みことばに聞く
    
「天の軍勢」

 



「ヤコブが旅を続けていると、突然、神の御使いたちが現れた。ヤコブは彼らを見たとき、『ここは神の陣営だ』と言い、その場所をマハナイム(二組の陣営)と名付けた。」

 
(創世記32章2節〜3節)



 ヤコブの旅は大きな試練に向かう旅であった。
「あなたは、あなたの故郷である先祖の土地に帰りなさい。わたしはあなたと共にいる」との御言葉に従って、故郷に向かって旅をした。しかし、その旅は兄エサウと対峙しなければならない旅でもあった。
20年前、ヤコブは兄エサウと父を騙して長子の特権と祝福を奪った。その為にエサウは怒り、ヤコブを殺そうと決意した。このエサウから逃げてラバンのもとに身を寄せた。しかし、今、「故郷の土地に帰れ」との主の御言葉に従って、旅に出た。恐ろしい兄に対峙しなければならない。そのヤコブに天使たちが現れ、ヤコブは「神の陣営だ」と告白している。
目に見えない世界がヤコブに示された。
神がヤコブに「わたしはあなたと共にいる」と約束された。
これほど力強い事はない。まさに「天の軍勢」がヤコブに示されそして消えた。
それは驚くべき光景であった。しかし、見えなくなった時、見える世界の問題が再びヤコブを苦しめる。

 


 目に見える世界の問題に直面し、それが大きな苦難である時、見えない世界の確信が揺らいでしまう。あの神が共にいてくださる事を実感した時の驚きも喜びも小さくなってしまう。
ヤコブは恐れおののいている。そして率直に神に祈っている。
「わたしは兄が恐ろしいのです。兄は攻めて来て、わたしをはじめ母も子供も殺すかもしれません。」(32章12節)
今兄が400名の供の者とヤコブを迎えに向かっているとの知らせに、この400名をもって攻められたらひとたまりもないと恐れている。
 目の前にある苦難が覆いかぶさってこようとしている時、わたしたちも慌てふためいてしまう。
目に見えない世界の確信が吹き飛んでしまう。
シリアの王がエリシャをとらえる為に大軍勢をもって取り囲んだ。絶体絶命だ。エリシャに仕える者が慌てふためいている。その時のエリシャの祈りに注目させられる。「主よ、彼らの目を開いてください」と祈り、エリシャに仕える者は目が開かれ、「火の馬と戦車がエリシャを囲み、山に満ちているのを見た。」と列王記下6章17節に記されている。
「目を開いてください」という祈りをわたしたちも祈る事が求められている。目が開かれて見えない世界の力に包まれていることを知らされる。だから苦難や試練の中で、しっかりとわたしたちの人生を歩んでいく事が出来るのだ。



  

  越谷教会月報「みつばさ」2009年9月号より




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