◇-地球の詩祭2007-前川整洋(11/25-16:26)No.297
297 | 地球の詩祭2007 | 前川整洋 | 11/25-16:26 |
11月24日(土)、池袋・ハナシンギル3Fで開催された地球社主催の「地 球の詩祭2007」に参加しました。例年はホテルか催事場で催されていま したが、今回はオフィースビルの大広間といった会場でした。 第1部 第32回地球賞贈呈式 選考経過報告 受賞作は斉藤恵美子氏の詩集『ラジオと背中』 (1)尾花仙朔氏の選考感想 どの候補詩集も書かずにはいられない熱意が込められていて、それが霊気を なしていた。 『ラジオと背中』では、戦禍の坩堝に呑み込まれた人間模様を、祖父母や父 母の話、写真のアルバムを通し、卓抜な技法と洞察力で表現している。詩の なかで、戦争は、それまで声も聞いたことのなかった、天皇のラジオからの 声で終わったが、戦争がはじまったときの声は何であったのか、といったこ とが書かれていたことも印象に残った。詩人が詩集を選考するということ は、詩集が選考者を選んでいるということでもある。 (2)中上哲夫氏の「斉藤恵美子の詩の世界」 第2部 第10回アジア詩人会議2007―標高3600メートルの天界から ー (中国・雲南高原と長江のみなもとを探る旅) 報告 失われた地平線の果てに 鈴木豊志夫氏、秋山公哉氏の司会で進められた。 佐々木久春氏:「失われた地平線」はジェームズ・ヒルトンの小説名からき ている。 岡隆夫氏:「人間の源流を求めて」のテーマに参ってしまって参加した。稲 は2億年前にアフリカにあらわれ、5000年前に雲南省昆明ではじめて栽 培されるようになった。そういった場所であるので、ぜひ訪れなくてはと思 った。 狩野敏也氏:標高3600メートルの高地で詩の野外朗読会の予定であった が、私は2500メートルで体調がおかしくなってきた。昆明の詩人中にも 調子の悪い人がでてきたので、高地で野外朗読会は一旦取りやめとなった が、秋谷代表が怒り出して標高3600メートルの高地で強行した。 中原道夫氏:旅費を取り戻す何か収穫がなくてはと思っていた。北京語を共 通語とする政策がとられているので、チベット語を話せる人が少なくなって いる。チベット語での詩の朗読を聴いたとき、詩の原点が分かったように思 えた。言葉以前に声がある。 第3部 井上靖生誕100年、没後15年記念 谷口ちかえ氏の司会で進められた。 傳馬義澄氏の講演:「井上靖の文学世界と中国」 井上靖は、戦後、『樓蘭』や『敦煌』などの中国の西域の歴史小説により、 この地域に関する日本人の関心を一挙に高めた作家である。彼が実際にシル クロードの地を踏んだのは、代表的な西域小説を書き上げた後の1965 年、58歳になってからである。井上靖が西域を訪れた目的は、シルクロー ドの地を自分の目と足で確かめることにあった。 菊田守氏と黒田英二氏の「わが青春の池袋」のトーク:青春時代に池袋で遊 んだことやロマンの話もあった。 |