こん太の
ストーンウォール30周年NY日記

1999.6.25 - 6.30

 今回突然ニューヨーク行きを決定したのは、高校時代の友人Sに再会したことがきっかけです。高校が嫌いで学校には全然真面目に通わなかった僕ですが、その高校3年間で唯一仲の良かったのがSでした。高校を卒業した後、別の大学に進んでもたまに会ったりしていましたが、お互い連絡をとらなくなってもうずいぶんたっていました。SがNYにいることは人から聞いて知っていたのですが、一時帰国してるということで12年振りに5月末に会うことになりました。

 Sには、僕がゲイであることは大学時代にカムアウト(これが初めて!)してましたが、久々に会って話してみると、日本にいた頃は全くの異性愛者で女性関係のかなり派手だったSが、NYに7年間住むうちに、男とも関係するようになったことが判明。詳しく話を聞き出してみると、男との初体験がいきなり3Pだったそうで、女性とは70人ぐらいだけど、男とはまだ30人ぐらいとしか寝たことがないということでした…(笑)。確かに“僕と親しかった人物がそんな男男したジェンダーの持ち主のわけないよね”とは思いながらも、ちょっとビックリ。S曰く「(相手が男であろうが女であろうが)快感は快感やで…」。ゲイというアイデンティティにずっとこだわっている自分を、少し距離をおいて眺めさせるような一言でした。そんなSが「NYに遊びにおいで」というので、“そういえば6月はプライド月間やし、今年(1999年)はストーンウォール30周年やんか”ということで、現地4泊と短いのですが早速初めてのNY行きを決定しました。

 6/25(金)の午後に関空を出発し、ソウル経由で十数時間の飛行の後、同日の夜7時頃JFK空港に到着。入国の審査の所で京都からこられた30代前半の写真家の女性と少しお話しました。彼女は1ヶ月ほどNYに滞在するということで、27日に行われるパレード(プライド・マーチ)も写真に収めたいと思ってるとおっしゃってました。その他にはこのPride Weekが目的で日本から来ているような人は、僕らの飛行機にはいなかったようです。夜9時頃ブロードウェイ45丁目のホテルに到着。僕の滞在したホテルはタイムズ・スクエアのすぐ近くで周りには沢山の劇場があり、向いではルパート・グレイヴスが出演中の「CLOSER」、少し歩いた所では僕が大好きなバーナデット・ピータースが今年のトニー賞を受賞した「ANNIE GET YOUR GUN / アニーよ銃をとれ」が上演されてました。他にも今NYは「CHICAGO」「FOSSE」「CABARET」などオカマ心をそそるようなミュージカルが目白押し。でも今回はゲイ・スポット巡りで忙しく劇場に行けなかったのが残念です。

 さて、ホテルについて早速友人のSに電話しました。予定ではホテルまで迎えに来てくれることになっていたのですが、「7番街の14丁目までタクシーでおいで」ということで、ちょっとビビリましたが、一人タクシーを拾って出かけました。NYといえば“危険”なイメージばかりですが、90年代になってからはクリーンで安全になったらしく、Sも長年住んでるけど危険な目に会ったことないと言ってました。無事Sと再会し、24時間営業の今一番人気というCafeteriaでゆっくり食事したあと、チェルシーやグリニッチ・ヴィレッジを夜中に散歩しました。チェルシーでは男同士で手をつないで歩くのがあたりまえで、ここでは5・6・7・8番街という順にゲイの店が増えていくそうです。「エスクァイア」1999年6月号でも紹介されていたゲイのカフェBig Cupでお茶して、その後ヴィレッジへ。静かな、古い町並みを眺めながらの夜中の散歩とてもよかったです。最近ルパート・エヴェレットもヴィレッジに家を買ったとSが教えてくれました。

