特派員レポート

精肉作業の実際ー枝肉が店頭に並ぶまで


スーパーに並んでいるお肉は、きれいですが、精肉作業は、重いし、危険だし、とっても大変です。

まず、枝肉。
体を縦に半分に切って、皮とかツメとか頭とかを取り除いた状態)、つまり、と殺場で処理されたままの状態です。

この枝肉から骨をはずして行く、骨抜きという作業が行われます。

骨抜きには短めのナイフを駆使します。
枝肉を吊るしたまま、ナイフを骨と肉の間に入れて外します(見ただけなので、やり方は不明?)。
枝肉重量は300kgぐらいあって、骨も大きいので、作業は重労働です。

次にロースとかバラとかの部位毎に切り分けます。
部位の切りかたは、骨の何番〜何番の間を切るという風に細かく切り方が決まっています。

部位に切った後は、真空パックにして箱詰めされて流通(雪印で問題になりましたが…)します。
精肉屋さん(スーパーを含めて)、ブロック肉を買って、整形(筋とか余分な脂を取ること)し、加工するのが普通になっているようです。

昔の肉屋は、枝肉を仕入れて、骨抜きから整形、加工までしていました。
ブロック肉のデメリットは、蒸れること。肉の日保ちは良くなりますが、ビニールから出した時、ドリップ(肉汁)もたくさん流出してしまいます。味がおちてしまうのです。
肉は枝肉のまま、低温で保存し、じっくりと熟成させたほうが美味しいといわれています。
しかし、ブロックで買えば簡単だし、欲しい部位だけを購入することができるので、今ではブロック肉の流通が一般的となっています。

お肉屋さんでは、ブロックで買った肉を整形します。
これも重労働です。

肉には分厚い皮下脂肪がついていて、これが結構固いんです。
この脂を、刺身包丁のような長い包丁を使って適当な量まで削り取ります。
(脂には、旨みもあるので、全部取っては美味しくなくなります。部位毎に適当な脂の量があります)

骨肌をきれいにします。
骨抜きをしたときに、骨が残っていることがあるので、骨がついていた所を指で触りながら、固いものがあれば取り除きます。

次に筋を引きます。
肉は、もちろん筋肉のことですから、筋肉を動かすための筋が、肉の間に複雑に入りこんでいます。
この筋を取らないと、料理した時に固くて歯に当ったりして、美味しくなくなります。

筋は、部位毎につき方が違うので、筋引きには熟練の技が必要です。
筋を引きながら、もっと細かな部位に分割していくこともあります

例えばランイチ(お尻の部分)など、タタキ、刺身で食べられる美味しい部分と固くて焼かないと食べられない部分が一緒になっているので、こうした部位を細かく分けて、加工します。

しかし、スライスにする場合は、大きな筋だけを取ってスライサーにかけてしまいます。
(でも肩ロースなどは50kgぐらいはあるので、スライサーに乗せるだけで大変)

整形室は、肉の品質を保持するため、気温をあげられません。
だから冬はとっても寒いです。夏は、クーラーをガンガンかけるので、冷房病になりそうです。

また常に衛生状態をきれいに保つため、作業が終わった後は、部屋中をジェット水流を使って清掃します。
また、アルコールなどを使って殺菌も毎日行います。

脂や肉が流れ出て、水質を悪化させてはいけないので、浄化曹で分解させていました。

当時は、筋を取るとき、お肉をつけないようにといわれていましたが、最近スーパーで売っている筋を見ると、肉がいっぱいついていたりしているので、消費者にとってはいい話しかも。

(2002年3月3日 リツ特派員報告)