真琴エンド後ですが、祐一は美汐と付き合っています
そうだったら、そうなの!(マテ)
美汐Days1
本当に困りました……
かれこれ小一時間近くクローゼットの中とにらめっこしていますが、一向に決まりません。
はぁ……
こんな時、自分の服装に対する無頓着さが恨めしく思えます。
話は数時間前。学校のお昼休みまでさかのぼります。
中庭で私が作ってきたお弁当を二人とも食べ終わって、授業が始まるまで日向ぼっこをしようかと思った時、急に祐一さんが話しかけてきました。
「なぁ、美汐。今週の土曜日はあいてるか?」
「え?」
あいてるかって事は……もしかして、これってデートのお誘いでしょうか。
しかも日曜日じゃなくて土曜日なんて、『今日は遅くなったからあそこに泊まろうか』とかいって無理矢理ホテルに連れ込む気ですか?
まぁ、それはそれで全然OKなのですが。
こほん。ほんの少しだけ話がそれました。
そう。先程、祐一さんはデートをしようとおっしゃいました。(変わってます)
デート……いい響きです。
「おーい、美汐。頼むから、話の途中でどっかいっちゃわないでくれ」
はっ、いけません、いけません。こんな事では「クール」で「落ち着いた」美汐さんのイメージがだいなしです。
「半笑い気味でちょっと怖かったぞ」
はふん……なんて事言うんですか。
よりにもよって女の子に怖いだなんて。
「ま、いいや。で、美汐は土曜日大丈夫なのか?」
そんなことは聞かなくても問題無しです。もし詰まってたとしても絶対に行きます。
……あ、そういえば真琴が保育所のお遊戯会を手伝って欲しいとか言ってましたね。
はい。私の心の中は満場一致で祐一さんとのデートとなりました。
真琴、ごめんなさいね。今度、肉まんいっぱい奢ってあげますから。
「はい、何もありませんでした」
祐一さんの顔を覗き見ると、少なからずほっとしたような雰囲気が出てます。
私とのデートを喜んでいるのでしょうか。だとしたら嬉しいです。
「じゃあ、土曜日に学校終って一度帰ってから迎えに行くから」
「わかりました」
ここまで話がまとまると、ちょうど昼休みが終るチャイムが鳴り、私は祐一さんとわかれ自分の教室へと戻ってきました。
授業が始まっても私の頭の中は祐一さんとのデートの事で頭がいっぱいです。
祐一さんはどこにつれてってくれるのでしょうか……いまから楽しみでしょうがありません。
えっと、今日が水曜日ですから三日後ですね。
せっかくですし思いっきりおしゃれして行きましょう。
そういうわけで服を選ぼうとしているのですが……
こう、自分で言うのもなんですが地味な服しかありません。
このままでは祐一さんにまた「おばさんくさい」なんて言われてしまいます。
しょうがありません。真琴に相談することにしましょう。
祐一さんと一緒に住んでるので、もしかしたら祐一さんの趣味も知っているかもしれませんし。
そうと決まれば、明日は学校の帰りに祐一さんの家にお邪魔することにしましょう。
「と、言う訳でかわいい服を貸して下さい」
「あう〜。何が『と、言う訳で』なのかわからないわよう」
真琴もまだまだ勉強不足ですね。流れで話を察して下さい。
木曜日の学校帰り、私は祐一さんのお宅にお邪魔しています。
そして、私の前には困った顔の真琴。
「少し『ぜんごかんけい』を話して欲しいんだけど」
む、真琴……『前後関係』なんて難しい言葉を使えるようになったのですね。私は嬉しいです。
でも、漢字で書けてない所が減点ですね。
しかし、困りました。土曜日の真琴の頼みを断って祐一さんとデートに出かけるなんて言ったら、真琴がすねてしまうに違いありません。
