主は戸を閉ざされて


「さあ、あなたとあなたの家族は皆、箱舟に入りなさい。・・・神が命じられたとおりに、すべて肉なるものの雄と雌とが来た。
主は、ノアの後ろで戸を閉ざされた。」
(創世記7章1節・16節)




 「見よ、それは極めて良かった。」と創造物語の最後に神の言葉が、記されている。神は天地の創造を喜び、楽しまれておられる。しかし、人間の罪が深まり、ついに神は「地上に人を造ったことを後悔し、心を痛められた。」(六章六節)事が示され、ノアの洪水物語が語られていく。洪水物語で、痛み悲しむ神のお姿である。
 「子どもが離れ去ったことに心を痛める、困惑した親の姿だ」とブルッグマンという旧約学者は書いている。
 「主は、ノアの後ろで戸を閉ざされた。」(一六節)
主は痛み、苦しみ、悲しみながら箱舟の戸を閉ざされる。洪水で全ての者を滅ぼしつくす事は、神の深い痛みである。
 人間の救いの根拠は、この神の深い痛みと悲しみにある。
 主ご自身が、「このような洪水で地を滅ぼす事は二度としない」と決心される。ここに救いの根拠がある。
神は深い悲しみと痛みの中で、新しい世界を造ろうと決心された。
 このノアの洪水物語の頂点に主イエス・キリストの十字架の救いがある。もう二度と罪の中に人間が滅びる事があってはならない。滅びる者への深い痛みと悲しみを主ご自身が担ってくださったのだ。
「さあ、あなたとあなたの家族は皆、箱舟に入りなさい。」(一節)




  神が命令される。
 神が命令される時、それは命の保証となる。救いの保証と言っても良い。
 「神の命令は永遠の命です」とヨハネ福音書に記されている。
 人間を救う為に命令されるのだ。
 そして、ノアは神の命令に従った。
 箱舟に入らなければ滅びてしまう。
 神がノアの後ろで戸を閉じられた。
 深い悲しみと痛みの中で神は戸を閉ざされる。
 新しい世界への入り口は閉ざされた。ノアとノアの家族以外に新しい世界に行く事はできない。深い悲しみと痛みの中で、神は罪の人間を滅ぼされる。
 神の裁きに耐えて、新しい命の世界に導かれるものは、神の言葉で作られた箱舟に乗る以外に道はない。
 すべて地にあるものはぬぐいさられて、ノアとノアと共にあったものだけが残ることができた。
ノアの箱舟は教会に譬えられる。「さあ、あなたも、あなたの家族も箱舟に入りなさい」と神の命令の言葉が響く。
 もはや罪の中に滅びるものとなってはならない。主イエス・キリストの十字架によって罪が赦されたのだ。主イエス・キリストを信じなさい、そして、船に乗りなさい、教会に繋がるものとなりなさい。新しい永遠の命を受けるものとなりなさい。新しい神の世界に入りなさいと主は命令されておられる。
 今、天国につながる扉の戸は開かれている。