建築士から観た上手な「建築士・設計事務所」との付き合い方・使い方2006.07.21追記

   まず我々の「しごと」を理解して使ってください。業界内では解ることでも一般の人には理解できないでしょうね。
   タイトルと中身の整合性は読んだ人が解釈してください。
(い)設計をしている人はワガママ

   もの創りに携わる人は、結構自我の強い人が多く、自分の考え方を押しつける人もいるでしょうね。
   屁理屈か、理論にかなっているのかはその人次第。相手の考え方を聞いてみて、解ってやってください。
   あなたが真剣に家造りを考えるならば、自分の考えを示した方が設計者には伝わりやすいでしょうね。
   でも空間の創造は設計者に任せてみては。専門家ですから。

(ろ)施主さんもワガママ

   自分の土地に、自分の好きなものを作って何が悪い!!

   てな話になっては、設計者は何もいえなくなってしまいます。

   ご存じの様に建物は、法律によって色々な規制を受けています。
   「街造りのための法律・建物の安全を守るための法律」等々つまりあなたの財産を最低限の制約で守ろうとしているはずの法律があります。
   でも設計者から観ると「何でこんなものまで」と感じる法律による規制も多々あります。
   
   ※17年に改正された基準法。既存建物の増改築等に制限が掛けられました。つまり地震に弱い建物を強くしようという改正です。
   日本全国、増改築を行う場合、この法律により規制の網を掛けられてしまいます。簡単に昭和56年以前の建物を増築できなくなっています。


   でも、こんな建物にして欲しい。こんな仕上げが欲しい。こんな設備が欲しい等々、欲しいものを設計者にぶつけてください。

   限られた予算の中で最上級のものを創りたいと思っている設計者も多くいるはずです。
   予算からはみ出してしまうこともたびたびありますが! 後は調整で自分の欲しい住空間をものにしましょう。
(は)建築士は純粋?

   結構みなさん純粋では??
   物を創造する事が好きで、このしごとに就いているのだと思います。
   あなたが欲しいと思っている空間を創作しています。
   そして設計図と呼ばれる絵を描いて、あなた(建築主・施主さん)へ提供するのです。
   また、最低限の法律「建築基準法」を守るし、守らなければ「確認申請」が下りなくなり、建物の工事ができなくなくなってしまいます。

   残念ながら[2005.11]起きてはいけないことが起きてしまいました。
   通常の仕事(業務)では考えられない構造計算書の偽造(
めんどくさいから簡単に答えを出した)問題が起きました。
   
   しかし、多くの建築士(設計に携わっている人々)は何故???と言う疑問が生じたと信じます。「絶対に行わないコト」する人もいました。
   でも、一部の人の為に設計業界全体が疑われてはならないと思います。

(に)建築士は専門家??

   昔、建築馬鹿と言う本が出ていました。建築のことしか頭にない他が見えない等々
   ですから建築に対する知識は、一応専門家でしょう。
   でも、色々な用途の建物がありますから、どの用途の建物についても用途に対する知識の「完全」は無いでしょうね。
    経験した事のある用途の建物ならば容易に取り組めますが、初めての用途の建物だとちょっと時間が掛かりそうです。

   形を考える時間・空間を考える時間を与えればきっとすばらしい造形空間を提示してもらえます。!!
   工事に入ったら各職種の専門家である職人さんの知恵と知識には負けるかも?

(ほ)建築士の報酬は???

   巷では、10%とかの情報が流れています。
   依頼された建物の条件・土地の情報・その他色々の調査を経て、計画が始まります。
   調査時間・計画時間・作図時間等々を考えると、その拘束される時間は莫大なものになります。
   その結果提示されるものは、たった1枚の図面かもしれません。
   でもその中には貴重な情報がいっぱい詰まった成果なのです。

   また、工事が始まると監理業務と呼ばれる部分の「しごと」も始まります。
   この部分の「しごと」は、建築主・施主さんの代理者として業者との調整を行う事も含まれています。
   業者との電話での打合せ、現場での進行状態の確認、施工図と呼ばれる工事用の図面の確認等々多様な業務が建物の完成まで続きます。
   話の内容が「しごと」の解説になってしまいました。

   でもそういう事を考えると、工事費に対する設計費用等は何%と一概にはいえなくなってしまいます。
   あまりに報酬が低いと業務に支障が出るでしょうね。

   弁護士さんとか宅地建物取引主任者とかみたいに報酬が国で決めて提示できれば明確になるでしょうが。
   一応、建設省告示と言う形で、一般には知り得ないところで業務報酬基準は出ています。
   この業務報酬基準は、誰が観てくれるのか? 設計者が自分たちでみなさんへ知らせろてことなのかも。
   依頼する設計事務所に直接聞いた方がはっきり出るでしょうね。
   ちなみに私の所では、各々の業務に対する日額人件費で算出しています。
   例えば10人/日数となれば 10×30,000×経費率(約2倍)と言う数字になります。

   これが高いと思うか安いと思うか、あなたの大切な資産を造り上げる過程の費用です。