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乱丸
乱丸 上 (文芸書) 乱丸 下 (文芸書) 乱丸 乱丸
著者 宮本昌孝(みやもと まさたか)
出版社 徳間書店 (文庫)
ISBNコード (上)978-4-19-863732-3 (文庫)
(下)978-4-19-863733-0 (文庫)
値段 2000円+税 (文庫)
発行日 2014年2月1日 (文庫)
メモ
お話は、手筒山直前から本能寺まで。
乱丸が慕う長兄の可隆が若くして討死、 間もなく父の可成も衆寡敵せず近江の地で討死、
自身もかどわかしに遭い、命の危険にさらされ、幼い乱丸を次々と不幸が襲います。
しかし、それらを乗り越えて成長した乱丸は数年後、かねてから望んでいた通り、織田信長に仕えるべく、安土へと上がります。
道すがら、かつて岐阜城下で出会った若き侍と再会。
可隆を誉めてくれたことに加え、場を収める鮮やかな手腕に憧れていた乱丸は、その人が万見重元と云い、優秀な信長の近従であることを知ります。

共に仕えるようになり、乱丸は可隆の面影を万見に重ねつつ、
信長と一心同体とも云うべき万見の忠勤振りに敬愛を深め、常にこれに倣い、瞬く間に小姓の中で頭角を現していきます。
順風満帆かと思われた乱丸の前途に影を落としたのが、乱丸をかどわかした一味の首領の息子、今は石川五右衛門と名乗る盗賊でありました。
事あるごとに妨害を仕掛けてくる五右衛門でしたが、その探索の過程で出会ったキリシタンの娘、アンナと、乱丸は恋に落ちます。
天下人に仕える喜びを感じつつも、気難しい主の要請に常に応え続けなければならない激務に張りつめた心を、
アンナに解されてはいるものの、信長を取り巻く人々の、心のわだかまりを鋭敏に感じとってしまう乱丸は同時に、
五右衛門が仄めかした光秀の謀反の気配に気を揉み、同僚からの妬み嫉み、いわれのない誹りに曝されますが、
しかしそれに潰されることなく、若き俊英はますますその才能を花開かせていきます。
五右衛門との因縁に決着が付き、光秀謀叛の疑念も払拭され、信長の天下も目前となった夏、主従はついに運命の本能寺へ・・・

ちょっとだけでしたけれど、可隆兄さんが出てくれて、しかも、今源氏とか描写して下さって本当に嬉しかったです。
その代わり、長可兄さんは乱ちゃんと反りが合わなくて、残念な感じでフェードアウトしてしまったので、鬼武蔵ファンは期待しない方が良いかもしれません。
それから、有難い事に、大好きな万見が上巻で大活躍してくれて、有岡城の件でどん底に落とされるのは分かっていましたが、
上様の信頼っぷりといい、乱ちゃんの敬愛っぷりといい、本当に素敵な万見で読んでいて幸せでした。
あんな落とされ方をするとは思いませんでしたが(笑
主役の乱ちゃんの素敵さは言わずもがなというか、是非買って読んで!!と、云いたいところですが、
万見の存命中は、万見を手本とし懸命なところが健気で可愛くて、手柄を立ていく様子がまあ爽快なこと。
万見の死後は、上様への傾倒ぶりが、見ていて危ういほどなのがまた、はらはらさせてくれます。
乱ちゃんの傅役の伊集院藤兵衛が良い味出してくれて、長可兄さんの嫁の千が奔放で可愛らしく、
上様に対しても遠慮のない、武井夕庵の爺ポジションも美味しく、石川五右衛門の憎々しさも見事(笑)で、
脇役が素敵な作品ほど良作、と改めて感じました。
そして、メインの上様は、己の求めるものの為に、ひたすらに突き進む様子があまりに激しく、
それについて行けない者を不幸にする程の厳しさで、管理人の様な粗忽者かお仕えしていたら、命がいくつあっても足りない(汗)くらいの、
容赦ないお手打ちの数々に、この人、反省する機会もくれないのか・・・と、戦々恐々とすること受け合いの上様でした。
パトラッシュ、僕はもう疲れたよ・・・
と、なっちゃった光秀の心労もうなずける。
でも、万見や乱ちゃんの掌で上手く転がされてるなぁ、と、思える可愛らしい一面もあり、
信頼し愛した者には無邪気なまでの愛情を示し、乱丸だけが垣間見る、王者の孤独な姿に、
何だか放っておけない感満載でキュンキュンしました。

あと、期待していた(笑)男色の表現は一切ありませんでした。
関係を仄めかす程度の文言もなかった。たぶん。だから万見も乱ちゃんも出世は実力のみでしてよ!!
◆入手方法
出版社在庫あり(2014年9月現在)本屋さんで注文してあげて下さい。