 クリストファー・ストリートに出ると急に賑やかになり、通りには沢山の人が溢れていました。Sがしてくれる“ここが映画「スリー・オブ・ハーツ」でケリー・リンチが住んでたマンション”などの説明を聞きながら歩いて行くと、その通りでは、僕が昔からすごく興味を持っているゲイの劇作家ノエル・カワードと彼のお気に入りの女優ガートルード・ローレンス、二人の物語がミュージカル化され「IF LOVE WERE ALL」のタイトルで、ツイッギー主演で上演されていました。ハドソン河まで歩き少し休憩したのち来た道を戻ると、Sが“あそこに「フロント・ランナー」を訳した人が住んでた(る?)で」とビルを指差しながら教えてくれました。Sは北丸雄二さんとは5年ほど前に一度お会いしたことがあるとのこと。

 その後タクシーを拾ってヴィレッジを後にし、パーク・アヴェニューのシンディ・クロフォードの通うフィットネス・クラブ“EQUINOX”、ジュリア・ロバーツの買い占めたビル、グラマシー・パークなどの近くをもう少し散歩して、ブラピのマンションを遠くに眺め、その後カフェでケーキとお茶して2:30頃、Sと別れてタクシーでホテルに戻りました。そうそう遠くに見えるエンパイア・ステート・ビルもこの時期はゲイのシンボルカラーであるラヴェンダー色にライトアップされてて、とってもきれいでした。

 僕の友人のSはニューヨーク大学でマスターをとった後、現地の日本人に日本の受験英語を教えるという堅い仕事をこなしながら、モデルやカメラマンもしているという人物なのですが、モデル事務所に所属し“モデル・カード”なるものを持っているため、化粧品類はすごく安く手に入れることができ、またジムの料金も格安ということで現在David Barton Gymをはじめ3つのジムに入ってるということでした。また彼のパーソナル・トレーナーはブラピも担当してるらしく、もし彼がブラピに会うことがあれば、「ちゃんと鼻毛カットせえよ」って言ってくれるように伝えておきました(ブラピの鼻毛ってやっぱり目障りだよね)。

 26日(土)はSが午前中はカメラ、午後は夕方まで学校の仕事があるというので、夜まで一人で行動しました。10時頃にホテルを出て、朝食をとったあと19丁目のゲイの本屋さんA DIFFERENT LIGHT BOOK STOREへ行き、日本に残してきたボーイフレンド(彼は休みが取れなかった)に頼まれた“AFFECTIONATE MEN”という古い時代の男同士のカップルの写真を集めた写真集や、僕が前から欲しかったNYC GAY MEN'S CHORUSのCDなどを買いました。A DIFFERENT LIGHTは思ってたより小さかったです。

 その後チェルシーをぶらついてたらいつのまにかコム・デ・ギャルソンのブティックのある11番街22丁目まで来てました。ヴィレッジに行くにはどうしたら…と思い地図もちゃんと見ないまま、ハドソン河沿いに歩けば昨夜行った所に出られるだろうと高を括って、ハドソン河沿いの巨大なスポーツセンターの中を歩き始めました。でも、行けども行けどもヴィレッジらしい所はでてこず、そこを通る人はみんなジョギングしてたり、ローラースケートしていたり、自転車に乗ったスポーツ人間たちで、途中道は無くなりそうになるし、暑いし、どうしよう…と不安になりながらトボトボ歩いてました。もうハドソン河はええわ!と思って河から離れて少し歩いた所で公園を見つけ、疲れきってそこでひと休みしました。もう時刻は午後2時前。地図を取り出し見てる内にちょっとは余裕が出て周りの景色も目に入りだしました、なんとくゲイらしき人が歩いてる…、男同士のカップルもいる…、そういえば向こうの店にはためいてるのはレインボー・フラッグでは…。そうなんです、知らぬ間に結局それらしい所に出ていたのです。

