タイトル: 雄阿寒岳に登る
投稿者 : 前川整洋Locked!
URL : 未登録
登録時間:2008年2月2日20時38分
本文:
雄阿寒岳に登る
椴松の森をくぐり
岳樺の回廊を渡り
這松の通路を抜けて
五合目の小広場に出た
そこは雲海のさらなる上
映画館のスクリーンに接するほどの近かさで
”素焼き”の感触を楽しんだ
そう雌阿寒岳は備前焼の山肌だ
かなたに並ぶ日高、十勝、大雪の山・山・山
背丈より低い這松帯をやりすごして
頂きに出た
いちめん夏草と這松に覆われ
火口跡は静まりかえっていた
火口壁をつたい雄阿寒岳山頂に至る
ぐるっと雲海にとり囲まれ
雌阿寒岳の
ドーム状の山体が浮かびあがる
山肌に日差しが焼き付いて
赤褐色に煌めいている
彼女をエスコートする阿寒富士の広がり
天地万象の摂理
雄岳と雌岳
山のかたち
神も形ある存在でなくてはならない
神は身近に居なくてはならない
アイヌの人々は
カムイ 熊を神とした
阿寒とは アイヌ語で不変の大地
雄阿寒岳と雌阿寒岳は大地の守護神
洗練された形状と山肌は
人々をそう信じさせている
「地球」研究会での詩評では、私の詩「雄阿寒岳に登る」については鈴木
豊志夫氏の詩評がありました。簡単に書いておきます。
作者はライフワークで山の詩を書いているので、一編だけではなく全体で
みた方がよい。わかってもらうために解説的になるのではなく、もっと創造
の爆発がほしかった。しかしながら、前川節はうち出されていた。
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