◇-アジア環太平洋詩人会議2005その5-前川整洋(12/10-14:50)No.222
222 | アジア環太平洋詩人会議2005その5 | 前川整洋 | 12/10-14:50 |
音の響きと一連の言葉からの意味の合体から詩が生まれる。こうしてヨーロ ッパにおいて詩という文芸が創られたわけです。外国語での詩の朗読を聞い ていると、そのことが理解できてくるようでした。日本の口語自由詩は、内 容からの意味が先行したとされています。 海外の詩人の朗読を拝聴しての感想ですが、朝鮮語は日本語と文法がほと んど同じであることからか、日本語と同じように平板な感じで、他方、フラ ンス語、英語、中国語は抑揚が大きく、大波小波が押し寄せてくるといった 説得力がありました。 コンゴ人のカマンダ氏のフランス語での朗読は、アフリカ大陸出身の世界 的な詩人であるだけに大地の響きのような迫力でした。カマンダ氏の紹介が ありましたが、愛知万博への出演で今年は3回来日されたそうです。彼は昨年 の「地球」の研究会にもゲストとして来られたことがあります。 風の中の言葉 *カマ・シウォール・カマンダ (田井 淑江 訳) 先頭に立ち、私は風に言葉をもたらす 草むらに言葉をもたらす そこでは私の祖先が私の魂の中に ラフィアの茣蓙を織るでしょう すると子供たちが 腰を下ろして夢を見るでしょう。 亡命の太陽が 私の宿命を照らしだす。 目醒めた詩の光が スペクトルの波の中に反射している 孤独な天才の歌がそこに溺れている 友たちは想いを引き摺りながら 私の心の連なりの中に 言葉もなく残響もなく 不在と絶対を遠ざけている。 *カマ・シウォール・カマンダ:アフリカの伝統に根ざした言葉を精力的に 紡ぐ現代の吟遊詩人。ポール・ベルレーヌ賞、ブラックアフリカ文学大賞な ど多くの賞を受賞している。1952年、コンゴ民主共和国に生まれた。 (詩の日本語訳は、詩誌『地球136号』より) |