 近くのカフェでアイスティーを飲んで、今度はしっかり地図で現在地を確認して、それからクリストファー・ストリートに出る事ができました。クリストファー・ストリートの端のハドソン河沿いでは、翌日のパレードに出演するらしい男女混合のグループが音楽に合わせてバトンの練習をしていたり、ドラァグ・クイーンがリップシンクで、見物人の注目を浴びていました。しばらくそれらを見物したのち、クリストファー・ストリートのお店のいくつかで買い物をしました。ある服屋のひとつでは、ビキニの水着だけを身に付けた男二人がショー・ウインドウの中で踊り、客寄せしていました。

 ぶらぶら店を見て回りながら8番街に戻り19丁目の夕方4時からやっているというゲイ・ラウンジgでビールを飲んでちょっと休憩。その後近くのゲイの服屋さんを見てたら酔いが回ってきたので、タクシーで5時頃ホテルに戻り、その夜のクラビングに備えて夜までぐっすりお昼寝しました。

 夜は12時頃Sと7番街14丁目で落ち合い、フルーツで軽く腹ごしらえした後、roxyというクラブへ。このクラブはマドンナの〈FROZEN〉等のリミックスで知られるのVictor Calderone(彼自身はヘテロ)がDJを務めているのですが、今NYでは一番人気だそうです。それまでトップだった、お馴染みのDJ ジュニア・ヴァスケスのクラブTWILOは人気に翳りが見え始め、ジュニアは最近“DJ界のロッド・スチュワート”(意味解るよね?)とまで言われてしまってるとか。ジュニアがDJする時の“じらし”がオネエ様方に不評のようです。

POWER PLAY...
SOLID MUSCLE MIX #1
01. I BELIEVE I CAN FLY (Extended Version) - Evolution
02. YOU'RE NOT ALONE (Rollo Sister Bliss mix) -
Olive
03. I DON'T WANT TO (Frankie Knuckles mix) -
Toni Braxton
04. SAY A LITTLE PRAYER (Love To Infinity mix) -
Diana King
05. FREE (Full intention mix) -
Ultra Nate
06. IT'S NO GOOD (Club 69 mix) -
Depeche Mode
07. NIGHTMARE (Club mix) -
Brainbug
08. TO BE LOVED (Disco Citizens mix) -
Luce Drayton
09. FIESTA (Spacefrog mix) -
Sunclub
10. ON SILENT WINGS (Soul Solution mix) -
Tina Turner
11. THINGS JUST AIN'T THE SAME (Hex Hector mix) -
Deborah Cox

 roxyの方はやっぱりPride Weekということもあり、すご〜い人でした。普段から入場するには並んで待たなければいけないらしいのですが、Sが言うには入場待ちの列の長さもいつもの5倍ぐらいあるとのこと。僕らの後にも列はどんどん伸びていき、2時間ぐらいSとおしゃべりしながら並んでいて、3時前にやっと入場できました。日本でこんなに待つなんて考えられませんが、外国に来てるということもあり回りの人々を観察するだけでも結構楽しくそんなに長くは感じませんでした(確かに腰はダルくなったけど)。入場料は当日50ドル。roxyは大学の体育館ぐらいの広さがある倉庫のような建物で、そこには上半身裸の白人男が身動きがとれないほど溢れかえっており、その眺めは壮観でした。

 彼らはみんなたっぷり筋肉のついたカッコイイ身体をしているのですが、どれもクローン羊のように似た感じ…。Sに聞くと、ステロイド(筋肉増強剤)が流行っててみんなそれで身体を作っているとのこと。このステロイドはもちろん違法なのですが、Sもいちど知人のMr.Olympiaのクリスに紹介してもらい、ゲイ・ポルノ俳優のBlue Blakeの家まで買いに行って、試してみたことがあるそうです。自分でお尻に注射して、トレーニングすると確かにすぐに筋肉はつくのですが、Sの体質には合わず副作用で髪がかなり抜けてしまいすぐやめたとのこと。またステロイドを打つと性格も攻撃的になったりするようです。そういう話を聞くと、マッチョ体型好きの僕もちょっと冷めてしまいました。

