6月9日 初夏の小板


 しばらくぶりに小板に帰ろうかと、思っていたのに、うっかり映画を見てしまい、小板についたのは、12時半。
親父さん、おふくろさんはすでに寝ているし、若夫婦はちょうど寝るところ。

りょうちゃんの予定日は11月中旬。そろそろ腹帯を締めるころだそうだ。
かっくんが、「もう少し早く帰ってきたら、面白いものが見れたのに」というので、「なに?」ときくと、最近、後ろ足の太ももの部分を骨折した子牛がいたらしい。ギブスができない場所だったので、蒲焼のように、2本の針金(?)で固定して、その針金を足の上からプレートで固定してたんだそうだ。そのプレートをつい最近はずしたんだって。うーん、見浦牧場広報担当としては、惜しいことをした。

日曜日に2件の出荷を控えているというので、夜更かしはできない。こりゃまた、タイミング悪いところにきちゃったな。ということで、その日はおとなしくすぐ就寝。

次の日、6月9日 日曜日 快晴。かっくんとおふくろさんは朝早くから牛の出荷で三次へ出発。第一陣は神戸大阪方面に出荷されるのだそうだ。

みんな仕事が忙しいので、ワラビでもあったらめっけもん、と一人で牧場周辺の散歩に出かける。

花壇は、セキチク(石竹)

アオイ(?)、

松葉菊、

色とりどりの花でいっぱい。驚いたのは、まだ広島では咲いていない、サカヅキソウが満開だったこと。

畠の脇には、マーガレットの花畑。

牧場へ向かうと、土手にノイバラが満開に花をつけ、近づくと、甘い花の香りで酔ってしまいそう。

飼料タンクの手前には、黄色いタンポポに似た花が満開で、モンシロチョウや蜂たちが蜜を集めるのに大忙し。

畜舎の手前のイバラの藪はスズメのお宿になっている。せっかく双眼鏡+デジカメ持ってきたんだし、撮影に挑戦するが、手際が悪く、撮れたのはこれ一枚。

牧場の畜舎の脇を通りかかると、例によって牛たちが驚いて、地響きを立てながら大移動。

畜舎の上の道の脇には、野生のエゴノキがそこかしこでびっしりと白い花をつけている。こんなところにエゴノキがあるなんてちっとも知らなかった。広島の家の庭にあるエゴノキとは、少しばかり花の形が違う。

道の様子はこんな感じ。すっかり木々の葉が生い茂り、木漏れ日が気持ちいい。

その道の先は、今はもう使っていない。近くでいろいろな鳥の声がするので、倒れた木に座ってしばらくじっとしていると、小鳥たちの声がだんだん近づいてくる。ウグイスと鳩の声ぐらいはわかるけど、他はぜんぜんわからない。すぐ近くで声がするのに、木々の葉で隠されてどこにいるのかさっぱりわからない。それでもしばらくしていると、頭が黒くて体がオレンジ色のヤマガラが、「ツツピー、ツツピー」と近くの枝までやってきた。動きが早くて、とてもデジカメ+双眼鏡では撮影は無理。

みずみずしい緑の間から望む深入山。

道端には、ぽわぽわした白い花、サワフタギ(?)

薄水色のアジサイに似た、コアジサイ

2つの牧草地をつなぐ道沿いには、シダレノイバラの大木。

牧草地に下りて、牧場の周りをぐるりと巡ることにする。

牧草地は、一度草刈をした後らしく、新鮮な緑が一面に広がり、モンシロチョウやモンキチョウがひらひらとあちこちで舞い飛んでいる。

アザミには、クロアゲハ

毎年、ワラビをとりにいく付近に近づくと、残念ながら、ワラビはもうすっかり木になっていて、食べられるワラビは見つかりそうにない。

突然、牧草地の下の林の中を、何かが走って逃げていく音がする。そのときはイノシシかなぁとおもってたんだけど、後からきいたら、そこは親子熊の縄張りらしい。後から冷や汗。

いろいろな鳥の声が聞こえるけど、姿は見えない。見えたとしても、飛んで逃げる後姿だけ。バードウォッチングって難しいぞ。

牧草地の斜面を登っていくと、見るからにおどろおどろしい、ムラサキマムシグサを発見。こっちでは、毒の草として有名らしい。実際、かなり強烈な毒があるんだって。山野草ファンが見たら、喜ぶのかな?

マムシグサのそばには、ハナミヅキによく似たヤマボウシ。この木の赤い実は子供のころ大好きだったな。

左手前の山の中腹から緑の濃い牧草地の周辺をぐるりと回って、反対側からみたところ。写真右端辺りが熊の縄張り。正面に見える山は臥竜山。

牧場を一回りして帰ってくると、ガレージの裏の林で、スズメの声に混じって、ちょっと変わった声がする。林の中をジーっと眺めていると、白黒まだらの背中が見えた。コゲラだ。2羽でおっかけっこをしている。本日2羽目の視認。

ちょうど、かっくんとおふくろさんが三次から帰ってきた。おふくろさんが温室に水をやるのを見学。温室の中にはスイトピー、西洋オダマキ、ダイコンソウ。赤くなったイチゴをもいで持ち帰る。甘すぎず、すっぱすぎず、なかなか美味。

お昼ごはんを食べて、みんなはまた出荷の準備。第2陣の運転手はかっくんと親父さん。

林道沿いにキツツキの巣があるらしいので、行ってみる。林道のすぐ脇に立っている桜の枯れ木を良く見ると、途中に直径5cmぐらいの穴がある。残念ながら、空き家らしい。山のほうからは、「カッコウ」「ホーホケキョ」「月日星」「特許許可局」の声。さらにはアカゲラが木をつつく「カカカカカカ」という音が。姿を見つけられないのがいかにも惜しい。

道端にはオオキンケイギク

いかにもマメ科のセイヨウミヤコグサ

小鳥の声、初夏の緑と青い空。なんて伸びやかな景色。

バードヒアリング(?)を堪能してから家に帰る。

おふくろさんに見浦牧場の歴史を聞く。おふくろさんがお嫁にきてから、紆余曲折を経て、牛飼いにたどり着いた話。おじいちゃんがなくなったときの話も始めてちゃんと聞いた。本当にいままで、何も知らずにきたんだなあ。

そうこうしているうちに、もう6時。車を出そうとすると、ちょうど、かっくんと親父さんが出荷から帰ってきた。今回はあんまり話できなかったけど、またくるねー。