かといって、上手なごまかしも思いつきませんし……
「あ、わかった。今度のお遊戯会におしゃれしてくるんでしょ?」
真琴、ナイス誤解です。
「土曜日にですね、少し」
嘘は言ってません。行き先は違うのですが……
もちろん当日になれば行ってないのがばればれですが、まぁ、真琴の事ですからいいでしょう。
「じゃ、ちょっと待ってて」
真琴はそう言って、自分の部屋を出て行きました。
その間に私はあらためて真琴の部屋を見渡します。
散らかしっぱなしのマンガ類が山ほど……
たぶん、肉まんを買ったのであろうコンビニの袋が山ほど……
いつもとあまり変わってませんね。変わった所といえば、この大きな姿見でしょうか。
真琴も保育所に行くことでおしゃれに目覚めたのでしょうか。
……あまり、ありえなさそうですね。
「美汐、おまたせ」
下らないことを考えているうちに真琴が戻ってきました。
手を後ろに回して何かを隠しているようです。
「じゃあ、美汐。ちょっと目をつぶってて」
私はおとなしく目をつぶります。
ごそごそと紙袋の擦れる音がして、真琴が私の頭を触りました。
そして
「もういいよ」
真琴がそう言ったので目を開けてみましたが、目の前には紙袋を持ってにこにこしている真琴がいるだけで他は何の変化もありません。
まさかと思って自分の服装を見てみるも、いつもの学校の制服です。
「うん、かわいい」
私は訳が分からず首をかしげてしまいました。
すると、真琴がさきほどの大きな姿見をちょいちょいと指差します。
………………
これは、えーっと……
真琴がかわいいといっているのは、私の頭についてるこれ……ですよね。
「真琴、これは何ですか?」
「え、猫耳だけど」
はい。分かってます。そんな事は百も承知です。でも、確認したかったんです。
目の前にある姿見には、真琴がつけたであろう猫耳(三毛猫だと思われる)をつけた私が立っています。
さすがにこれで人前に出るのは恥ずかしい物があります。
「真琴、私は服を希望したのですが何故これを持っていたのですか?」
「みんなが今度のお遊戯で猫役をやるから」
ここでさす子供たちは保育園の子達の事でしょう。
「それを何故私がつけてるのですか?」
「だって、美汐今度のお遊戯会のお手伝いしてくれるんでしょ?」
……この子は私にこの姿で舞台に上がれを言うのですか?
お手伝いってそういう事だったのですね。行かないことにして正解でした。
私は猫耳をはずして真琴に返します。
「あの、出来れば服の方が欲しいのですが」
「衣装の事? 美汐、やる気まんまんだね」
あう……まずいです。
このまま真琴ペースで行ってしまうと本来の目的からどんどん遠ざかって行くような気がします。
いっそ本当の事を言ってしまおうかとも思いましたが、真琴がみんなに言いふらす可能性がない訳ではありませんのでそれは避けたいですね。
「そうじゃなくて、普通の服を見たいのですが」
「え、来る時はその制服でいいと思うけど」
今日の真琴はやけにからみますね。早いとこ私の思い通りに動いて欲しいのですけど。
「うーん、じゃあ秋子さんに聞いてみるね」
「え、それは……」
私が言う前に真琴はさっさと秋子さんを呼びに部屋を出て行ってしまいました。
秋子さんの事ですから、祐一さんの様子で真琴の事以外で土曜日に何かある事を察知しているかもしれません。
しかも、祐一さんには必殺の「心の声」がありますから……
「美汐、連れてきたよ」
「あら、天野さん。こんにちは」
……早いですね、真琴。
まだ、秋子さんをどうやって乗り切るかの計画が全然たってないんですよ?
