ペイトンプレイス物語:記事

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ペイトンプレイスって何?

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知らないあなたオクレテル…

9月5日から毎日(月〜金)、二年半放送

 いま東京の若い女性の間で一番はやっているもの―ミニスカートでもなければ、ツイスト、ロックンロールでもない。「ペイトンプレイス物語」というテレビ・ドラマである。新聞、雑誌によると深夜のテレビ小説として、完全にアズマオンナの心をとらえ、しにせの大人向きショー番組をおびやかしているそうだ。人気絶頂のこの「ペイトンプレイス物語」を、大阪では朝日放送テレビがいよいよ9月5日から放送することになった。放送を前に、このドラマの人気の秘密、見どころなどをさぐってみた。(放送=毎週月〜金曜午後4時)

ぜひ大阪でも!

 「この間、東京へ行ったのですが、いま東京では"ペイトンプレイス"という外国テレビ映画がものすごい人気なんですって!友達の家へ泊めてもらった時に二晩続けて見たんですが、そのすばらしさは言いあらわせないほど…。友達がいうには、"こんなステキな番組が見られないなんて、大阪ってやっぱり遅れているのネ!"ですって(クヤシ〜イ!!)。ぜひ。大阪でも朝日放送が何とかして放送してください。ぜひ、ぜひ…」。
 これは、ある女子大生がABCに寄せてきた"嘆願書"である。このように、いまや「ペイトンプレイス物語」を知らない女の子は、いくら流行の最先端をいくファッションで着飾っていても"オクレテル〜ウ"そうだ。

"ペイトン―"とは

 "ペイトンプレイス"とは、アメリカのニューイングランド地方にある架空の小さな町。ドラマはこの町を舞台に、燃えるような若者たちの激しい恋、エゴに満ちた大人の愛などを人間味豊かに描いていく。自由への目ざめをテーマに、小さな田舎町に息づいているさまざまな愛をキメ細かくえぐり出す。男女や家庭のワクをこえ地域社会に中でのセックスなどを正面にすえているのも新鮮である。
 ところで、この作品は一九六四年から六年間にわたってアメリカのABCネットで放送されたテレビドラマで、五十年代に出版された、女流作家グレース・メタリアスのベストセラー「ペイトンプレイス」が原作。

新人のオニールも

 出演は、当時、まだ新人だったライアン・オニール、ミア・ファロー、バーバラ・パーキンス、そしてオールド・ファンには懐かしいエド・ネルソン、ドロシー・マローン、マット・スウェインら魅力的な俳優をそろえている。
 ペイトンプレイスの一番のブロンド美人は未亡人のコンスタンス・マッケンジー(ドロシー・マローン)。その一人娘・アリスン(ミア・ファロー)は、感じやすい年頃で私生児。新しく町にきた医者・ロシイ(エド・ネルソン)は十七年前、アリスンの誕生に立ちあった人。町一番の金持ちで有力者のレスリー・ハリントン(ポール・ラングトン)。ハリントンの秘書で、ハリントンと情事にふけるアンダーソン夫人(ケーシー・ロジャース)。アンダーソン夫人の娘ベティは、ハリントンの息子で道楽者のロドニイ(ライアン・オニール)と深い仲。ここに展開するのは苦悩か、よろこびか……。それはテレビをごらんになるアナタが決めることだ。
 典型的なアメリカの国民ドラマだが、若者の恋愛、結婚、別離、おとなのエゴ、仕事、不倫の愛など、だれもが知り得る身近な事がらを扱っているだけに、現実に即して、いっしょに悩み、いっしょに喜べるのがミソである。
 形式は一話読み切りで、五百十四本の長編ドラマ。月曜から金曜まで毎日放送して、二年半かかるという"超ロングラン"なのだ。

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試写会のお知らせ

 朝日放送テレビでは、「ペイトンプレイス物語」の放送開始を記念して、左記の要領で特別試写会を行ないます。
 とき 8月28日(日) 後2時
 ところ ABCホール(国鉄環状線福島駅下車、徒歩7分)
 あて先 〒531 大阪市大淀区大淀南二丁目 朝日放送テレビ編成部PR課「ペイトンプレイス物語」試写会係まで。
 締め切り 8月21日(日=消印有効)、抽選で600人招待。
 内容 「ペイトンプレイス物語」第一話、第二話を上映。
なお、抽選により、セピアンのダイヤ入りペンダント・アクセサリーほか多数プレゼント。

(朝日新聞 1977年8月の記事より)
来週スタート「ペイトンプレイス物語」

月〜金夕方4時から

公開試写会レポート

第1話「小さな波紋」あらすじ

 ペイトンプレイスに新しい医師マイケル・ロシイ(エド・ネルソン)がやってきた。父のレスリー(ポール・ラングトン)に頼まれて、駅まで迎えに出たロドニイ(ライアン・オニール)は、その報告をしにレスリーの会社を訪れ、父と秘書のジュリー(ケイシー・ロジャース)がキスをしているところを目撃する。
 ロドニイは、いっしょに出迎えに行ったベティ(バーバラ・パーキンス)にドライブの約束を破って、一方的に帰ってくれという。ベティはジュリーの娘であったのだ。ロドニイは、やりどころのない怒りを、町角で見つけたアリスン(ミア・ファロー)とのデートの約束を取りつけることで解消しようとする。二人は土曜の夜を約束し、熱いキスを交わす。
 高校生のアリスンにとってそれは初めて男性を意識したキスであり、ロドニイにとって彼女は、弟ノーマンが心をひかれているガール・フレンドだった……。

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 女性を中心に、ちょっとしたブームになっているテレビ映画「ペイトンプレイス物語」がいよいよ来週5日、月曜午後4時から放送される。放送前にABCホールで行なわれた特別試写会は、前評判を聞いて集まった人々で会場は超満員。男女の愛と性、自由への目覚めを、アメリカの小さな田舎町を舞台に連続五百十四本の超ロングランで描くこの物語。一話、二話だけの試写では、十分に内容を把握しきれないかもしれない。が、試写を見終わった女性に、その感想をしゃべってもらった。(敬称略)(放送=毎週月〜金曜午後4時)

▽●田●子(16)高校一年
 私はまだ、この物語に出てくる女性たちの気持ちが良く理解できない、というのが正直なところです。でもドラマ全体のムードからみて、これから先、人間関係の中でいいものが出てくるような気がしました。今日、誕生日祝いのつもりで試写会にやってきたんですが、この"ペイトンプレイス"終わる二年半先までには、私自身も、恋する年ごろに変わっていくんでしょうネ!