 さて、ダンスフロアーに出ていくと、もうそれだけで熱気と回りの男達の汗で、僕の着ていたTシャツはびちょびちょです。まさしくサウナですね。なおかつ寿司詰め状態なので一人の踊るスペースも限られています。しばらく踊った後、ライブ・ステージがありました。その夜roxyでは、70年代末〈COME TO ME〉でディスコ・ヒットを飛ばし、最近カムバックして活躍中というFrance Joliが出演することになっていたのですが、僕達が入ったのが遅かったのか、彼女のライブは見れませんでした。そのかわり、Kim EnglishとDeborah Cooperが各1曲ずつ歌ってくれました。Deborahが歌ってくれたのは、彼女がCLIVILLES & COLEと組んだ92年のヒット〈A DEEPER LOVE〉でした。まさしくこのPride Weekにぴったりの選曲。また、〈DIN DA DA〉のKevin Avianceも会場に来ていて、僕の前を歩いていたりしました。

 有名人が普通に近くにいるのがNY。Sはこのクラブで俳優のロバート・ショーン・レナードやクリスチャン・スレーターも見たことあるそうです(彼らって…そうだったの?)。それとやっぱりNYのクラブではドラッグが盛んなようで、目の焦点が合ってない奴、水を持って踊ってる奴はみんなドラッグをやってるとのこと。だから翌日の昼ごろまで踊り続けられるんでしょうね。僕とSは上の階にある80年代のヒット曲をかける小ぶりのフロアーなんかものぞいたりして5時ぐらいまでroxyにいました。帰り際、出口のところでOUTなゲイのシンガー・ソングライター、ルーファス・ウェインライトのサンプルCDシングルが配布されていて、レコード会社がすごく彼に力いれているのがわかりました。そして僕達はカフェ・レストランで朝食を食べて、6時前に別れ各自の部屋へ戻りました。

 さて6/27(日)はいよいよ、パレードが行われる日です。数年前ジムのフロートに乗ってパレードに参加したこともあるというSに聞くと、映画「ジェフリー!」にあった様に参加者は朝セントラル・パークに集合するそうです。正午に52丁目から出発し5番街をずっと通って、ワシントン・スクエアで曲がり、クリストファー・ストリートまで進みます。たいたい3時間ぐらいの道のり。1時に5番街14丁目でSと落ち合うことになっていたので、そこへ出かけるともうパレートの先頭の方はそこまで来ていました。バイクに乗ったレズビアンやストーンウォール・ベテランのグループ、風船でレインボーの大きなアーチを作って行進するグループなど様々な参加者がいました。5番街がパレードで通行止めになっている為、横を走るストリートも渋滞してたらしく、途中でバスを降りて歩いて来たSと2時前に一緒になり、近くのカフェで昼食をとりました。Sから、パレードの途中でエイズで亡くなった人々を追悼する黙とうの時間があり、賑やかなパレードを一瞬静寂が支配し感動的だ、と聞いていたのですが、僕達が食事している間(2時)に終わってしまっていたようで、とっても残念でした。

 その後Sが大きなカメラでパレードを写真におさめてくれました。僕が持っていったような普通のカメラでは警備の警官に「さがって!さがって!」と柵の後ろに追いやられるのですが、プロのカメラマンのようなりっぱなカメラだと、パレードの中に入って撮影できます。Sがパレードに参加している人とコミュニケーションをとりながら、間近で撮影してくれました。写真を撮られる方もみんなホント“女優”してます。カメラを向けると恥ずかしがるどころか、ポーズを決める決める!パレードに参加している人はもちろんなのですが、それを見物している人を見るのもまた面白いです。小さな女の子が父親らしき人に肩車されてレインボー・フラッグを振っていたり、また「FALLEN ANGEL」等のゲイ・ポルノでお馴染みの俳優Cole Tucker氏も見物人の中にいて、Sが彼の入墨を誉めると葉巻きをくわえてポーズをとってくれました。

