◇-「遊歩俳句大会」作品その14-前川整洋(12/19-21:49)No.116
116 | 「遊歩俳句大会」作品その14 | 前川整洋 E-mail | 12/19-21:49 |
俳誌「俳句界9月増刊号・遊歩俳句大会作品集」から各県ごとの掲載句で、 目に付い数句をシリーズで紹介していきます。一言の句評も書き加えていま す。 兵庫県 南朝の悲史を背負って花の道………船辺隆雄 吉野の桜の名所としてとりわけ有名である。が、ここは南朝の御所があった 場所である。散る桜の哀れさに、歴史的のことも重なってくるのである。 家の灯を映しにぎわう夜の水田………田中那都子 田園の夜は淋しいものである。田圃に住宅が迫っているのであろうか、水田 に家々の灯かりが映っている。ほのぼのとしたメルヘンチックな賑わいであ る。 殴る雪蹴散らすように売る駅伝………たまじゅういち 商をしている人々の心意気が伝わってくる一句である。「殴る」と「蹴散ら す」の対比に妙味がある。 奈良県 東大寺裏を歩いて春の星………栗原加実 東大寺は大仏殿の他にも、多くの伽藍がある。東大寺裏手も伽藍と伽藍に挟 まれた小道であったよに記憶している。そんな道から仰ぐ春星は、優雅であ り趣深い。 |