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タイトル: 「遊歩俳句大会」作品その7
投稿者 : 前川整洋<maekawa.seiyo@ebara.com>Locked!

URL   : 未登録
登録時間:2003年11月1日08時47分
本文:
俳誌「俳句界9月増刊号・遊歩俳句大会作品集」から各県ごとの掲載句で、
目に付い数句をシリーズで紹介しています。一言の句評も書き加えました。

東京都

大股で歩くふるさと麦の秋………堤亜由美
故郷に帰った開放感からか、自然に包まれた安らぎからか、自ずと大股にな
っている。周囲は一面、麦畑、所々には林がある。大股により心の弾みを表
現している。

ひろがりて海べを歩く遍路かな………岸嘉一
遍路路というと、田園の道や山道が浮かぶ。海辺に出たとなると、これまで
とは違う広いスペースを、思い思いに歩きはじめる。遍路も旅であり、旅の
自在さがそこにある。

一燈もなき道を行く近松忌………柴田幸子
近松門左衛門の浄瑠璃は、心中の悲恋ストーリーである。まさに一燈もなき
道であり、それでも歩かなくてはならない。

木の根道鞍馬の山の紅葉踏み………栗山さよ子
鞍馬山の木漏れ日の続く山径。紅葉を踏むことに義経の悲劇が、伝わってく
るのである。「の」の連続したリズムに、悲劇だけではなく、義経伝説の奇
想天外な明るさも伝わってくる。

団体に譲る木道夏の尾瀬………栗山雅子
団体に道を譲っている光景が、広々とした尾瀬ヶ原なので遠くからも見えて
いる。

雨降らば雨また楽し青葉径………斉藤破風
苔生している森の道などでは、雨ならではのしっとりとした煌きがある。


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