第20日
12月17日

 

わたしは天使を拝もうとしてその足もとにひれ伏した。すると、天使はわたしにこう言った。「やめよ。わたしは、あなたやイエスの証しを守っているあなたの兄弟たちと共に、仕える者である。神を礼拝せよ。イエスの証しは預言の霊なのだ。」
 
(ヨハネの黙示録19章10節)


 

 

 クリスマスの出来事は祭司ザカリアのお話から始まります。ザカリアとその妻エリザベツには子どもがありませんでした。彼らは長い間子どもを授かることを祈ってきましたが、年もとってきたので、殆どあきらめかけていました。
 ある日、ザカリアは神殿でお祈りを捧げる役目に選ばれました。その役目を仰せつかることはとても光栄で素晴らしいことでした。ザカリアは香の煙が立ち昇る神殿の中でただ独り、イスラエルの人々の為に必死で神様に祈っておりました。
 すると突然、ザカリアの前に天の御使いが現れました。
 「恐れることはありません。ザカリア、神様はあなたの祈りを聞かれました。あなたの妻エリザベツは、男の子を産みます。その子にヨハネと名付けなさい。彼は神様の大切なご用をします。救い主が来られるための準備をする者となります。」
ザカリアはあっけにとられました。 
 「どうしてそのようなことが起こりえましょう。私も妻も、とても年を取っていますのに。」
御使いは答えました。
 「私は神様から遣わされた天の使いガブリエルです。あなたは私のことばを信じなかったから、私が言ったことが実現する日まで、話すことが出来なくなります。」
 神殿から出てきたザカリアは、口がきけなくなっていました。
    

 やがて時が満ち、エリザベツは神様の予言どおり男の子を産みます。その子の命名の席で、今まで口の聞けなくなっていたザカリアが板に字を書きました。
 「その子をヨハネと名付けよう。」
すると、たちまちザカリアの閉ざされていた口が開き、その口からは神様を賛美する言葉が沸き出でてきました。こうしてヨハネには主の力が及び、健やかに成長していきました。
 ヨハネは、祭司の家に生まれたものの、既存の祭司の集団には加わらず、ヨルダン川沿いの地方一帯で、人々に「悔い改めよ、神の国は近づいた」「私よりも優れた方が、後から来られる」との教えを述べ伝え、悔い改めの印である洗礼を授けて回っていました。聖書には他に何人ものヨハネさんが出てきますので、区別をつける為に、特に「洗礼者ヨハネ」と呼ばれています。ヨハネはメシアを待ち望んでいる民衆に福音の音信(おとずれ)を告げ知らせました。 このようにして、御使いガブリエルのお告げは成就されたのです。
ガブリエルは、この後マリアのもとを訪れ、受胎告知をすることになります。
 
 さて聖書の中では、御使いたちが現れると皆恐れおののくとありますがどうしてでしょうか?恐怖の念に襲われているザカリヤにもガブリエルはまず、「恐れるな」と言っていますし、マリヤに受胎告知をした時も、同じように「恐れるな」と言っています。
 ルドルフ・オットーという人が著書の中で、聖なるものに接すると人間は恐れの感情を抱く、ということを言っています。 私達は普段、汚れたものの間に住んでいるので、自分の罪や汚れに全く気付きません。

ちょうど、黒い物の上に汚れがついても目立たないのと同じです。しかし、真っ白の物の上に汚れがつくと非常に目立ちます。 それと同じように、私達ももし聖なる神の前に出るならば、自分の汚れにはっきりと気づかされるのでしょう。

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