◇-「遊歩俳句大会」作品その6-前川整洋(10/24-19:59)No.94
94 | 「遊歩俳句大会」作品その6 | 前川整洋 E-mail | 10/24-19:59 |
俳誌「俳句界9月増刊号・遊歩俳句大会作品集」から各県ごとの掲載句で、 目に付い数句をシリーズで紹介しています。一言の句評も書き加えました。 千葉県 夕凪に素足で歩く九十九里………前原貴正 自然のやわらかさとか、弾力をじかに味わっていることが分かります。九十 九里浜の雄大な景色や波音が、一層味わいを深くいしているのである。 出湯街歩く旅びと下駄の音………内山邦雄 温泉地というと下駄といえる。温泉地だから、下駄の音が聞こえる。温泉地 だから、下駄の音に耳を傾けるのである。 ななかまどにふれて月山行者径………高橋日出夫 七竈は高山帯では、這松とともに最も見掛ける潅木である。月山で七竈の径 を歩いているとき、行者の幻が見えたきた。「ふれて」により、現実味が出 ている。七竈の少し繊細な外見に、幽玄さが帯びてくる。 霧に揺れ言葉に揺れて歩きけり………時田眞作子 開けた稜線であろうか、または、針葉樹の森を歩いているときであろうか。 霧が流れてきて、その霧の流れは揺らめいている。話声もそれに呼応して、 揺らめいてきた。霧の流れに、ある種の気配を捉えている。 |