<宇宙犬アーチン>
  
 2003年8月のお盆も過ぎたある夜、ひょんなことから、子犬を預かり、飼い主を探すことになってしまいました。
600グラム位の子犬はティッシュの箱に敷かれたペットシーツの上で泣き声も出さず、じっとうずくまっています。乳歯は生えているので、とりあえず離乳はできているらしく思えましたが、いったい何を食べさせたらいいのやら。超小型犬の子犬で、男の子らしいのですが。困った!・・・そんな時、すぐ電話してしまうのが、訓練士の江田さん。事情を話すと家に寄ってくださいとのこと。さっそく様子を見てもらうため直行です。江田さんが缶詰のフードを与えてみるとペロペロなめます。いいウンチもしていたので、弱ってはいないようです。とりあえず、翌朝、獣医さんに健康診断をしていただくことにして、私が連れて帰りました。その夜、「80パーセント飼いたいかも」という江田さんの言葉が心に残りました。江田さんは、何年か前に長い看病の末、ご自分の犬を亡くしています。本当に良く面倒を見ていらした様子に、私は、この方にならソフィーをズットお願いしても大丈夫と思ったものです。


宇宙犬アーチン
発見当時約600g
クーちゃんより
ズットかわいい。
 翌朝は警察、保健所に連絡を入れ、問い合わせがないかを確認いたしましたが何もありません。獣医さんにみていただくと、体も元気で生後一ヶ月位かなとのこと。先生からは「ここに張り紙をすれば、すぐ誰か飼ってくれるよ」と言っていただき、また、そこにいた他の犬の飼い主さんからは「誰もいなければ、私が飼うわ」と言われ!しかし、私は江田さんの言葉が気になります。どうにか、飼ってくださらないかしらと思っていると、午後2時頃、江田さんより連絡が入りました。「今から、取りに行ってもいいですか」と。願ってもない申し出です。お会いすると「昨晩は心配で眠れず、今日、さっそく子犬用にケージを買ってしまいました!」とのこと。あっという間に子犬は江田さんと去って行きました。結局、私は一晩だけの里親でありました。
アーチン君は
お背中乗りが大好き!
 最近、私を含めて何人かの人の愛犬が出産をし、自分のところで生まれた子犬を江田さんに飼っていただけたらと思うことがありました。それは必ず大切にしてもらえるとわかっていたからです。ソフィーの子を飼ってくださるなら、即、プレゼントするつもりでした。ただ、江田さんは大型犬の看病がたいへんであったため、今度は小型犬がいいという気持ちになっているようでした。今回、すんなり決まってしまった理由は二つあったと、私は考えています。ひとつは望んでいた超小型な子犬であったこと。もう一つ、これが大きな原因かと思っていますが、「かわいそうな」子犬であったこと。これがグッと心に響いてしまったのですね。今までの子犬には「かわいそうな」という要素が欠けていたのです。
寒がり君は
ステキなお洋服を
沢山買って頂きました。
 今、その子犬は、腕白小僧という意味を持つ「アーチン」と名づけられ、大事に育てられています。江田さんは、子犬が来た翌日にビデオカメラを購入し、毎日撮影している程のかわいがりよう。「何かいいことあったの?」と人から言われるほどニコニコな毎日のようです。私は、アーチン君は江田さんの手元に来るべくして来た子犬だと思っています。この子は、6万年に一回ある火星の大接近で、江田さんのために空から転がり落ちてきた幸福を運ぶ「宇宙犬アーチン」です。(2003年9月6日)                          
「犬訓練士」 <ソフィー&ニコル日記>2004.5.18(火)

 しごとライブラリー動物シリーズvol.5「犬訓練士」が発売されました。これは職業案内教育ビデオで、これから全国の図書館や小中学校で利用されます。村上龍著「13歳のハローワーク」ビデオ版のようなものです。主演はソフィーやニコルの訓練士、江田弥也子さんです。日ごろお世話になりながら、なかなか面と向かってお聞きできない、訓練についての江田さんの考え方や方針、訓練士になったいきさつなど多くが語られています。
 このビデオを何度も見て、江田さんの方針が私達のものと合っているということを再確認し、犬との関わり方をもっと研究しなければという気持ちになりました。江田さんとは、もう6年以上のお付き合いになります。お預けや週2回の訓練、大会があればそれ以上、犬達の面倒を見て頂いていると思うと、家族同様の気持ちが湧いてきます。
「アーちゃん一歳」<SOPHY&NICOLE 日記> 2004.8.14(土)

 昨年の夏、江田さんのもとにやって来たアーチン。あっという間に一年がたってしまいました。「遊んで!」のしぐさはリスのように頂戴スタイル、嬉しくなるとウレシッコ。こんなタイプだから、どこに行ってもみんなに可愛がられてしまいます。そして、十分な運動で体は筋肉質。本当に元気に理想的に育ちました。さすがです!
 先日は家で初めてニコルと遊びました。ソファーの上のアーチャンは、小さいのでニコルの頭が近づくと、頭の裏に隠れてしまいます。結局何して遊んでいるのか、よくわかりませんでした!
 左の写真は江田さんが保護している猫の虎ちゃんと遊ぶアーチンです。