第26日

12月23日




イエス・キリストの誕生の次第は次のようであった。母マリアはヨセフと婚約していたが、二人が一緒になる前に、聖霊によって身ごもっていることが明らかになった。 夫ヨセフは正しい人であったので、マリアのことを表ざたにするのを望まず、ひそかに縁を切ろうと決心した。このように考えていると、主の天使が夢に現れて言った。「ダビデの子ヨセフ、恐れず妻マリアを迎え入れなさい。マリアの胎の子は聖霊によって宿ったのである。 マリアは男の子を産む。その子をイエスと名付けなさい。この子は自分の民を罪から救うからである。」
(マタイによる福音書1章18節〜21節)




 ガリラヤ地方のナザレという所に、ヨセフという者が住んでいました。職業は大工で、働き者で、神様に従う心の優しい人でした。聖書によりますと、彼はダビデ王の子孫でエッサイから繋がっているものでした。彼はマリアと結婚の約束をしていました。
 マリアは三歳の時、神殿の巫女となりました。それはマリアの母アンナが、子どもを授かるように祈っていたときに、「生まれた子は神に仕える身として神殿に捧げます」と神様に約束したからです。この誓いによってマリアは、神殿を飾る垂れ幕の布に刺繍をする者となったのです。その神殿は親族ザカリアとエリザベツの居る神殿でした。
 マリアが12歳になった時、大司祭ザカリアの前に天使が現れて、マリアの夫を杖の奇跡で選ぶように告げました。マリアと結婚を望む男性たちが、杖を持って神殿に集まりました。するとヨセフの杖にだけ、花が咲いたのです。これが天使が告げた、杖の奇跡なのです。奇跡の杖を供えた者に嫁ぐという約束の基、マリアはヨセフと婚約したのです。
 


 或る日、ヨセフは驚くような知らせを受け取りました。マリアが赤ちゃんを身ごもったというのです。そんなことはありえません。その時代婚約して花嫁になる人は家族や友人と共に暮らし、マリアは将来の夫である婚約者のヨセフとの間の意志の疎通、連絡も誰か人を介さねばならず、直接、婚約者のヨセフと会うことは禁じられていたからです。またマリアはその間、後見人である大祭司ザカリアのいる神殿に預けられていました。
 ヨセフは悩みに悩みました。「いったいどういうことなのだろう?」周りの人々が知ったら、きっとマリアは非難されます。その当時、姦淫の罪は石打ち刑による死を意味しました。ユダヤ人の間では今も律法に合法なリンチとして続いているようです。他の解決法としては、誰か証人を立てて、その証人の前でマリアとの婚約の契約を破棄し結婚の契約を解くことでした。つまりは離縁することなのです。その当時、婚約破棄自体が基本的に許されないことでした。今の時代の婚約より結婚そのものと同じで重い意味がありました。結婚は契約であり、神様の前で契約を交わし神様に対して結婚することを誓うことと同じで、必ず守り行うベきことであったのです。

 


 ヨセフは婚約者のマリアを愛していたので、何とか周りに気づかれて大騒ぎになる前にマリアを死刑の恐れから救いたいと思っていたのでしょう。事が公になる前に、律法が許している方法、誰か証人を立てて、結婚の契約を破棄してマリアとの婚約をなかったことにしようとしました。
 そんなことを考えながら横になり、うとうと眠りにつきました。

 

 すると、神様のみ使いが夢に現れました。
 「ヨセフよ、恐れないでマリアと結婚しなさい、マリアは神様のお力によって赤ちゃんを身ごもったのです。その子をイエスと名付けなさい。その子は、ご自分の民を罪から救ってくださる方なのです。」
 


 目を覚ましたヨセフに、もう迷いはありませんでした。ヨセフは神のみ使いのことばに従って、マリアと結婚したのです。
 その頃、全世界の人口調査をせよとの勅令はローマ皇帝より出されました。そのため、イスラエルに住む人はすべて自分の町に帰って登録しなければならなくなりました。ヨセフも妻のマリアを連れて、ナザレからユダの町ベツレヘムへと向かいました。その旅の途中でイエス様が誕生します。
 ヨセフは常に神のみ言葉に従いイエス様を守りました。このヨセフの偉大な信仰と母マリアの従順な信仰のゆえに、神の子イエスは生誕したのです。

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