◇-詩句チェック-前川整洋(3/24-21:57)No.272
272 | 詩句チェック | 前川整洋 | 3/24-21:57 |
3月15日の横浜文学学校・講評において宮原昭夫先生から詩句をミスプリ ントしているのではないか、との箇所を指摘いただき、それらについて調べ ました。 尾崎喜八の詩「アルペンフロラ」 「たやすく己れを興へ去ろうとする時、」 の興は、与ではないかとの先生の指摘でしたが、確かに与で、興ではなく與 でした。与または與であると、聖書的な詩句といえるようで、世俗の埋没す るといった意味ではないかと思われます。 尾崎喜八の詩「美ヶ原熔岩台地」 「秋の雲の砲煙がどんどん上げて、」 の「砲煙が」も先生の指摘どおり「砲煙を」でした。 詩「アルペンフロラ」について改めて調べたとき、串田孫一・鳥見迅彦編 『山の詩集』に、「アルペンフロラ」は、自然と倫理とがうつくしい形で調 和し統一された尾崎詩法の、これは一つの典型といえるだろう、と書いてあ りました。 「アルペンフロラ」は2連からなっていますが、初めの連では、岩稜に小 さく煌く高山植物が鮮やかに描写されていて、後ろ連で作者が出てきて朗々 と謳いあげています。私の詩法からは、後半の連は一般論的でなくてもいい ようです。 |