩みや喜びは今も昔もあまり変わりない。信仰と理性で解決していくほかないのだろう。 
(くもみ まさひろ)


「キリスト教」と「キリストの教え」
佐々木義夫
 3月の特集題といささか趣が違うとは思いますし、又、独断的冗漫な文章で申し訳ないと思いつつ以下に記します。
 妻の強い希望で教会の門をくぐってから相当の年数が経ち、自分も変化しなければと思い立って受洗して3年を経過しても、どうしても壁があったのが、「キリスト教」と他の宗教の接点です。具体的には三位一体の唯一の神を信じて受洗した者が、日本民族の歴史・文化の象徴たる宗教と何故相いれていけないのか(尤もこれは入門当初からの疑問でしたが…)悩みの連続でした。石橋先生や壮年部長老の方々のご助言もあってクリアした積りでも、数カ月後には心中が揺さぶられて元の木阿弥になって、又悩む生活が続いたのです。
 そこに相談相手としてY兄が手を差しのべて下さり、その縁で今は部会終了後何でも話せる間柄になりました。同兄は理系出身らしく論理的且つネットを使って多面的に解決方法を教示してくれまして、その時以来非常に尊敬しています。例えば三位一体論はどうしても理解できなかったものの一つですが、外国の著名宗教家や哲学者の見解及びそれに対する反論等を収集して提示下さり、結局この問題は信じるか否かの問題で、私のような凡人には理解できなくて当然と納得できました。
 今は、聖書に記述されている「偶像」とはどこまでを指すのか教示してもらっているところです。この問題はB前大統領のように自分の考えに反対するものは全て敵という独裁者的発想(K元首相も同類)に基づけば、キリスト教の神以外は偶像の範ちゅうに入るかと思いますが、果たしてそんなに簡単に切り分け出来るでしょうか。それでは他国民の宗教の存在を認めないのと同じです。そんな疑問から聖書で明確な定義がない偶像の問題にのめりこんだ次第ですが、そこに教示されたのが表題の言葉です。
 ○○教というと他宗教との絡みが発生するので「キリストの教え」とすればこれは単独の問題となるのではないかという考え方です(私はそう受け取りましたが…)。それを聞いたとき、一気に脳内のモヤモヤが飛散した思いでした。
 丁度その時来日したクリントン国務長官が欧米要人では恐らく初めて明治神宮を日本の伝統に則って参拝された様子がニュースにでていました。これはどう捉えるかは個々の判断ですが、世界金融大不況の発震元として世界中から協力を取りつけたい思いが、有能な長官をして国益を最優先する為の日本への最大限の配慮なのでしょう。しかし、私にとってはこれが大きなヒントとなり、気持ちが随分楽になりました。
 これも主からこの時期にヒントを付与された恵みと大いに感謝している次第です。
(ささき よしお)

越谷教会月報みつばさ2009年3月号特集「満ち足りて」より


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