 本当にバラエティーに富んだグループ・個人が前を通っていきましたが、その中でもひときわ大きな喝采を浴びていたのがNY市警察のグループでした。また、僕自身はパレードの参加者にコップに入れた飲料水を配るボランティアの人々の存在にも感動しました。もちろん各フロートにも飲料水は積んであるらしいのですが、3時間もの間、炎天下を行くのですから、やっぱり不足してしまうらしいです。シェールに扮したかなり疲れの見えるオネエさんも、ボランティアの人の差し出す水を一気に飲んでから、ポーズを決めて下さいました。

 僕達も暑さで結構疲れてきたので、ひと休みすることにし、NY大学の近くのカフェに入って休憩。その後近くのタワーレコードでビデオとCDハンティングしました。やっぱりこの時期ちゃんとゲイ関係の特設コーナーがあり、日本未公開の映画のビデオ等をget。そして、パレードに戻るともう5時頃には終了してしまってました(何やってんだ!僕らは)。それから人でごった返したクリストファー・ストリートにくり出し、Stonewall Innやその前の公園にあるジョージ・シーガル作の彫刻を写真に収め7時頃ホテルに戻りました。

 ホテルの部屋でテレビを見ていると、その日行われたサンフランシスコのパレードのことがニュースになっていて、シスコのゲイの間では“We're Here, We're Queer. So What?”(私達はここにいる、私達はオカマだ。でもそれがどうした?)と考える人も増えてきており、もうパレードも必要ないのではという意見も出ていると報道されていました。

 その後は夜まで睡眠をとり、12時前にSと待ち合わせしてLIFEというクラブへgo!実は日本でインターネットで調べたところ、その夜ハドソン河沿いの埠頭でDANCE 13という大きな野外ダンス・パーティーがあるということだったのですが、Sに聞くと“屋外で音響も悪くイマイチ、以前そのパーティーで歌ったホイットニーのお母さんシシィ・ヒューストンも怒ってたで…”と言うのでそれは取り止めにし(※日本に戻ってからSと電話で話してわかったのですが、実はDANCE 13の今年1999年の極秘ゲストはホイットニー・ヒューストンで、彼女は〈IT'S NOT RIGHT BUT IT'S OKAY〉と〈HEARTBREAK HOTEL〉の2曲を歌ったそうです。自分自身はレズビアンであることを頑なに否定し続けているホイットニーですが、ゲイやレズビアンからの支持『だけ』は欲しいのね…)、こちらのヴィレッジのクラブにしました。ここは日曜の夜はゲイ・ナイトでその名もboys lifeに変わるとか。前夜ちょっと出遅れたので今度は早めに入場することにし、割引き券で12時前に入ったので10ドルでした。

 地下にあるこのクラブはそれほど大きくなく、また白人中心のroxyとは違ってかなり黒人も多かったです。最近リミックスの仕事で売れっ子のHex HectorがDJを務め、サウンドもとってもグー。それほど混んでいなかったので、踊るのにもゆとりがあり楽しめました。めちゃいい身体をしたGO GO BOYが数名台の上で、サポーターひとつで踊るのですが、Sに強引に勧められて恥ずかしながらチップをそのサポーターの中へすべり込ませました。

 2:30頃からライブ・ステージがあり、まず前座のReina嬢が登場。彼女もHex Hectorがリミックスしたシングルを発表しており、「(ゲイの)皆さんのおかげでここまで来ることができました」とかわいく挨拶し、豊かな胸を揺らしながらスラリとした長身で2曲歌ってくれました。その後メインのVeronicaが若い男性ダンサー2名を従え登場。昔のマライア・キャリー風のルックスで、クラブ・ヒットの〈LET ME GO...RELEASE ME〉を歌い始めると大ウケでした。この曲イントロからしてカッコイイんです。また新曲の〈SOMEONE TO HOLD〉も今ヒット中で、すごーく盛り上がりました。僕も久々に叫んで気持ちよかったです。3時頃そのクラブを出て、TVスターなどの写真が飾ってあるダイナーでフレンチ・トーストを食べてホテルに戻り、その日一日に大満足してスヤスヤと眠りにつきました。

