タイトル: 「遊歩俳句大会」作品その6
投稿者 : 前川整洋<maekawa.seiyo@ebara.com>Locked!
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登録時間:2003年10月24日19時59分
本文:
俳誌「俳句界9月増刊号・遊歩俳句大会作品集」から各県ごとの掲載句で、
目に付い数句をシリーズで紹介しています。一言の句評も書き加えました。
千葉県
夕凪に素足で歩く九十九里………前原貴正
自然のやわらかさとか、弾力をじかに味わっていることが分かります。九十
九里浜の雄大な景色や波音が、一層味わいを深くいしているのである。
出湯街歩く旅びと下駄の音………内山邦雄
温泉地というと下駄といえる。温泉地だから、下駄の音が聞こえる。温泉地
だから、下駄の音に耳を傾けるのである。
ななかまどにふれて月山行者径………高橋日出夫
七竈は高山帯では、這松とともに最も見掛ける潅木である。月山で七竈の径
を歩いているとき、行者の幻が見えたきた。「ふれて」により、現実味が出
ている。七竈の少し繊細な外見に、幽玄さが帯びてくる。
霧に揺れ言葉に揺れて歩きけり………時田眞作子
開けた稜線であろうか、または、針葉樹の森を歩いているときであろうか。
霧が流れてきて、その霧の流れは揺らめいている。話声もそれに呼応して、
揺らめいてきた。霧の流れに、ある種の気配を捉えている。
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