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蘭丸、叛く
題名 春風仇討行  本能寺・男たちの決断
著者 宮本昌孝(みやもと まさたか)
出版社 講談社/PHP研究所
ISBNコード 4-06-264992-6/4-569-66781-3
値段 560円/620円
発行日 2000年10月/2007年2月
メモ
『春風仇討行』『本能寺・男たちの決断』はそれぞれ短編集で、
そのうちの「蘭丸、叛く」に信長公ご登場です。

蘭丸はある日、信長公が、松千代という美しい小姓に目をかけていることに気づきます。
夜伽に呼ばれるおつもりか・・・?と嫉妬を抱きつつも、先に他の小姓に手を出されては困る、
と、蘭丸は松千代の念友(衆道の関係であること)のふりをすることにします。
おかげで、松千代と関係を持とうとする者はいなくなりましたが、何日経っても信長公は松千代を床へ呼ぼうとはしません。
安堵しつつも不思議に思っていると、ある夜、刺客が松千代の命を狙うという事件が起こります。
そこで蘭丸は、松千代が信長公の息子であることを知るのですが・・・

と云う訳で、
腐女子は読んで損はない!!
蘭丸が松千代を守ってあげるものだから、松千代もその気になってしまって、
抱いてくれ、と松千代に迫られて、困っている蘭丸が可愛くて仕方がありません!!
本能寺のくだりは泣けます。
蘭丸ももちろん可愛そうでしたけれど、信長公が報われなさすぎて、ものすごく凹みました。
腐女子な管理人と波長が合うな、と云う方がもしおられましたら、心から御一読をお勧めいたします。

入手方法
『春風仇討行』は出版社品切れ重版未定。『本能寺・男たちの決断』は出版社在庫あり。











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海王 上巻
海王〈上〉 題名 海王〈上〉
著者 宮本昌孝(みやもと まさたか)
出版社 徳間書店
ISBNコード 978-4-19-862664-8
値段 2200円
発行日 2009年1月
メモ
本作は、同氏の『剣豪将軍義輝』という作品の続編で、主人公は海王(ハイワン)という少年。
倭寇の大頭目の孫として育った海王は、実は足利義輝の胤で、その血を利用しようとする武将たちに敢然と立ち向かう。
というお話らしいです。すみません下巻読んでないので・・・

兎に角長くて、登場人物も多いし、各勢力、敵対・利害関係入り乱れて、あらすじでまとめきれません。
信長公の設定としては、義輝公をすごく尊敬していて、
その遺児である海王を、それと知りながら、何も云わず、ただ温かく見守っている、という感じです。
だから、本能寺後はとにかく光秀に腹立ちます。
海王の出生が知れたらどうしよう・・・とか、あなた心配してたけど、
御屋形様は毛ほども海王を利用しようだなんて思ってなかったのよ?
どうしてこの素敵な人を殺しちゃったのよ!ばかばかばか!!
みたいな(笑

とにかく、出てくるシーン総て素敵。
孤高、というより、きらきらした気高い感じ。ぞくぞくします。
本能寺で、光秀の謀反と知り、戦わんと決めた後に、乱丸が公に、たすき掛けをしてあげる場面があるのですが、
その時、御屋形様が乱丸にかけた言葉に、管理人は号泣しました。
この人の本当のお優しさを、何故余人は知りえないのか!
ああ、口惜しい!!
と、ものすごく凹めること請け合いです(笑

上巻で本能寺が終わってしまったので、下巻読んでおりません(すみません…汗
下巻に信長公登場情報がありましたら、どうぞお知らせ下さいませ。

◆入手方法
(2009年12月時点)出版社在庫あり。本屋さんで買ってあげて下さい。











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ドナ・ビボラの爪
ドナ・ビボラの爪 上 ドナ・ビボラの爪 下 題名 ドナ・ビボラの爪
著者 宮本昌孝(みやもと まさたか)
出版社 中央公論新社
ISBNコード (上)978-4-12-004877-7
(上)978-4-12-004878-4
値段 各1700円+税
発行日 2016年8月25日
メモ

初出 Web小説中公2013年3月号〜2015年10月号

濃姫様の死にまつわるお話です。
帯やら紹介文やらで覚悟はしていたのですが、

何でこの本、上巻の3分の2のところで終わってくれなかったんだろう!!!

と、悶絶するような展開でした。
メインの登場人物は、上様、濃姫様、舅殿、煕子(光秀の嫁)、濃姫様に恩のある琵琶法師、快川紹喜の弟子。
タイトルの、ドナ・ビボラは登場人物のひとりの呼称なのですが、これを解説してしまうとネタバレですのですみません。
前半が覚悟していたよりはお二人がラブラブだったので、上巻ラストからの落差が激しい・・・
濃姫さまと上様ラブラブ信者の方は、全力で回避して下さい。
下巻は濃姫さまを慕っていた人達の壮絶な復讐戦です。

退避―っ!!退避―っっ!!!

◆入手方法
(2018年5月時点)出版社在庫あり。近所の本屋さんで買ってあげて下さい。