「思い込み」                                                   

 
 女房子供を連れての帰省である。熊本空港に着陸し、到着ロビーへ向う。
 親父が迎えに来てくれる約束だったので、手を振って迎える親父を想像しながらロビーを通過するが、その姿は見当たらない。昨日のメールで‘ゆっくり来る’と書いてあったので、まだ到着してないんだろうと、待つこと15分。来ない。いよいよしびれを切らして電話をしてみる。
 「もしもし親父?今どこ、待ってるんだけど」
 「あれあれ、随分前からバス乗り場の前にいるよ」
 「あっそうなの。じゃあ、探してみる」
 一旦電話を切り、バス乗り場に向う。長い乗り場を端から端まで歩いたが、親父の姿は無い。
 再度電話する
 「親父、いないじゃん。どこにいるのよ」
 「バス乗り場から動いてないよ私は。君達こそどこにいるんだい」
 「バス乗り場前をウロウロしてるんだけど」
 ま、まさか・・・・・寒気が走る。
 「そちら、いまどちらですか?」
 「馬鹿だねぇ何を言ってるんだい、空港に決まってるじゃないか。福岡空港だよ」
 あぼ〜ん。

 親父は意地になって今からこっちに向うと言うが、距離や時間的にも現実的ではない。また、子供の我慢も限界に達したところでさらに長時間、バス、電車を乗り継ぐのも不可能である。仕方なくレンタカーを借りて実家まで帰る羽目になった。

 自宅に着くと、母親と親父の言い合い合戦。
 「金太郎達は熊本空港に着くってあれほど言ったじゃない。それなのに貴方は頑として聞かないんだから。たまがっ!」
 「福岡空港を使うほうが飛行機代が安いだろう、当然、貧乏な金太郎だからそれで来ると思うじゃないか!」

 まぁ、どちらに分があるかは火を見るより明らかであるが、親父としても誠に親切で福岡空港で待っていてくれたのであり、こちらとしても文句は言えないところである。
 「ちゃんと確認してくれよ親父・・・」心の中で呟いた。

 授業料としては少々割高だったが、万事「そうに決まっている」と思い込む前に、確認することの大事さを教えてくれた出来事であった。

 

2004.6.16 金太郎