心に留める


「雲の中に虹が現れると、わたしはそれを見て、神と地上のすべての生き物、すべて肉なるものとの間に立てた永遠の契約に心を留める。」
(創世記9章16節)




富弘美術館に行き、最近の富弘さんのビデオを見た。その中に印象深いお話があった。渡良瀬川で少年時代に経験した事が話されていた。川で泳いでいたら、深みに流されてしまった。その時、何度も川で遊んだ経験から、このまま流されていけば必ず浅い所に行くと思い流れに身を任せた。そして、浅い所にたどり着き助かったという。
教師になって2カ月目に怪我をした時、もとの所に戻ろうとしたら絶望する、そうでなくて流れに任せれば、必ず行き着く所があると思ったら気が楽になったと話されていた。
富弘さんは川を良く知っていて救われた。
人生の歩みの中で、大きな流れに押し流されて、このまま流れに身を置く事がある。しかし、行き着く所が知らされている、必ず救われるというその所を知っていれば、波に押し流される危機の中でも希望を失う事はない、波に流される危機の中にあっても平安が与えられるということを聖書から教えられる。
ノアの洪水物語において、洪水の後、新しい世界がもたらされる。
神が与える新しい世界に響く言葉は「雲の中に虹が現れると、わたしはそれを見て、神と地上のすべての生き物、すべて肉なるものとの間に立てた永遠の契約に心を留める。」(16節) 
虹は神の和解のしるしだ。「洪水によって・・・地を滅ぼす事は決してない。」(11節)
神は永遠の契約を立ててくださった。神は虹をとおして契約のしるし、和解のしるしとしてくださった。



  なお、「心に思うことは幼い時から悪いのだ」と洪水後の人間について神は語っておられる。洪水後も人間は変わらない。
しかし、神が一方的に誓ってくださっている。人間がどのような存在であっても、人間を二度と滅ぼさない。人間との関係を断ち切ることはない、「心に留めて、忘れない」と神は誓ってくださっている。滅ぼさないということは救い上げるということだ。
どのような人生の大波に流される危機の中にあっても、流れる方向は滅びではなく救いに向っている。必ず神が救い上げてくださる。二度と滅ぼさないとの約束の言葉が響いている。この神を知っている。神の言葉を知っている事が希望であり力だ。