現代小説塾 ―小説を書くために― へのコメント
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前川整洋さんは No.345「現代小説塾 ―小説を書くために―」で書きました。 >12月20日(土) 新宿住友ビル7F 朝日カルチャーセンター >文芸評論家の石川忠司氏と小説家の桜井鈴茂(すずも)氏との対談形式の講 >義 > >4月から文芸評論家・石川忠司先生の現代小説塾を受講していましたが、10 >月から先生が休業に入られたので、受講は中止しています。ところが、緊急 >講座は開催されたので、受講しました。私は詩、俳句それに山岳紀行、評論 >の創作活動をしていて、小説は書いていませんが、新しい思想の追求や表現 >の仕方の勉強、および文学的視野拡大などのために受講しました。 > >桜井氏―作法を考えるにあたって、スティーヴン・キングの「小説作法」を >読んできた。 >石川氏―文学賞の下読みのシーズンである。200本中、面白いものは10 >本くらいである。何でつまらないか。言葉の可能性を活かしきれていない。 >日常では、驚くほど限定した使い方しかしていない。依頼、許可、言い訳で >9割。最大限の活用している例として、桜井鈴茂著『アヴェ・マリア』をと >りあげる。 >桜井氏からのあらすじの紹介―友人が海外に出かけるので、主人公のミツル >は彼のアルファロメオを預けられる。ヒロミはミツルとこの車に乗り、女の >子をナンパして空き別荘に入り込む。別荘の持ち主がゴロツキ連中で、ボコ >ボコに殴られ、女の子は奪われ、アルファロメオも壊される。 >小説現代の依頼だったので、エンタテーメント・ストーリー性のものにし >た。88・89年のバブル期の匂いがするものを狙った。ネットが発達して >ナンパがなくなってしまった現在だから、ナンパした一晩のことを書こうと >思った。 >石川氏―配った資料の、次のページは小説の最後のところで、二人がアルフ >ァロメオで帰る場面を例として挙げた。 > > まあ、ひでぇことはひでぇ、とミツルも言った。八対二だもんな。その >上、女も取られ。 > だろ、とおれは言った。最後には力業に適わないんだぜ。 > ほんとうだな、なんだかんだ言っても暴力が王様だよな。 > 暴力、権力、金力。世界はそういったものに支配されてんだ。 > ああ、そうかもしれない。 > な? そんな世界に神がいるか? いるわけねえだろ。え? > でもな、ヒロミ、とミツルは言った。言葉に妙に力がこもっていた。この >曲は美しいぜ。 > まあ、とおれはぜいぜいしながら言った。この曲は美しいぜ、たしかに。 >で? > いま、美しい、って感じるだろ? > だからなんなんだよ? > 美しいって感じているなら、とミツルは言った。なんだかミツルじゃない >みたいだ。 > 神はいるんだよ、やっぱり。 > >石川氏―普通の思考では、アヴェ・マリアは美しい、が、おれたちはボコボ >コにされている、だから美しくはない。思考・言葉の中心に自分がいる。生 >物はまず自分が生きなくてはならない、からこうなるのはやむをえないが、 >ここで思考の中心を自分から外す。しかし、世界の側へとは移さない。殴ら >れて、我々は幸せである。こうしてしまうと、世界の中心へとなるが、こう >してもダメだ。 >石川氏―この小説は、最初からこの結末を考えて書いたのかどうか。 >桜井氏―結末は勝手に出てきた。いつもの書き方であるが、キャラクターが >勝手に動いてくる。自分は書記のようなもの。 > >石川氏―小説は書き出しついてとりあげる。下読みでは、最後まで読むの >か、とよく聞かれる―最後まで読まなければ、分からないのではダメだ。野 >球は四打席目に打てばよい、これは結果がすべてだからだ。小説の応募で >は、一打席目に三振しては、それで終わりだ。途中で面白くなる小説もある >のでは、との反論もあるが、素人の三振とプロの三振では区別がつく。 >石川氏―村上春樹には前口上的な書き出しが多い。この方法はやらない方が >いい。 >桜井氏―「前口上+力技」ならば良い。 > >桜井氏―これからデビューする人へのアドバイス >@小説は多様だからこう書けという決まりはない。 >A自分にふさわしい題材に合ったやり方をとる。 >B自分の文体ではなく、主人公に合わせる。しかし、文体は人生だから、文 >体を変えるのは信用できない、とT(?)氏が言っているのを聞いたことが >あるが、自分はそうは思っていない。 >桜井氏―何でもある、ということについて。自由イコール前衛ととられがち >であるが、古典を選ぶ自由もあるということである。 >桜井氏―書くにあたっての決まりごと >@美文を書かない。 >Aここが大切、キーなどは示さない。 >B改行しない。一般的には、大切なところで、改行したくなる。そういうこ >とはしない。単なるカメラマンになるスタンスをとる。 > >石川氏―小説は時間進行であるが、逐語的に書いて行くと単音でしかなくな >る。和音にしなくてはいけない。和音とは、幾つかの異なる情報を一文にす >ることである。和音は小説の基本である。 >石川氏―村上春樹の小説は、具体的な中身がないのに、文章で美学を立ち上 >げている。内容のない生活を書いて、美に高めたのは村上春樹の他には太宰 >治くらいである。 >桜井氏―自分は少し違った感想である。 >石川氏―小林多喜二の「蟹工船」は、プロレタリアートそのものを美しいと >はしていないことからは、失敗と考えている。 > >石川氏―近代文学イコール内面文学である。純文学では偉大な人間は書けな >い。近年、木戸孝允は評価が暴落した。書いていた日記が出てきて、グチっ >ぽい内容が英雄にはそぐわなかったためだ。英雄は内面の葛藤を乗り越えて >いなければならない。高山右近の葛藤などは小説になる。 >ほっといても後世に残る人物は小説には書かない。声なき声を書く。それが >書いて面白い。 >桜井氏―司馬遼太郎は書いている。 >石川氏―それは歴史小説だ。 >チンキな人間を書くのが、小説のミッションである。社会保証がゆきとどい >たヨーロッパの国では、そういう人物は小説にはなっていない。政治的、経 >済的な助力を与えられた人たちには、小説の助力は必要ない。 > >PM1時にはじまり、終了予定時間はPM2時30分であったが、この時間を過 >ぎてから質問がはじまり、PM3時に終了しました。 >質問に、日本は社会保障が進んでいる方ではないかというのがあったが、ア >メリカに比べれば進んでいるが、フランスなどに比べれば遅れているという >ことでありました。
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