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タイトル: アーダルベルト・シュティフター
投稿者 : 前川整洋Locked!

URL   : 未登録
登録時間:2007年3月4日18時59分
本文:
横浜文学学校・合評において尾崎喜八の次の詩に出てくる「アーダルベル
ト・シュティフター」は何か、と宮原昭夫先生から尋ねられましたが、私と
しては、なにやわ分からないドイツ語がでてきて、硬派の岩の雰囲気をだし
ているとしか考えていませんでした。

   槍沢の朝
                    尾崎喜八
   ―略―
ふと、「とりどりの石」(ブンデ・シュタイネ)という言葉が唇にのぼっ
た。
それと同時に、この爽やかな堆石の上で、
アーダルベルト・シュティフターという名の意義が
突然はっきりと理解された
   ―略―

 ところが、インターネット・フリー百科事典『ウィキペディア
(Wikipedia)』で調べたところ、以下のようなことで、「とりどりの石」に
ついては短編集の表題にあったので、溜息がでました。

アーダルベルト・シュティフター(Adalbert Stifter, 1805年10月23日 ボヘ
ミア・オーバープラーン Oberplan(チェコ、ホルニー・プラナー Horní
Planá) - 1868年1月28日)はオーストリアの画家、小説家。
画家を兼ねているためか、彼の小説における自然描写は細やかで静謐、そし
て美しい。彼は「芸術は貴い崇高なものである」「偉大なものは、劇的なま
れにしか起こらないことよりも、ささやかでありふれた日常的なものにこそ
あらわれている」と考えていた。このため、彼はありふれたもの・普遍的な
ものを通して、高貴さ・偉大さを表現しようと努めた。英雄の超人的な行為
よりも、ありふれた人々の日常的な行為にあらわれた、質素・節度・克己を
小説の題材として選んだ。
シュティフターの小説にはささやかな出来事や普通の人々しか出てこない。
そのため、同時代の人々にはつまらないと批判されていたようである。確か
に、劇的なできごと、英雄的な行為、あっと驚く結末を小説に望む人々に
は、シュティフターの小説はつまらないものでしかないだろう。しかし、か
なたにそびえる雪を頂いた山々、疲れて眠りこんだ子供たちのあどけなさ、
少年の日の思い出、これらを愛する心を持った人は、きっとシュティフター
の小説が気に入るだろう。
主な著作
○Studien 習作集(短編集)
・Der Kondor 禿鷹
・Feldblumen 野の花
・Die Mappe meines Urgroßvaters 曾祖父の書類入れ
・Die Narrenburg 愚か者の城
・Abdias アプディアス
・Das alte Siegel 古い封印
・Der Hagestolz 男やもめ
・Der Waldsteig 森の小道
・Zwei Schwestern 二人の姉妹

○Bunte Steine 石さまざま(短編集)
・Granit みかげ石
少年の日、家の前にあったみかげ石に座って通りを眺めていた作者におこっ
たちょっとした出来事と、それをきっかけにして祖父から聞くことができ
た、村に伝わる古い話についての物語。
・Kalkstein 石灰石
測量をなりわいとする主人公が、ある荒地で出会った牧師についての物語。
牧師は清貧に慎み深く暮らしている。上着は何十年前に仕立てたものかわか
らないぐらいである。しかし、常に一見してわかる高価な肌着を着けてお
り、しかもそれを恥じて隠している。牧師の死後、その秘密が明らかにな
る。
・Turmalin 電気石
・Bergkristall 水晶
シュティフターの最も有名な作品。山村に住む兄弟
が、峠を越えて祖父母を訪ねた帰り道、降りしきる雪に道を見失い彷徨う。
妹を気遣う兄、無心に兄にしたがう妹、静かで荘厳な自然描写が美しい。
・Katzensilber 白雲母
・Bergmilch 石乳
祖先から城だけを受け継いだ、貧乏貴族の物語。独身の主人公は城に支配人
の家族とともに住んでおり、彼は支配人の子供たちを、自分の子供であるか
のようにかわいがっていた。子供たちの最年長者である長女が美しく成長し
たある日、ナポレオンに率いられたフランス軍がオーストリアに攻め入り、
主人公の城も、戦争に巻き込まれそうになる。そこへ、よんどころない事情
により、ドイツ人にもかかわらずフランス軍に味方せざるを得なかった青年
将校が飛び込んできて、主人公たちに強烈な印象を残して去っていく。

私も槍沢には、学生のとき秋、そのあと夏にも登りました。そのときの句で
す。
   槍沢の一切が岩秋澄めり
   炎天の槍沢登路槍見えず
槍沢といえば、登れど登れど槍が見えず、雪渓を登り終えて、岩塊斜面でや
っと槍の穂先が見える厳しい登路です。


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