◇-「遊歩俳句大会」作品その20(最終回)-前川整洋(2/6-20:13)No.129
129 | 「遊歩俳句大会」作品その20(最終回) | 前川整洋 E-mail | 2/6-20:13 |
俳誌「俳句界9月増刊号・遊歩俳句大会作品集」から各県ごとの掲載句で、 目に付い数句をシリーズで紹介していきます。一言の句評も書き加えていま す。 熊本県 心字池温む二の橋三の橋………松下美奈子 「心字」から開けた所にある池と思う。橋を渡るたびに、春の到来が感じら れたのだ。 鹿児島県 歩く度若葉の蔭や背を流れ………前山利英 歩くいていると、前方の人の背が絶えず視界に入る。背の木漏日は、模様を 変えながら映り続けている。 沖縄県 下馬の碑に歩む蛍となりにけり………間可采 下馬は、社寺の境内・貴人の門前などで敬意を表して馬から下りること、を 意味していることから、由緒ある建造物があった所なのであろう。「歩む 蛍」とは、ゆっくり飛んでいる蛍を表わしている。意外な表現が、幻想感を 一段と高かめている。 追記:全体を通しての感想 歩くテーマの俳句について句評を綴ってきました。いろいろな経験が甦 り、意外と行き詰ることなく沖縄までやって来ました。句評するにあたり、 過去の経験および蓄積した知識を、句の内容といかに照らし合わせるかとい うことが鍵であるようでした。 入選句の非常の少ない都道府県もあり、選句に苦労したこともありまし た。人口の多い方の都道府県が、入選句が多く見えますが、一概にそう言え ないようです。大都会のある地域の方が、人口の多いからということを超え た入選句の多さがありました。歩く場所のない地域ほど、歩くことに生きが いを見出そうとする姿勢が強いのかもしれません。 長期間にわたり句評を読んで頂き、有難うございました。 |