「みことばに聞く」

教会報「みつばさ」3月号より

大いなる大逆転

牧師 石橋秀雄
「神はわたしに慈しみ深く、先立って進まれます。
わたしを陥れようとする者を、神はわたしに支配さ せてくださいます。」

(詩編59編11節)
『日本聖書協会発行『新共同訳聖書』

 「プロジェクトX」という番組を見た。 日本で初めての大掛かりな風力発電の計 画についての番組だ。
 山形県の立川はダシと呼ばれる風が猛 威をふるい農作物に被害を与えている。 この風さえなければと思う猛烈な風が吹 き荒れる。この風を発電に利用し、今猛 烈に吹く風が町を潤している。  日本で初めて町の事業として風を利用 しようとしたその発想がすごいと思った。 風力発電機のプロペラが回りはじめて大 逆転が起こった。
 詩編59編の詩人は危機の中にある。カ ある敵が詩人の命を狙っている。悲惨な 現実が詩人を苦しめる。「御覧ください、 主よ」。詩人は繰り返し訴えている。  主が見て下さりさえしたら救われると いう生ける神への確信が示されている。 出エジプトに示される神は見ていて下さ る神であり、痛みを知って降りて来て下 さる神である。この確信を詩編59編の 詩人は持っている。
 「御覧ください、主よ」と繰り返し訴 え祈った詩人は、主は見て下さったとの 確信に立って、主の救いのみ手を信じて 待つのだ。
 「神はわたしに慈しみ深く、先立って 進まれます。わたしを陥れようとする者 を、神はわたしに支配させてくださいま す。」(11節)
  主が見て下さるとき、必ず降りて来て 下さる神は私たちの前を進んで下さるの だ。その時逆転が起こる。支配されてい るところから支配するものに変えられて いく。苦しめられている状況を克服する ものとされたということだ。神が先立っ て進まれる時、人生の大逆転が起こる。  私たちを脅かしていた力は無力にされ るのだ。
 「私たちを見てくださる神は」「先立っ て進まれる神」なのだ。  ここに私たちの希望がある。神が先立っ て進まれる時、大逆転が起こるのだ。
 主イエスの業はまさに私たちに先立つ あゆみをして下さった。罪と死、私たち の最大の敵だ。
 神のみカが神に逆らうカを動揺させ屈 服させると語られている。私たちの命を 脅かすカは死だ。罪だ。
 私たちは死に滅びるものであった。し かし、その罪のそこで裏切りのそこで、 大逆転が起こった。十字架の主はその罪 の只中に立って下さった。神に裁かれ滅 ぼされても仕方がないところで命の道が 開かれる。大いなる大逆転が私たちのた めになされたのだ。



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