本文にもどる

木村言語研究所報告
【ミーハーエッセー】「梅雨の感傷」資料



『冬のソナタ』時系列あらすじ

〜ドラマを見る気はないけど物語を知りたいひとのために〜

作成:副所長@木村言語研究所


婚約者ヒョンスに棄てられたミヒは入水自殺をはかったが、以前から彼女に思いを寄せていたチヌに助けられ、一夜を共にした。ミヒはヒョンスとその妻となった女性を怨みながら故郷の春川<チュンチョン>を離れ、やがてチヌの子を産む。息子チュンサンをヒョンスの子と思いこむことで、癒されない失恋の痛みに耐えた。

父親のいないチュンサンは不幸だった。父の名を明かそうとしない母を憎んでもいた。高校2年生になった彼は、実の父を探り出すために春川にある母の出身校に転校する。一枚の写真を手がかりにしてチヌにたどりつき会いに行くものの、チヌが何も気づかないばかりか息子サンヒョクの自慢話をするので、気持ちは複雑だ。サンヒョクはチュンサンのクラスで学級委員を務める優等生だった。

暗く冷たい目をしたチュンサンは誰にも心を開こうとしないが、同級生のユジンだけは別だった。少々おせっかいなところのある彼女は臆することなくチュンサンに接近する。ふたりは恋に落ちた。

しかしチュンサンは、ユジンの亡父が母のかつての恋人ヒョンスであったことを知り、自分とユジンが異母兄妹だと誤解してしまう。デートの約束をしていた日に、チュンサンは黙って春川から去ろうとする。思い直してユジンの待つ場所へ急ぐ途中、彼は交通事故に遭った。

2か月後に意識を取り戻したとき、チュンサンはすべての記憶をなくしていた。ミヒは結婚して戸籍を作り変え、チュンサンに新しい姓名を与える。アメリカに移り住み、捏造された記憶を息子に植えつけて別人に仕立て上げた。孤独な少年チュンサンは、母親の歪んだ愛情によってこの世から葬り去られたのだった。




10年後、ソウル。

建築会社の代表理事に就任したミニョンは在米韓国人二世。大企業経営者の御曹司で、才能ある若き建築家だ。明るく社交的だが、プライドが非常に高く、やや傲慢なところがある。人使いが荒いので部下や取引業者は苦労が多かった。

ある日、下請けの設計事務所からインテリア・デザイナーの女性がミニョンのオフィスを訪れる。彼女はミニョンの顔を呆けたように見つめたあげく、涙を流して席を立ってしまった。その後も仕事で会うたびに彼女は不可解な言動を見せる。ミニョンは気になってしかたない。女性の扱いには慣れているはずなのに、彼女との接し方がわからなかった。

いくつかの誤解といさかいを経て、ミニョンは彼女の涙の理由を知った。彼女―ユジンは、10年前に事故死したはずのチュンサンと生き写しのミニョンに出会って、激しく動揺していたのだ。ユジンは幼なじみのサンヒョクと婚約しているにもかかわらず、ミニョンに引き寄せられていくのをどうすることもできない。

ミニョンもいつしかユジンを愛するようになった。他人を気遣うことのなかったミニョンが、人が変わったようにユジンの心の動きをひたすら追いかけている。ユジンはそんな彼の愛を受け入れ幸せな時間を過ごすのだが、サンヒョクとのしがらみを断ち切れず、ミニョンに想いを残しながら去っていった。




傷心のミニョンは仕事も手につかない。ふとしたことからチュンサンという人物が自分となんらかの関係があったのではないかと疑い、調べ始める。母ミヒはもはや隠し切れないと観念し、10年前のからくりを白状した。

母の屈折した心情が切なかった。ユジンを思いやるサンヒョクの言葉も胸に響いた。過去を思い出せないミニョンはミニョンのままで生きることを選択し、アメリカに帰国する決心を固める。空港に向かう彼を引きとめようとしてユジンが車道に飛び出した。ミニョンは彼女をかばい、二度目の交通事故に遭う。

頭部を強打したミニョンの昏睡状態が続いていた。ユジンはやっと再会できた初恋の人をまたしても失うかもしれないという恐怖の中で、ミニョン―チュンサンへの愛を再確認する。




チュンサンの記憶が部分的にもどってきた。サンヒョクは身を引くときが来たことを悟った。

チュンサンはユジンと結婚して温かい家庭を築くことを夢見ていた。だが、10年前のいまわしい誤解を思い出してしまう。自分とユジンは兄妹なのか?

ミヒはいまだに過去を引きずっていた。ヒョンスを奪った女の娘とチュンサンを結婚させるわけにはいかない。チュンサンをヒョンスの子として愛してきたのだからなおさらだ。彼女は息子の誤解を利用して、ユジンと縁を切れと迫る。チュンサンは母に従うほかなかった。

失意のチュンサンを事故の後遺症が襲った。早急に手術を受けなければ命が危ない。手術を受けても完治は難しく、障害が残るかもしれない。

本当の父親がチヌでありユジンとは血のつながりがないことを知らされても、チュンサンは彼女のもとにもどろうとしない。もはや自分にはユジンを幸せにできる力がないと考え、異母弟サンヒョクにあとを託してニューヨークに発つ。10年前と同様、関わったすべての人たちに強烈な印象を残して、チュンサンは消えた。

彼が最愛の人を再び抱擁できるのは、ようやく3年後のことである。 <終>



☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


木村言語研究所報告「梅雨の感傷」本文にもどる