 翌28日(月)は、数々の映画にも登場したグランド・セントラル駅で11時すぎにSと落ち合い、Sの用事で住友銀行に寄った後、ヤマザキ・パンで朝食をとりました。この辺りは日本のビジネスマンも多いらしいです。駅で仕事に行くSを見送ったあと、その日は1日中ショッピング。チェルシー、ヴィレッジを夕方まで回り、OSCAR WILDE BOOKSHOPではビデオ(エッチぢゃないよ)をいっぱい買いました。夕方からはタイムズ・スクエアのヴァージン・メガストアで長居。品揃えいいです。夜7:30にホテルに戻り、1時間だけ寝るつもりが寝過ごして、あわててグランド・セントラル駅にタクシーを飛ばしました。9時にSと待ち合わせしていたのですがやっぱり20分程遅刻してしまいました。そこから地下鉄に乗り、現像できた前日のパレードの写真を車中で見て大爆笑、ユニオン・スクエアで下車しました。

 その夜はNY大学の近くのMARUMIという日本料理店(安くて美味しい)で食事した後、17丁目の踊れるゲイ・バーSPLASHへ。前夜そこではCe Ce Penistonのライブがあり、たいそう盛り上がった事でしょうが、その日も結構人は多かったです。月曜は入場がタダとのこと。SからSPLASHはかかる音楽がダメと聞いていたのですが、〈DO YOU WANT IT RIGHT NOW?〉とかドナ・サマーの〈MELODY OF LOVE〉マライアの〈I STILL BELIEVE〉などの選曲が、ミーハーな観光客の僕にはちょうどよかったです。

 このバーのウリは店の真ん中のステージで、上から降り注ぐシャワーを浴びながらサポーターひとつを身に付けた男が踊るというものなのですが、彼らは踊り終わるとひとまずタオルで身体を拭いて、カウンター付近の客にチップをもらいに廻ります。ダンサーにみとれつつ“やっぱり踊りの練習とかするんかな?”とSに聞くと、この店でGO GO BOYをやってる知合いが、店が開く前に早めに行って皆で練習するって言ってたということでした。マッチョな男達が皆で踊りの練習している姿なんて想像するとカワイイね。

Turning It Out volume U
DJ mADmANN
01. MY HEART WILL GO ON (Matt & Vito's "UNSINKABLE" Epic Mix) - Celine Dion
02. A ROSE IS STILL A ROSE (Johnny Vicious Club Mix) -
Aretha Franklin
03. FEEL IT -
The Tamperer feat. Maya
04. SUNCHYME (Club 69 Tribal Chant Mix) -
Dario G
05. EARTH SLEEPS -
Peter Gabriel
06. GIV ME LUV (Victor Calderone Remix) -
Alcatraz
07. JUST B GOOD -
B.ooK. em' Dano
08. HEAVEN'S WHAT I FEEL (Victor Calderone Remix) -
Gloria Estefan
09. RAY OF LIGHT (Calderone Club Mix) -
Madonna
10. HAPPY -
Towa Tei
11. BEAUTIFUL DAY (Juniorverse Remix) -
Hypertrophy