少しはこっちの都合という物を考えて行動して欲しい物です。
でも、考えによってはいいかもしれません。
秋子さんが、仮に私と祐一さんがデートすることを知っていたとして無下に非協力的な態度を示すとは思えませんし、それを言いふらすようなこともしないと思います。
もちろん、知らなければ知らないできちんとコーディネイトしてくれるでしょうから問題無しです。
「よろしくお願いします、秋子さん」
そう言って私は秋子さんに丁寧に頭を下げました。
将来、遠い親戚になるかもしれない人ですからね。よい印象を持たれておくことは大切です。
「いいんですよ。祐一さんの為でしょう?」
やはり、秋子さんは分かっていたのですね。でも、この場所でその台詞はまずいです。
「あう、何で、祐一が出てくるの?」
案の定、真琴が聞いてきました。どうしようかと考えていると秋子さんが
「天野さんは祐一さんと一緒に行くつもりなんですよ」
「へぇ」
ナイスです、秋子さん。決して『どこへ』と言わない所が素晴らしいです。
……そういえば、私もまだどこへ行くか知りませんね。当日、楽しみにしておきましょう。
「で、さっそくなんですが、これなんかどうでしょうか?」
そう言って秋子さんが取り出したのは、一言で言えばふりふり。二言で言ったらとにかくふりふり。
つまるところピンクハウス系と言われるような代物であった。
ひきつりそうな顔になりながらも丁重に断った。
「そうですか? 似合うと思うんですけど」
思わないで下さい。ちょっと……というか、結構迷惑です。
あの後、色々と秋子さんからアドバイスを頂きまして、今日服も買いました。
これで明日の準備はばっちりですね。
あ、ホテルに連れ込まれた時の為に下着もきちんとしておかないと……
これがいいでしょうか、それともこっちの方が……
多分これが一番いいですね。これにしましょう。
下着選びに時間がかかり過ぎてもうこんな時間です。
夜更かしは美容の天敵ですね。早く寝ましょう。
……結局あまり寝れませんでした。
目の下に少しくまがある気がしますが、少し化粧をすれば大丈夫でしょう。
なんてったって祐一さんとデートですからね、化粧くらいしますよ。
あ、祐一さんが来たようですね。どこもおかしいとこはありませんね。さ、行くことにしましょう。
「祐一さん、お待たせしました」
「お、いつもと雰囲気が違う服着てるな」
「……似合いませんか?」
「いや、全然似合ってるぞ」
祐一さんが素直に誉めて下さいました。水を得た魚のようにからかってくると思ってましたのに。
それだけ秋子さんの見立てがよかったということでしょうか。ともかく、似合うと言ってもらえて嬉しいです。
「じゃあ、行こうか」
そう言って祐一さんは歩き始めました。
そういえば、行き先をまだ聞いていませんでしたね。
「祐一さん、どこに行くつもりなんですか?」
「ああ、すぐ近くだよ」
すぐ近くですか? ここらへんにはデートに適した場所はあったでしょうか……
「ほら、ついたぞ」
え、ここは……
「真琴がお遊戯会に来てくれって言うもんだけど、一人で来るのは恥ずかしかったからな。名雪と秋子さんは用事があるようだったし」
………………
「あ、祐一〜。来てくれたんだね」
「おう、真琴。来てやったぞ」
「美汐も一緒だったんだ。もうすぐ始まるから早く来てね。美汐の分も用意してるから」
そう言って猫耳をつけた真琴は走り去っていきました。
やっぱり用意っていうのは猫耳の事ですよね……
「お、なんだ、美汐も出るのか? それならそうと早く言えよ」
にやにや顔の祐一さんが、私に手に持っているビデオカメラを見せました。
なんでも、秋子さんと名雪さんが出席できないからカメラに収めておくそうです。
……そんな酷なことはないでしょう。
fin
たわごとのこ〜な〜(どんどんぱふぱふ〜)
え〜っと……はい。私の(一発ギャグ以外としては)処女作となる作品です
IRCチャット、ポックリの研究所にて美汐萌えのものを書けとのことでしたので書いてみました
いろいろと書き直したい所はあるのですが……いかんせん何をどうすればいいのかさっぱりなもんで……
ここをこうした方がいい等の感想を掲示板かメールお待ちしております
いつか手直しする日が来るのだろうか……
そうそう。タイトルは何も思いつかなかったから適当につけました。地味に募集します(笑)
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