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◇-衆生の倫理-前川整洋(6/25-19:59)No.335


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335衆生の倫理前川整洋 6/25-19:59

『衆生の倫理』発売記念公開講座
6月23日(月) 新宿住友ビル7F 朝日カルチャーセンター
『衆生の倫理』の著者で文芸評論家の石川忠司氏と小説家の保坂和志氏との
対談形式の講義
サブタイトル:現代に生きる倫理とは

4月から石川忠司先生の現代小説塾を受講しているので、新しいことも知り
えるであろうと上記講座を受講しました。サラリーマンはコンプライアンス
の語をよく耳にします。企業はコンプライアンス(法令遵守)優先の経営が
求められていますが、コンプライアンスも倫理の大枠の一画です。メモ書き
のレベルですが、講座の内容は次のようでした。

孔子は論語しか書いていない。― 伊藤仁斎(江戸前期の儒学者)の指摘
論理的に演繹する、これは孔子ではない。
友あり、遠方より来る。― ただ学問は楽しい。理由づけはしない。

倫理の本質 ― 何故かと説明できない。説明できたら、それは弱いものと
なる。
その外のあるものは弱い。
小説を読む、その外に価値を創らない。
面白さは解説できない。
小説を精神分析や脳科学で解説するようになってきた。しかし、精神分析は
文学から導いきたものである。それによって文学を解説することはできな
い。

倫理の根拠は、倫理にしかない。
孔子という人間の力。
漢文で表記していることが重要。
言葉自体で完結している。
二葉亭四迷 ― 口語体で内面を微妙なところまで表現できるようにした。
一方では、端的さを失うという弊害もあった。
話し言葉 ― 同じ地平で回っている。
漢文 ― 別の地平でも回っていて、上書きも行える。

ニーチェの永劫回帰 ― この人生で解決しないと、次の人生も同じことに
なる。
時間も場所もまったく同じ人生のくり返し ― くり返す意味がない。
ダライラマの生まれ変わり ― 信じている人もいる。保坂氏は単なる世襲
と思っている。
三島由紀夫の『豊饒の海』 ― 生まれ変るという決め事のなかで書いてい
る。

現実的な利害があって、フィクションと現実の峻別を意識する。
保坂氏は、そうではなく、利害ではなく、高いところ行かなくてはならな
い、との考え。

科学 ― 一定の手順を踏めばいくらでも反論できる。

小説を書く ― 保坂氏は、向上するためのもの、修業と思っている。

私は中学時代にいじめられっ子だった。エッセイでは、事実そうでなければ
書いてはいけない。
小説では書けるが、そのなかで、そうであったことがわかるように書いてな
くてはならない。

自然と風景 ― 戦時中にチベットに潜伏した西川一三(かずみ)は、ヒマ
ラヤの景観を宇宙の真実、と書いている。保坂氏は、これには共感できると
して、宇宙の真実とは、内容ではなく、風景そのもののことであり、忘れら
ない風景については、一生他はいらないと思えるほどのものである、として
いた。
自然の風景は、深淵な思想である。きれい、美しい、胸をうつ、これには個
人差はない。思った瞬間は、万人に共通している。これは心理を入れる器で
もある。
石川氏は、足立区に生まれ育ったことから、汚れてはいても綾瀬川に宇宙の
真実を感じる。何故かの質問がでたが、素晴らしい音楽を聞き終わったと
き、音楽の落しどころは説明できない、綾瀬川には生きている所の落しどこ
ろを感じる。
PM7時にはじまり、終了予定時間はPM8時30分であったが、PM9時を過ぎ
ていた。あとはもろもろに質問がつづいてから散会となった。


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