 この店は地下に、雑誌「MEN'S WORKOUT」のモデルをしてるバーテンダーがいるバーやなんと、まー!お土産屋さんまであり、広くてきれいで観光客にも向いている店という印象を持ちました。お土産屋さんでは服をはじめ色んなものが売られていましたが、僕はセリーヌ、アリサ、マドンナなんかも入っている怪しげな海賊盤らしきダンス・ミックスのCDを数枚買いました。僕がCDばっかし買い漁るので“CD好きなオカマやなあ”とSには笑われましたが…。お酒を飲みながらSとバカ話で盛り上がって12時過ぎまでそこにいて、その後近くのダイナーでバナナシェイクを飲んだあと、アメリカ式(?)にSとハグして別れました。ほんとSおかげで僕のNY滞在は充実したものになりました。そしてホテルに戻って4時頃にやっと荷作りを終えて寝ました。

Turning It Out volume 3
DJ mADmANN
01. FIRST THING - white label
02. DISCOSOUND (DJ Zuul & De Mose Mix) -
discobump
03. THE BUILD UP (Original Mix) -
R.A.G.
04. ALRIGHT (Razor'n'Go's Big Club Mix) -
Club 69 feat. Suzanne Palmer
05. YOU WON'T FORGET ME (Hex Hector's Club Mix) -
La Bouche
06. HERE WE GO AGAIN (Razor-N-Guido Mix) -
Aretha Franklin
07. LIFT UP THE NEEDLE (Razor-N-Guido Remix) -
John Creamer pres. Ellis D
08. TO THE RHYTHM -
Pepstar feat. Pre
09. FEEL IT (RNG Vocal) -
The Groove feat. Dawn Tallman
10. PUSH IT (Victor Calderone Remix) -
Garbage
11. UP & DOWN (Hard & Long) -
Vengaboys
12. FOUND A CURE (Club 69 Insane Club Mix) -
Ultra Nate
13. KISS THE RAIN (TP2K Club Remix) -
Billie Myers

 さて29日(火)はいよいよ帰国する日です。ホテルで朝食をとった後、10時前にチェック・アウト。旅行会社のトモコさんという女性が車で迎えにきてくれて、JFK空港まで送ってくださったのですが、車の中でパレードのことなどについて話すと、“そんなのやってたの?”って感じでした。彼女はもう10年ぐらいNYにいるらしいのですが、やっぱり自分に関係なければ、その人にとってはNYで数多く行われるパレードの内のひとつでさえもないのかなと思いました。

 40分ぐらいで空港に到着。手続きを済ませた後、出発を待つあいだヴィレッジで手に入れたゲイのフリー(NYでは)・ペーパー「HX-Homo Extra」を読んでいると、ストーンウォールの叛乱のキッカケになったジュディ・ガーランドの記事が載っていました。アイコンということだけで言えば現在35歳(1963年生まれ)の僕は、ジュディではなくやっぱりバーブラ・ストライサンド世代なのですが、その記事を読みながら、(出発前で神経が高ぶってたのか)ボロボロ泣いてしまいました。変な奴!ですね。でも、30年前のその日NYでジュディのお葬式が行われなければ、現在の僕達はどんな状況だったんでしょう?。それから30年後、この数日間思いっきり楽しんだ僕がここにいることに感動し、お昼過ぎに飛行機に乗り込みNYにサヨナラしました(ちょっとおセンチ過ぎっスか?)。

 そして30日(水)の夜9時前に関空に到着し、予告なしに迎えに来てくれた(!)彼の車で無事に家戻ることが出来たのです。


(追記:日本に戻ってからセツ・モードセミナーの長沢節さんが亡くなられたことを知りました。節さんの「大人の女が美しい」はSが学生時代に僕に勧めてくれた本で、また15年程前Sは節さんの選ぶ美青年の一人に選ばれたことがありました。男の好みは全然僕と違いましたが、節さんの映画評大好きでした。)

* パレードの人物写真は全て僕の友人SことSam Murakami氏の撮影によるものです。

★この文章は、GAY-FRONT関西(現G-FRONT関西)のニュース・レター「UP & UP」1999年8月号/No.67に掲載されたものです(一部訂正・加筆しました)。