特派員レポート

育つ木


……

そりゃぁの、わしらぁみたいに、自然の中で暮らしとるもんには、あったりまえなんだぁや。

なしてあたりまえか、ゆうとの、まあ、むかしゃぁ、稲の苗をとるときに、苗をとって洗うんだがの、今、植物抜いての、こう、洗やぁええんよ。根っこを。

そうするとの、よう伸びるやつは、白い根がいっぱい出とる。そいで、伸びないやつは、黒っぽい、赤っぽい根があるだけで、白っぽい根がないんじゃ。そりゃなしてか、ゆうたら、養分を吸う、窒素や燐酸、カリ、それから、水分やら吸うのはの、細胞膜通して吸うんだぁや。古い組織や古い細胞の表面から、よう、中へいっそ吸収せんのんよ。ほいじゃけぇ、養分を吸うのは、常に新しゅう伸びた根しか養分が吸えんのよ。

ほいじゃけぇ、よく伸びる木は、いっぱい根を、目には見えんでも、絶えず根が伸びよる。絶えず努力しよる。絶えず知識を吸収しよる。それは根が伸びとりゃ、ちょっと手をやれば、立派な木にもなるし、立派な仕事も出来るんよ。

ところが、なんぼぅ上の木が立派でも、下の根が伸びん、白い根がないようなものは、はぁ、枯れるばっかりなんだけぇ。

ほんだけぇ、わしゃぁ、今のサラリーマンでも、人でも、もっと、自然を、、わしらぁ、自然の中で、淘汰され、進化し、こうして生き残ってきたんだけぇ、自然の規制をものすご、受けとるんよ。その規制の中で、生き残るやつと、生き残らんのが分けられよるんよ。

だけぇ、もっと、自然ていうものを、もっとみんなが見て、そんなかから物事を学びさえすりゃぁ。ぽーっとしとるやつぁ、枯れるにきまっとるんだけぇ、あんたぁ。

そりゃぁ、「わしゃあ、そこそこでええよ」、ちゅうなぁ、はぁ、1年か2年か、木は立っとるけど、大部分が化石じぇけぇのぉ。ありゃぁ。中は化石なんじゃけぇ。

生きとるやつはへりの形成層の下へ、わぁーっと、水を吸い上げて大きゅうなりよる。そいだがまぁ、養分を吸わんようなやつぁ、もう、形成層がだんだんなくなって、いっぺんにはなくならんけど、すぐに枯れるなぁ、はぁ、決まっとるんじゃけぇ。

ほんだけぇ、自然の中でもっと、みんな、もっと自分を見つめてみる。どんなに理屈をゆうても、自然に逆らうことはひとつも無いんじゃもん。

ほんじゃけぇ、サラリーマンだろうが、なんだろうが、組織の中で生き残ろう思うたら、その原則に従わにゃぁ、生き残れんのよ。

(2003年4月29日 見浦哲弥談)

<オリジナル音声はこちら>

(掲載:2003年5月29日)