タイトル: 俳句派と短歌派
投稿者 : 前川整洋Locked!
URL : 未登録
登録時間:2005年7月20日20時22分
本文:
俳句はものを提示する文芸なので、硬い表現は自ずからそうなります。和歌や短
歌はしらべに乗せて感情を詠いあげます。五七五七七の七七が、やわらかな調べ
をつくりだしています。
夏空に馴染みて聳え羅臼岳
「聳え」には力強さや高さを表すイメージがこもっています。「馴染み」は最北
端の空の大らかさであり、また、羅臼岳もしかりといったところです。
文章についてもいろいろ作者のスタイルがあり、情に流される書き方は、目指
しているところではありません。論理性を追求していますが、そこに何かを見出
そうとしています。
立原道造の詩を探求していたところ、道造は藤原定家に惹かれたことを知り、
定家についても勉強してみました。和歌の最高峰は柿本人麻呂で、その次に西行
がいって、定家はその下というのが一般的評価とされていたわけです。この説は
斉藤茂吉により定説化されたようです。しかしながら、定家による言葉の技巧に
よる耽美の世界も味わいがある、と思われます。俳句とは別の境地ですが。
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