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◇-「地球の詩祭2008」-前川整洋(11/23-17:01)No.340


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340「地球の詩祭2008」前川整洋 11/23-17:01

11月22日(土)、さいたま新都心・ラフレさいたま3Fで開催された地球
社主催の「地球の詩祭2008」に参加しました。11月18日に「地球」の
秋谷豊代表がご逝去され、この日にあった告別式に出席してから詩祭会場に駆
けつけました。次のような内容でした。
開会挨拶 斉藤正敏氏
告別式と詩祭が一致するとは、最後までドラマティックな男であった、との
一言があった。
第1部 第33回地球賞贈呈式
鈴木豊志夫氏、大石規子氏の司会で進められた。
授賞式で新川和江氏から、今回の受賞者はカソリックなので、キリスト教で
は昇天ということもあって、死は悲しむことでもないので、告別式と受賞の
お祝いが重なっても問題ではなかった、という一言があった。
選考経過報告
受賞作は中村不二夫氏の詩集『コラール』
(1) 尾花仙朔氏の選考感想
秋谷さんの逝去は、戦場で兵士が突如倒れたという感じである。「地球」で
生き、「地球」で死んだ。
キリスト教の愛と信仰を体現した詩である。哲学、形而上からは神は絶対者
である。一方、人が生きる上では絶対はない。しかし、人が人を殺めること
は、絶対あってはならない。一神教は紛争の歴史であったが、日本の宗教も
戦争に加担した歴史がある。この詩集ではキリスト教の負の部分を解説して
いる。神の愛は自己犠牲であり、隣人愛は人類愛である。神の愛と隣人愛を
中核として詩が作られている。
(2)神品(こうしな)芳夫氏の「中村不二夫の詩の世界」
中村さんは1980年代にデビューして、ポスト・モダニズムを目指してき
た。

第2部 緊急企画・追悼秋谷豊さん―秋谷豊と戦後詩を歩むー
石原武氏の司会で進められた。
石原武氏:大きな木が倒れた思いで、動転している。先日の会合で会ったと
きは、「今回の詩祭は60周年記念のプレリュードにしなくては、60周年
記念の後はネパールに行こう」と言って、かくしゃくとしていたのに、信じ
られない。日本の最後のロマンチストが逝ってしまった。
伊藤圭一氏:私もショックを受けている。丸山賞の選考でよく会っていた。
遺体の口はきゅと締まっていて、武士のようで、やったぞという顔であっ
た。心残りもあったはずなので、それを大事にしていかなくてはならない。
海外に出向かれていたが、自分の生き方を相手に説得していた。
新川和江氏:韓国のキム・カムリンさんが、「同人誌で50年以上つづいて
いるのは珍しい」と言っていた。主人が亡くなって13年になるが、秋谷さ
んとは家族以上に長いつき合いであった。最後の文学青年でもあった。
菊地貞三氏:現代詩の青春時代を乗り越えてきたが、戦後詩の一つの時代が
終わった。秋谷さんは本質的には抒情詩人であった。「荒地」、「列島」の
間に「地球」があった。思想、社会批判を標榜しなければ現代詩ではない時
代に、ネオ・ロマン主義のテーゼをもちだし、勉強会を開いた。当初はネ
オ・リリシズムといっていて、人間性の回復を目指した。

第3部 ライブ「日韓現代詩交流35年記念」
鈴木正樹氏、ささきひろし氏の司会で進められた。
秋谷さんとの活動の思い出をまじえながら、韓国訪問の話が語られた。
話をされたのは、石原武氏、北岡淳子氏、佐川亜紀氏、傳馬義澄氏であっ
た。秋谷さんは他人任せではなく、スケジュールの細部まで自らが決められ
ていたことに驚いた、という話が印象に残った。


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