第5日

12月2日



その光は、まことの光で、世に来てすべての人を照らすのである。
(ヨハネによる福音書1章9節)


 クリスマスの礼拝にはろうそくが良く使われます。昔からヨーロッパでは冬には日照時間が極端に短いため、暖炉やろうそくの光は大変重宝され、人々の心の慰めとなっていました。冬至祭で「太陽の復活」を祝ってユールログ(大きな薪)を燃やした古代からの習慣とキリスト教の「世の光」という概念がよほど相性がよかったのでしょう、クリスマスはその光が特に重要視されるイベントになったようです。
  ろうそくはススが出るのが難点ですが、蜂の巣から採れる蜜蝋で作ったろうそくはススもほとんど出ず、最高級品として古くから教会などで使われていました。その蝋はワックス(Wax,蝋、ラテン語ではCera)とも言われ、人類との係わりは非常に古く、紀元前4200年頃のエジプトの遺跡からミイラの保存に使用されていたのが発見されています。
  また、紀元前1000年代のエジプト王家の墓からワックスで封された瓶のなかに水が残っていたとの話もあります。ワックスの主用途であるキャンドル(Candle,蝋燭)の歴史もまた非常に古いもので、紀元前1300年代のツタンカーメン王の墓から4個の燭台が発見されています。
 紀元前3ー4世紀の作とされる中央イタリアのゴリニ一世の墓の壁画には、現在のキャンドルと似た形をしたキャンドルが3本、鳥の嘴にさされた燭台が二基描かれています。
 キャンドルの用途は主に照明用、宗教用および装飾用の3つに分けられます。電気の普及により照明用に使われることは殆ど無くなりましたが、やはりキャンドルの燈は私たちに電気では到底感じられない暖かさと安らぎを与えてくれます。