▽●谷●里(15)中学三年
 昔のアメリカ映画のわりには、まったく古さを感じませんでした。人間関係にしても、私たちがドラマの中へそのまま入っていけそうな新しさが出ていたと思いました。でも、放送時間が午後4時だと知って、とてもガッカリしました。たぶん、週一回ぐらいしか見れないから……。だから、今日、さっそく原作本を買って、週一回でも物語も流れがわかるようにしたいなあと思っています。

▽●川い●み(19)大学二年
 まず、オールド・ファッションがとても良かったですネ。それにいまじゃブティックなんかのインテリアにとり入れているような風景もすてきですネ!また、古き良き時代のアメリカが画面全体にあふれていて、ぜひ続けて見たいと思いました。ただ学校の関係で午後4時の放送に間に合うか心配なんですが……。最後に、若い時のオニールがとてもかわいくってあらためてファンになりそう!

▽●橋●子(41)主婦
 10年ほど前に、この物語をテレビで見ていたんですが、いつの間にか消えてなくなり、どうしても最後まで見たいなあって思っていたんですヨ。原作も読み、子どもたちにも、もし機会があったらぜひ見せてやりたいと思っていました。当時は、ただアメリカのヤングの気持ちにあこがれていたんですけど今度は親の立場になって見られるので楽しみです。家族そろって放送を楽しみに待ってます。

▽●沼●澄(19)大学ニ年
 セピアカラーのフィルムが、まず気に入りました。年代が、それによって画面から伝わってくるから。でも、途中からカラーに変わるそうですネ。内容的には、アメリカって、もっともっと恋愛なんかオープンだと思っていたのに、私たちが父や母に言われていることや、大人たちの心配事がまったく同じなので、登場人物がとても身近に感じられますネ!恋に悩んだ時なんか、いい手本になるワ。

▽●間都●子(20)大学生
 全部で五百本以上だと聞いていたので、一話、二話は全体的な説明だと思っていました。だから、内容がまだ、ハッキリとつかめません。でも、私の場合は洋画が大好きで、若い時のオニールやファローと、いまの彼らとの差が見たかったので、とても興味深く見ました。オニールなんか「ラブ・ストーリー」のイメージで、清純派だと思っていたのに、プレーボーイの役なのでオモシロイですネ!

(朝日新聞 1977年8月末または9月初めの記事より)
からみ合う「愛と性」

ペイトンプレイス物語

女性の間で人気上昇

 九月からブラウン管に登場した「ペイトンプレイス物語」(月〜金ひる4時)は、どんな社会にもひそむ、さまざまな世代の愛と性を。真正面にすえた問題作の一つで、女性の間に静かな人気を呼んでいる。
 アメリカの小さな町、ペイトンプレイス。そこに住む若いロドニイ(ライアン・オニール)は、婚前交渉で妊娠したベティ(バーバラ・パーキンス)と仕方なく結婚したが、清純な乙女アリスン(ミア・ファロー)に心ひかれ、愛のない結婚に失望したベティは家出。
 そのベティの母ジュリー(ケーシー・ロジャース)は、ロドニイの父レスリー(ポール・ラングトン)と情事にふける。一方、清純な乙女アリスンの母コンスタンス(ドロシー・マローン)も、医師ロシイ(エド・ネルソン)と恋仲だが、かつての恋人で、アリスンの父であるエリオット(ティム・オコンナー)が、長い刑務所暮らしから仮出所し、二人の男性の板ばさみになって苦しんでいる。
 からみ合う男女の欲望と自由へのあこがれを、じっくりと描いているこの作品、東京では去年秋から放映し、いろいろな反響を呼んだ。視聴者の中心は二十代のヤングだが、上は四十歳代の主婦から、下は中学の高学年まで幅が広く、その見方もさまざま。
 「平均的なアメリカの家庭生活がよく出ていて、ニューファミリーの参考になる」「一九六〇年代のファッションが、いままたロックンロールやツイストの復活で女性たちの関心をひいている」「子どもが性に目覚める年代の母親にとって、男女のつき合い方を考えさせるいい手本になっている」など、など。
 最近の日本の社会でもよく起こるような事件を扱って、決してきれいごととして片づけないところも、人をひきつける要素らしい。「愛と性に、マジメに正面から取り組む数少ない番組」というのが「ペイトンプレイス物語」に対する東京の評価。さて関西の人は、どう受け取っておられますか。

(朝日新聞? 1977年の秋または冬の記事より)
放送時間変わります
「ペイトンプレイス物語」
2月6日から毎週月曜

 これまで月〜金曜の午後4時から三十分間放送していた「ペイトンプレイス物語」が、二月六日から週一回月曜日に三本分(一時間三十分)まとめて放送することになった。
 放送時間は夜11時10分から。さまざまな愛の形を、人間味豊かに描いているこのドラマを、夜もふけてからじっくりとお楽しみください。

(朝日新聞 1978年2月の記事より)